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【鉄道会社の労働条件】労働時間ってどれくらいの長さ?

「働き方改革」という言葉がすっかり定着しましたが、「ぶっちゃけ、鉄道会社の労働条件ってどうなの?」と気になる人も多いでしょう。

『鉄道会社の労働条件を説明するシリーズ』、第5弾の今回は労働時間です。「何時間くらい働くの?」「出勤や退勤は何時ごろ?」といった疑問にお答えしましょう。

運輸現業職は「1ヶ月単位の変形労働時間制」

社会人には釈迦に説法ですが、労働基準法をよく知らない学生向けに、基本から解説していきます。

どこの鉄道会社でも、駅員・車掌・運転士の勤務形態は、1ヶ月単位の変形労働時間制という制度で対応しています。「1ヶ月単位の変形労働時間制」という単語、採用情報ページにも書かれているはずです。

労働基準法では、労働者を働かせてよいのは「1日8時間まで」かつ「1週間40時間まで」と決められています。これをハミ出した分は、残業代を支払わなければなりません。

ところが、このルールを厳格に貫くと、鉄道会社には不利益が生じます。

24時間の泊まり勤務の場合、休憩や仮眠を除くと、実労働時間は16時間くらいだと思えばよいでしょう。つまり、一回の泊まり勤務のたびに「1日8時間まで」を8時間くらいオーバーします(注)

仮に1ヶ月に10回泊まり勤務をしたら、残業時間は80時間。それだけの残業代を支給していたら、人件費がエラいことになります。

そこで登場するのが「1ヶ月単位の変形労働時間制」。これは泊まり勤務などのシフト制に対応した制度でして、

1ヶ月の労働時間を全部足す。
それが週平均40時間以内に収まっていれば、ハミ出した分があっても時間外労働(残業)とは扱わない。

たとえば、2月ってピッタリ4週間ですよね。この4週間の合計労働時間が160時間だとしたら……週平均は40時間になります。

これならば、「1日8時間」や「週40時間」を超えて働いた日があっても、その超過部分について時間外労働(残業)とは扱わなくてOKというものです。

(注)泊まり勤務での労働時間は「1日」としてカウント

泊まり勤務は2日にまたがって行われますが、労働時間のカウントとしては1日分の扱いとなります。途中で勤務が途切れるわけではないので。

たとえば、9時~翌9時という勤務は、労働時間のカウントとしては、9時~33時だと考えればいいです。

駅員は「24時間サイクル」が一般的

さて、基本的な法律知識を解説したところで、次は始業・終業時刻について説明しましょう。

駅員の場合は、「9時~翌9時」という24時間勤務が一般的です。もちろん9時という時刻は一例で、会社によってこの部分が8時30分だったり、9時30分だったりします。

が、いずれにしても24時間勤務であって、「前日と当日の泊まり勤務者が一斉交代する」ケースが一般的です。前項で書きましたが、泊まり勤務で24時間拘束の場合、休憩や仮眠を除くと、実労働時間は16時間くらいが妥当なラインだと思います。

(まあ、トラブルが発生した場合なんかは、自分だけノンキに休んでられないので、休憩が潰れることも多いですが)

乗務員は始業・終業時刻がバラバラ

対して、車掌・運転士といった乗務員は、決まった時刻に「泊まり勤務者が一斉交代」ではありません。

乗務員は、ある特定の時刻に全員が一ヶ所に集まっているわけではなく、列車に乗務してあちこちに散らばっていますよね。だから、決まった時刻に「全員が一斉交代」は難しいのです。

また、時間帯によって、乗務員の必要数も異なります。

  • 通勤ラッシュ時は、列車本数が多いので乗務員がたくさん必要になる
  • 昼間の閑散時間帯は、列車本数が少ないので乗務員は少なくてもよい

こういった事情から、乗務員の人数を時間帯によって“調整”する必要があります。この“調整”を行うために、乗務員によって、始業・終業時刻を少しずつ変えています。

乗務員A 9時~翌9時
乗務員B 11時~翌10時
乗務員C 14時~翌11時

こんな感じです。泊まり勤務者が一斉ではなく、少しずつ入れ替わっていきます。

駅員は24時間拘束が一般的ですが、乗務員は必ずしもそうとは限りません。拘束時間が24時間に満たない場合もあれば、逆に24時間を超える場合もあります。

乗務員になれば朝はゆっくりできることも多い

以上のように、会社にもよりけりですが、乗務員になると、始業時刻が朝ではなく昼になることも多いです。

出勤が昼の場合、朝はゆっくり眠れるのがいいところ。前日、遅くまで飲んで翌朝に多少寝坊しても平気です。

また、出勤する際も、通勤ラッシュの時間帯はすでに終わっているので超ラクです。通勤ライナー? 座席への着席保証? そんなもん不要です、普通に座って通勤できますから。いったんこのラクを知ると、早起きして満員の通勤列車で会社に行くのが、ものすごく苦痛になります(笑)

注意点としては、始業時刻が毎回変わるので、始業時刻を間違えて遅刻しないようにすることくらいですかね。

終業時刻が午前中なら「楽しめる」

最後に、「乗務員の終業時刻は何時くらい?」を説明して終わりましょう。

ウチの鉄道会社では、泊まり乗務員の終業は、ほぼ午前中のうちに済むようになっています。一番早い人で9時くらいに終業、一番遅い人が12時くらいですかね。

やはり通勤ラッシュは終わっているので、帰りもラク。9時や10時だと、いろいろな店が開き始めるので、帰りに寄り道するのも楽しいです。夜の帰路とは違い、急いで家に帰らなくてよいので、ゆっくり寄り道できるのがいいところ。私は、よく本屋に寄り道します。

また、11時や12時終業であれば、どこかで昼食をとってから家に帰るのもいいですね。家に帰ったら着替えてベッドに直行、疲れと満腹感ですぐ寝れます。

ただし、これも会社によりけり。

昔の話なので、今はどうか知りませんが、大手鉄道会社では、泊まりの終業時刻が14時とか15時になる仕事もあったそうです。ひえー、さすがにそれは地獄……。こういう勤務はやりたくない。

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