現役鉄道マンによる鉄道雑学のブログ

趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職等で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

なぜ機器の誤作動が起こるのか?

前回の記事では、防護無線について書きました。

3月13日に発生した、JR西日本の大規模遅延は、防護無線の誤作動により、防護無線を受けた列車が動けなくなってしまったわけです。

残念ですが、車両機器も機械ですから、どうしても故障したり誤作動したりがあるんですね。

 

「短絡」で機器が誤作動する


さて、機器の誤作動の原因の一つに「電気回路の短絡」があります。

「何らかの原因」によって、本来流れるべきでない回路に電流が流れてしまい、スイッチをONにしてしまう → それによって誤作動

私の勝手な予想ですが、今回のJR西日本のトラブルも、この類のものではないでしょうか。

では、短絡を引き起こす「何らかの原因」とは何なのか?

短絡の原因は「水滴の浸入」や「絶縁不良」


ちょっと話が逸れますが――

機器誤作動はピンからキリまでありますが、重大事故につながりかねない事例もあります。
たとえば、「走行中の列車の扉が突然開いた」です。
乗客がそこから転落したら大変なことになるのは、容易に想像がつきます。

そういうヤバい事例に関しては、『運輸安全委員会』という組織が調査します。
(国土交通省の組織で、10年くらい前までは『航空・鉄道事故調査委員会』と呼ばれていました)

調査報告書はインターネットで誰でも閲覧できます。
(まあ、ものすごくページが多いうえに、専門用語のオンパレードなので、専門外の人にはとても読めないのですが……)
職務上、必要なところだけかいつまんで、私も読むようにしています。

さて、ここから話を戻しまして……

調査報告書には、電気回路の短絡による誤作動事例もあるのですが、短絡の原因としては

・経年劣化による水滴の浸入
・経年劣化による絶縁不良

この二つがあります。

経年劣化が大きな原因


経年劣化によりできたスキマから、電気回路に水滴が浸入
→ 水は電気を通すので、その水滴が原因で短絡が発生する……

ひび割れなどから内部に水滴が浸入しトラブル発生、というのは、電気回路に限った話ではありません。
建物なんかもそうですね。

私はマンション住まいなのですが、以前、大規模修繕が行われました。
工事業者の方によると、ひび割れから建物内部に浸入した水分が、腐食やサビの原因になるらしいです。

たかが水分ですが、侮ってはいけませんね。

もう一つの「絶縁不良」は、経年劣化で電線の被膜が剥がれて電線がむき出しに
→ 何かの拍子にそこで短絡が発生……

こういうパターンをイメージしてもらえればよいと思います。

設備投資は鉄道会社にとって大きな負担


さて、こうしたトラブルを防ぐためには、どうするべきでしょうか?

日々のメンテナンスをしっかり行い、更新時期がきたならば速やかに取り替える。

しかし、この当たり前のことが、実は簡単ではありません。
特に設備更新については、「カネの問題」が必ずついてまわります。

積極的に設備改修・更新が行えるほどカネを持っている鉄道会社は、そう多くないはずです。
特に、地方の中小私鉄や第三セクターなどは厳しいところが多いでしょう。
設備の経年劣化が進んで「もう取り替えた方がいい」とわかっていても、カネの都合がつかない。
そういうケースは少なくないと思われます。

今後、少子高齢化に伴って、財政状況が厳しくなる鉄道会社は増えるでしょう。
それに伴って、鉄道の安全を守るための設備に、じゅうぶんな投資ができなくなる……。

私としては、そうした事態を非常に心配しているところです。