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第三セクター鉄道に就職するメリットとは?

今回の記事のテーマは、第三セクター鉄道への就職です。近年、三セク鉄道の数が増えているため、就職の対象にする学生が多くなったのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、「三セク鉄道に就職するメリット」について考察していきます。

三セク鉄道特有のメリットとは?

私の考える「三セク鉄道に就職するメリット」は、以下の四つです。

  1. 地元へのUターンができる
  2. 転勤がない
  3. 鉄道の仕事をずっと続けられる
  4. 自分の手で会社を整えていける

メリット1 地元へのUターンができる

地方出身の学生が都市圏に進学した場合、そのまま都市圏で就職先を探すことが多いでしょう。しかし当然ながら、地元にUターンしたい学生もいますよね。長男だから家に戻らなきゃいけないとか、将来的に親の面倒を見ることを視野に入れているとか。

Uターンしたい学生にとって、地元を走る三セク鉄道は良い就職先かもしれません。

都市と地方の格差が広がる中、地方で正社員の職を探すのは大変なはずです。正社員になれたとしても、給料が著しく安いとか、会社の業績が悪化して失業するとか、そういう確率は都市圏よりも高いでしょう。

そんな中、都市圏の鉄道よりも給料はだいぶ安いとはいえ、安定職種である鉄道は魅力的です。Uターンを目指す学生にとっては、ぜひとも候補に入れておきたい会社ですね。

メリット2 転勤がない

三セク鉄道は、一般的に営業エリアがそれほど大きくありません。広くてもせいぜい県内全体、という感じです。

ですので、他部署に異動になっても、引っ越しまで必要になることはあまりないと思います。「異動はあっても移動はない」ということですね。このあたりは、JRや営業範囲が広い私鉄にはないメリットだと思います。

ずっと同じ地域に定住できることは、人によっては大きな魅力に映ります。私の身内に公務員がいますが、数年ごとに県をまたいだ転勤が発生する職種なので、なかなか大変そうです。そういう転勤がイヤな人には、地域密着(?)の三セク鉄道は良い就職先でしょう。

【余談】転勤のない男性は婚活でモテる

完全に余談ですが、「転勤のない男性」は婚活市場でモテます。

個人的な話で恐縮ですが、私が婚活をしていたときの経験からです。いろいろな女性と出会いましたが、「転勤のない男性」を求める女性が思いのほか多かったです。地元を離れる不安や、子どもの教育といった観点から、転勤が多い男性は婚活女性から敬遠されがちのようですね。

メリット3 鉄道の仕事をずっと続けられる

近年、鉄道会社は関連事業への進出に力を入れています。たとえば、JR東日本のエキナカや、JR九州の不動産事業などは有名です。

よく言われるのが、「関連事業を営むグループ会社に出向になることがある」ということ。たとえばJR九州では、将来の幹部候補生には、重要なポジションを経験させるために、関連事業への出向を積極的に行うそうです。

このように、グループ全体では、鉄道と直接関係ない仕事がいろいろあります。ですので、採用面接の際には「鉄道の仕事をずっと続けたいです」と言うのはNG、「鉄道以外の仕事もOKです」と言うのが理想的な回答だ……みたいな情報がネット上には出回っています。

ただ、これは半分正しく、半分は間違っています。

関連事業への出向は、「総合職」で入社した人の話です。駅員→車掌→運転士の「現業職」で入社した人間が、20~30代の若いうちから関連事業会社に出向になることはありません。少なくとも、私の周りではほぼ聞いたことはないですね。
(大きなミスをやらかした乗務員が、左遷の意味で出向になることはありますが)

現業職として採用した以上は、鉄道のプロとして育てようというわけです。

もちろん最終的には、現業職の人間も出向になることはあります。しかしそれは、現場を一通り経験して、管理職としての経験もある程度積んでからです。年齢的にいえば、50代以降の話だと思ってくれてかまいません。

「いやいや、オレは退職するまで鉄道の仕事を続けたいんだ!」

こういう考えの人には、三セク鉄道はいいかもしれません。三セク鉄道には、そもそもグループ会社・関連事業がない(ことがほとんど)ですから、現業職で入社した場合は生涯鉄道マンを貫ける可能性は高いのではないでしょうか。

この「鉄道の仕事が続けられる」は、三セク鉄道特有のメリットかもしれません。

たとえば、先ほど紹介した「Uターンができる」は、三セク鉄道だけでなく、地方の中小私鉄にも当てはまります。しかし、地方の中小私鉄は、鉄道事業よりもむしろ関連事業の方が大きい会社が少なくありません。

ようするに、鉄道が“副業”なんですね。そういう会社だと、鉄道の現業職で入社しても、関連事業に異動になる確率が高いかもしれません。

メリット4 自分の手で会社を整えていける

一口に三セク鉄道といっても、歴史の長い会社・短い会社があります。

たとえば、長野県を走るしなの鉄道は開業から20年以上が経っています。東京圏なら、東京臨海高速鉄道(りんかい線)東葉高速鉄道といった会社も、20年近くの歴史があります。こういう会社だと、仕事の進め方をはじめとした社内体制がすでに固まっているでしょう。

しかし一方で、開業してまだ10年未満の三セク鉄道もあります。

並行在来線から分離された、石川県のIRいしかわ鉄道、富山県のあいの風とやま鉄道、新潟県のえちごトキめき鉄道、北海道の道南いさりび鉄道などです。今後、北陸新幹線の敦賀延伸に伴って、福井県にも三セク鉄道・ハピラインふくいが誕生します。
(※会社自体は2019年8月に設立済み。採用活動も始まるので、三セク鉄道を目指す学生は要チェック)

歴史の浅い会社ですから、仕事の進め方も、まだまだ手探りの部分が多いはずです。ようするに、これから会社を作っていけるおもしろさがあると思います。「他人の作った道を歩く」のではなく「自分で道を作りたい」という人にとっては、良い職場かもしれません。

メリットとデメリットの両方を考慮しよう

いかがでしょうか?
「三セク鉄道に就職するメリット」について、私の考えるところを書きました。

  1. 地元へのUターンができる
  2. 転勤がない
  3. 鉄道の仕事をずっと続けられる
  4. 自分の手で会社を整えていける

もちろん、三セク鉄道特有のデメリットもあります。そのあたりについては、↓関連記事を参考にしてください。

私個人としては「三セク鉄道に就職したいか?」と問われれば、「ちょっと……」というのが正直な気持ちです。ただ、それは私の考え方。三セク鉄道を魅力的に感じる人も多いでしょうから、そういう人のために今回の記事を書いた次第です。

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