貨物列車はさまざまなコンテナを積んでいますが、よく目にする「レア度★」のものから、滅多に見れない「レア度★★★★」まで、いろいろあります。
レア度が高いコンテナの一つに、カーボンブラックコンテナというものがあります。今回の記事では、それを紹介しましょう。
なかなか見れないレアな「カーボンブラックコンテナ」
「カーボンブラックコンテナ? なんだそりゃ?」という人、まずは↓の写真をご覧ください。
ちょっと貨物列車に詳しい人でも、このコンテナは知らない人が多いのではないでしょうか? なぜなら、コレを積んだ貨物列車が走っている路線は限定的なため、全国的に目にできるコンテナではないからです。具体的にどこを走っているかは、↓の路線図をご覧ください。
関東・東北・北海道・四国にお住まいの方は、遠征しない限り、見ることはできないでしょう。しかも、これを積んだ貨物列車は一日数本のみ。狙って見に行かないと、目にすることが難しいレアコンテナといえます。
先ほど示したカーボンブラックコンテナが走る範囲の路線図、厳密には正しくありません。
新潟から岐阜まで運ばれるコンテナについては、岐阜を通り過ぎて、愛知県の名古屋貨物ターミナルまでいったん運ばれます。名古屋で別の列車に載せ替えられて、改めて岐阜貨物ターミナルに向かうのが正確なルート。
岐阜を通り過ぎて名古屋まで行き → 名古屋からブーメランのようにUターンして → 岐阜到着です。つまり、岐阜~名古屋間でもこのコンテナを見ることができます。
なぜわざわざ名古屋までいったん持っていくかの理由は、説明を省略します。長くなるので。
カーボンブラックとは「炭素の微粉末」
さて、カーボンブラックコンテナのレア度をわかっていただいたところで、「そもそもカーボンブラックってなに?」という疑問の説明をしましょう。
カーボンブラックとは炭素の微粉末です。炭素のことを英語でカーボンといいます。「煤=すす」みたいなものといえばよいでしょうか。よくわからない人は、鉛筆やシャーペンの芯を粉々にしたものをイメージしてください。
カーボンブラックは、印刷用インクのもと(黒色顔料)やゴムタイヤの補強材などに使われる素材です。かなり古い時代から人類によって使われていた素材みたいですね。興味がある人は調べてみてください。
このカーボンブラックを積むための専用コンテナが、カーボンブラックコンテナです。滋賀県彦根市に、タイヤメーカー・ブリヂストンの工場があります。そこで使用するために、発送元である北九州と新潟から、カーボンブラックを貨物列車で運ぶのです。
ただし、カーボンブラックを積んだコンテナは、直接彦根で荷下ろしするわけではありません。岐阜県の岐阜貨物ターミナルで降ろされ、あとはトラックでブリヂストンの彦根工場に向かいます。
なお、カーボンブラックは粉末状だと飛散の恐れがあり、輸送時の取扱いが大変なので、粒状に加工された状態で輸送します。
上部の赤塗装は「後付け」で施された
さて、このカーボンブラックコンテナですが……
コンテナ上部が少しだけ白色に塗装されていますよね。実はこれ、「後付け」の塗装なのです。なお、白でなく赤のケースもあるようです。
カーボンブラックコンテナは、当初は黒一色という、名探偵コ○ンに出てくる黒タイツの犯人みたいなコンテナだったのですが、「とある事情」で上部に別色の塗装を施すことになりました。
一体なぜ? ……については、次回の記事で説明します。
続きの記事はこちら カーボンブラックコンテナの「黒一色」は問題があった
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本記事の写真提供 Rob-Royさん
本記事内の写真は、『数万人に一人の病気 褐色細胞腫になったときの体験談』を運営するはてなブロガー・Rob-Royさんにいただきました。ありがとうございました(^^)
『数万人に一人の病気 褐色細胞腫になったときの体験談』は、いわゆる闘病記のブログ。入院や手術の知られざる(?)様子が詳しく書かれていて、かなり面白く読めます。なお、ブログ主のRob-Royさんは鉄道好きだそうです。