本日(2019年4月13日)、京成電鉄にて、踏切の遮断桿がのこぎりで切られるというビックリなニュースを目にしました。
このニュースをまだご存じない方のために、簡単に流れを書いておくと……
(1) 踏切の近くで人身事故が発生
(2) その影響で付近に列車が止まったまま
(3) だから踏切がずっと下りっぱなしの状態
(4) 業を煮やした通行者(車)がのこぎりで遮断桿を切って強行突破
実を言うと、下りっぱなしの踏切に業を煮やして“強行突破”する人は、ごくたまにいます。
車で遮断桿を強引に押しのけて進んでいくんですね。
そういう意味では、前例のない事件ではありません。
しかし、遮断桿を切断なんて事例は、私も初めて目にしました。
強行突破していいのは緊急時だけ!
まあ、気持ちはわかります。
私も、踏切で長時間待たされてイライラした経験があるので……。
本当にお気の毒です。
しかし、だからといって強行突破は勘弁してほしい。
踏切は、鉄道の安全を守るための大事な設備です。
緊急事態ならともかく、通常は絶対にやってはいけません。
軽々しく遮断桿を上げることはできない
さて、このニュースを見た人の中には、こう思った人もいるかもしれません。
「こういう場合は、踏切の動作を停止させて遮断桿を上げられないの?」
しかし残念ながら、それは難しいです。
先ほども書いたとおり、踏切は鉄道の安全を守るための大事な設備。
列車が接近している状態では、遮断桿を下ろしているのがあるべき姿です。
たとえば、遮断桿が下りていない状態で列車がフツーに通過した、なんてことが起きたら、それは重大事故です。
間違いなく国交省の調査が入りますね。
というわけで、踏切には「ちょっといま都合が悪いもんで、動作を停止させて遮断桿を上げよう」みたいな軽々しさは許されません。
もし、「踏切動作を任意に止められるシステム」があったら、間違って扱ってしまい、事故になるかもしれないのです。
足止めを喰らった通行人の方には大変お気の毒ですが、そういうわけですので、諦めてもらうしかありません。
異常時には安全側に作動する「フェールセーフ」
最後に雑学をひとつ。
今回は「近くに列車が止まっていたので、踏切が下りっぱなし」というケースでした。
こういうケース以外に、「踏切が故障した場合」も下りっぱなし現象が発生します。
踏切に限らないのですが、鉄道設備は、故障した場合に「安全側に転ぶ」ようになっています。
たとえば、信号機は故障した場合、「赤」が出るような仕組みになっています。
さて、踏切には「動作していない状態」と「動作している状態」の二つがあります。
どちらの方がより「安全」といえるでしょうか?
正解は、「動作している状態」。
すなわち警報器が鳴って遮断桿が下りている状態です。
踏切が故障したときは、警報器が鳴って遮断桿が下りるようにしておけば、通行人や車が踏切内に進入できないので事故は起きずに安全、という理屈です。
こういう「トラブったときは安全側に転ぶ仕組み」のことを「フェールセーフ」といいます。
鉄道では非常に大事な概念です。