現役鉄道マンによる鉄道雑学のブログ

趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職等で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

小田急全線 列車無線故障で運転見合わせ

本日(2019年4月8日)の朝、小田急で大規模な運転見合わせが発生しました。
新入生や新入社員が多いこの時期ですので、振替輸送の情報や要領がわからず、混乱した利用者も多かったはずです。

原因は、公式サイトによると「保安装置点検のため」。
もう少し正確にいえば、「全線で列車無線が通じなくなったため」とニュースでは報じられていました。

列車無線とは、「司令と乗務員間の通信(通話)装置」です。
列車の運転室には無線機が置かれており、乗務員は必要なときに司令と連絡ができるというもの。

ところで、「司令」というと、ちょっとイメージが湧かない人もいるかもしれません。

飛行機でいうところの「管制」みたいなものだと思ってもらえればいいです。
ガ〇ダムやヱ〇ァンゲリヲンでいえば、指揮官やオペレーターが集っている、あの部屋です。

ちなみに(蛇足ですが)豆知識。
JRをはじめ、多くの鉄道では「指令」という漢字を使いますが、小田急での漢字表記は「司令」です。

ちょっと話が逸れましたが、ニュースを見た人の中には、こう思った人がいるかもしれません。

「列車無線って、ようは通話装置でしょ。列車の運転には直接関係ない装置じゃん。なんで運転見合わせするの?」

まあ、確かにそうです。

列車無線が使えなくても、それは単なる「通信途絶」にすぎません。
“物理的に”列車が動けなくなるとか、そういうわけではないんですね。
列車を動かそうと思えば、いくらでも動かせます。

しかし列車無線というのは、列車の安全運行のためには大切な装置なのですね。

たとえば、列車に何かトラブルが起きた場合、乗務員は列車無線を使って司令に速報します。
司令はその情報を受けて、必要な手配をします。

もし、乗務員⇒司令の通信がスムーズにいかないと、トラブル現場からの情報が届かないので正確な判断ができず、必要な手配もできません。

踏切事故や人身事故などの大きなトラブル発生時は、情報伝達のスピードが事態を大きく左右します。
少しでも情報伝達が遅れれば、関係する列車を止めることができず、「二次災害」が起きるかもしれません。

このように列車無線とは、列車の安全運行のためには重要な装置です。
「全線で使用不可」という異例の事態であった今回、万が一のトラブルを避けるためにも、運転見合わせは仕方なかったのかなと思います。
(利用者の方々には大変気の毒ですが……)

ちなみに、列車無線とは電波を利用して通信・通話するものですから、携帯電話と同じように、地上に「基地局」を設置する必要があります。

たとえば、乗務員(列車)から発信された電波は、最寄りの基地局に“捕まえられて”司令所との通信が繋がるわけです。

そして、この基地局は(当たり前ですが)一つではなく、複数存在します。
私はそっちの専門ではないので詳しくは説明できないのですが、線路沿いにだいたい数㎞おきに設置されているみたいです。

そのため、仮に一つの基地局がダウンしても、他の基地局を経由すれば、司令⇔乗務員間の通信・通話は可能です。

ですので、今回のように「全線で列車無線が使えなくなった」というのは、基地局の故障ではなく、司令所内の設備の故障ですね。
(すべての基地局が同時に故障すれば、全線で列車無線が使えなくなりますが、まあその可能性はないですよね)