現役鉄道マンによる鉄道雑学のブログ

趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職等で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

名古屋市営地下鉄 扉が閉まるのを妨害した行為

閉まりかけた扉に何度も手を挟み、列車の出発を妨害する乗客。
そのせいで、列車は1分ほど遅延……。

2019年4月6日、名古屋市営地下鉄・東山線にて発生したこの事件。
動画が拡散され、全国ニュースでも取り上げられているので、みなさんもすでにご存じかと思います。

さて、この事件はネット上でもいろいろな意見や情報が飛び交っていますが、ここではちょっと違う視点から解説します。


今回のような行為は、どこが列車妨害になるのか?


たとえば、暴論ですが、以下のような意見もあるはずです。

「この人は故意に手を挟んでるんでしょ? だったらもうほっとけ。扉に手を挟んだまま列車を出発させりゃあいいじゃん」

しかし、その状態では列車は出発できません。

「出発できない」とは、規則上や道義上できないという意味ではなくて……

“物理的”にできないのです。

どういう意味かというと、簡単にいえば、「電気回路上、扉が開いたままでは列車は動けない」のです。

もし、扉が開いたまま列車が動き出したら、お客さんが転落して事故になるかもしれません。
そうならないよう、「扉が開いた状態では列車は動けない」というシステムが車両には備わっています。

専門用語では「戸閉め回路」といいます。

具体的にいうと、扉自体が回路の一部になっています。
扉が開いている = 回路が切れている状態なので、運転士がいくら加速の操作をしても、列車が動くことはありません。

というわけで、今回の事件は「列車を物理的に動けないようにした」という意味で、列車妨害になるわけです。

ちなみにこの戸閉め回路、我々のすぐ身近にもあることはご存じですか?

電子レンジです。

電子レンジは、扉が閉まりきっていない状態では、いくら「スタートボタン」を押しても動作しません。
また、動作中に扉を開けると、そこで動作がストップします。
(知らなかった方は、一度実験してみてください)

古くなった電子レンジは、扉の閉まりが緩くなったために、スタートボタンを押しても動かないことがあります。
覚えておくと役に立つかも。