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JR東海 2019年度の決算発表 コロナの影響は?

2020(令和2)年4月27日、JR東海が決算を発表しました。
発表されたのは、以下の二つです。

・2020年1月~3月の「2019年度第4四半期」の決算
・2019年度全体の決算

今回の記事では、この決算を見ての感想を書いていきます。

 

四半期決算 1~2月の貯金でかろうじて逃げ切り


まず、2020年1月~3月の「第4四半期決算」から。

連結ベースだと、純利益額は、前年比85%減の97億円だそうです。
コロナウイルスの影響が大きかったものの、最終的な黒字は確保しています。

ただしこれは、コロナウイルスの影響がなかった1月、影響が少なかった2月の黒字があったからこそ。
3月は、東海道新幹線の利用客が約60%!減少しましたから、3月単体で見れば、大幅な赤字になっているはずです。

おそらくですが、3月の東海道新幹線の収支は、200億円以上の大赤字(営業損失)になっているのではないでしょうか。

最終的な黒字という結果だけを見れば、「コロナがあっても黒字かぁ。東海道新幹線はお客さんからぼったくってんだなあ」とか「この状況で黒字とか磐石な会社」という感想を抱く人もいるかもしれません。
しかし、それは的外れというもの。
この黒字は、1~2月の貯金で“逃げ切った”だけです。

もし、コロナウイルス騒動があと1ヶ月早かったら、この四半期決算は赤字になっていたでしょう。

通年での決算 すでに数百億円の狂いが生じている?


続いて、2019年度全体の決算を見てみましょう。
まずは、きっぷや定期などの売上である「旅客運輸収入」から。

旅客運輸収入

2018年度 1兆3,996億円
2019年度 1兆3,656億円

340億円の減少


「あれっ、意外と減ってないな」と思うかもしれません。
しかし、利用客が大きく減少したのは3月だけ。
その3月にしても、新幹線の利用客は約60%減少 = 40%は利用客が残っていました。
ですから、コロナウイルスが決算に与えた影響は、そこまで大きくありません。

ただ、「影響はそこまで大きくない」といっても、すでに数百億円のレベルで狂いが生じているはずです。

2019年度の途中までは、「2018年度よりも売上・利益ともに増える見込み」と発表していました。
しかし、増える見込みのところ、結局は340億円の売上減少。
仮にですが、売上の“着地点”を1兆4,300億円くらいと見込んでいたとしたら、600億円以上ズレたことになります。

数百億円の狂いが生じているのは、営業利益も同じです。

営業利益(単体)

2018年度 6,632億円
2019年度 6,167億円

465億円の減少


私の勝手な予想ですが、営業利益は6,750億円くらいを見込んでいたのではないでしょうか。
しかし、結局は6,167億円にとどまりましたから、差し引きで600億円近くのマイナスになっています。

JR東海は、売上が1兆円を優に超える企業なので、数百億円の減少があっても、「誤差の範囲」くらいにしか見えないかもしれませんが……。

4月だけで数百億円の赤字になるのでは……


さて、昨年度の決算を見るのはここまで。
ここからは今年度の話。

私の勝手な予想ですが、利用客が89%減少した4月の新幹線売上は、50億円くらいではないでしょうか。
また、在来線の売上も減っていて、おそらく40億円前後ではないかと。

東海道新幹線と在来線の売上が大差ない。
そんな事態、聞いたこともない。

この調子でいくと、4月だけで500億円近くの赤字(営業損失)が出るかもしれません。

こうなってくると、もはやなりふり構っている場合ではないと思います。

すでにJR北海道とJR四国では、社員の一時休業(一時帰休)が決まっています。
また、JR九州でも社員の一時帰休を検討しているほか、ゴールデンウィーク期間中に全特急列車を運休させることを決めました。

JR東海では、まだそこまで踏み込んではいないようですが、早く手を打たなくて大丈夫なのか心配です。
定期列車の減便、社員の一時帰休、賞与の減額などで、少しでもコスト削減を検討すべきではないかと……。
非常事態ですから、「社員の賃金が減らないように配慮する」などと考えている場合ではないと思います。

低迷期間5ヶ月くらいがデッドラインか?


2020年3月末現在、JR東海はある程度の現金は保有しています。
単体の決算書(貸借対照表)を見ると、現金および預金は約3,900億円。
連結の決算書(キャッシュフロー計算書)では、現金および現金同等物は約7,600億円。

これだけカネ(キャッシュ)を保有しているので、大赤字が続いても、すぐに潰れるうんぬんの話にはならないでしょう。
ただし、財務内容をめちゃくちゃに痛めるのは間違いありません。

さて、今年度の決算ですが、この利用客低迷が何ヶ月までなら、年間赤字に転落せず「耐えられる」のか?
おそらく、5ヶ月くらいがデッドラインだと予想されます。
それ以上続くと、残りの期間で巻き返しても、追いつけないのではないでしょうか。


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