現役鉄道マンのブログ 鉄道雑学や就職情報

趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職等で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

第三セクター鉄道に就職するメリットは何か?

こんにちは、現役鉄道マンのKYSです。
さて、ここ3回は楽しい記事を書きましたが、今日は真面目な話に戻ります。

これまで110以上の記事を書いてきましたが、アクセスの多い、いわゆる「人気記事」がいくつかあります。
Google・Yahooからの検索流入において、アクセスの多い記事の一つが↓です。

blog.kys-honpo.com


第三セクター鉄道(以下、三セク鉄道)に関するこの記事が、なぜアクセスを集めているのでしょうか?

三セク鉄道特有のメリットとは?


理由は二つ考えられます。

三セク鉄道の内情については、あまり情報が出回っていないというのが、まず一つ。
実際、私がネット上を探しても、三セク鉄道の内情については断片的な情報ばかりの印象を受けます。
そのため、ある程度まとまった情報を書いた当該記事は、なかなかに貴重なのだと推測できます。
実際のところ、「三セク 就職」といったキーワードで検索すると、当該記事の検索順位はかなり上位です。

もう一つの理由は、近年、三セク鉄道の数が増えているため、就職の対象にする学生が多くなったのではないでしょうか。
「三セク鉄道 就職」みたいなキーワード検索をする学生の絶対数が増加傾向というわけです。

そこで今回は、三セク鉄道について補足的な記事を書こうと思います。
といっても、三セク鉄道の「内情」については、さきほど紹介した記事で書いてしまっています。
ですので今回は、三セク鉄道に就職する「メリット」について考察していきたいと思います。

私の考える「三セク鉄道に就職するメリット」は、以下の四つです。

  1. 地元へのUターンができる
  2. 転勤がない
  3. 鉄道の仕事をずっと続けられる
  4. 自分の手で会社を整えていける

 

地元へのUターンができる


地方出身の学生が都市圏に進学した場合、そのまま都市圏で就職先を探すことが多いでしょう。
しかし当然ながら、地元にUターンしたい学生もいますよね。
長男だから家に戻らなきゃいけないとか、将来的に親の面倒を見ることを視野に入れているとか。

Uターンしたい学生にとっては、地元を走っている三セク鉄道は良い就職先といえるかもしれません。

都市と地方の格差が広がる中、地方で正社員の職を探すのは大変なはずです。
正社員になれたとしても、給料が著しく安いとか、会社の業績が悪化して失業するとか、そういう確率は都市圏よりも高いでしょう。

そんな中、都市圏の鉄道よりも給料はだいぶ安いとはいえ、安定職種である鉄道は魅力的です。
Uターンを目指す学生にとっては、ぜひとも候補に入れておきたい会社ですね。

転勤がない


三セク鉄道は、一般的に営業エリアがそれほど大きくありません。
広くてもせいぜい県内全体、という感じですよね。

ですので、他部署に異動になっても、引っ越しまで必要になることはあまりないと思います。
いってみれば、「異動はあっても移動はない」ということですね。
このあたりは、JRや営業範囲が広い私鉄にはないメリットだと思います。 

ずっと同じ地域に定住できるというのは、人によっては大きな魅力に映ります。
私の身内に公務員がいるのですが、数年ごとに県をまたいだ転勤が発生しうる職種なので、なかなか大変そうです。
そういう転勤がイヤな人には、地域密着(?)の三セク鉄道は良い就職先かもしれません。

完全に余談ですが、「転勤のない男性」は婚活市場でモテます。

個人的な話で恐縮ですが、私が婚活をしていたときの経験からです。
(妻とは結婚相談所で出会いました)
いろいろな女性と出会いましたが、「転勤のない男性」を求める女性が思いのほか多かったです。
地元を離れる不安や、子どもの教育といった観点から、転勤が多い男性は婚活女性から敬遠されがちのようですね。

鉄道の仕事をずっと続けられる


近年、鉄道会社は「関連事業」への進出に力を入れています。
たとえば、JR東日本のエキナカや、JR九州の不動産事業などは有名ですよね。

よく言われているのが、「関連事業を営むグループ会社に出向になることがある」ということ。
たとえばJR九州では、将来の幹部候補生のような社員には、重要なポジションを経験させるために、関連事業への出向を積極的に行うそうです。
(JR九州の元社長の著書より)

このように、グループ全体では、鉄道とは直接関係ない仕事がいろいろとあります。
ですので、採用面接の際には「鉄道の仕事をずっと続けたいです」と言うのはNG、「鉄道以外の仕事もOKです」と言うのが理想的な回答だ……みたいな情報がネット上には出回っています。

ただ、これは半分正しく、半分は間違っています。

関連事業への出向うんぬんについては、いわゆる「総合職」で入社した人間の話です。
駅員→車掌→運転士……の「現業職」で入社した人間が、20~30代の若いうちから関連事業会社に出向になる、ということはありません。
少なくとも、私の周りではほぼ聞いたことはないですね。
(大きなミスをやらかした乗務員が“左遷”の意味で出向になることはありますが)

現業職として採用した以上は、鉄道のプロとして育てようというわけです。

もちろん最終的には、現業職の人間も出向になることはあります。
しかしそれは、現場を一通り経験して、管理職としての経験もある程度積んでからです。
年齢的にいえば、50代以降の話だと思ってくれてかまいません。

「いやいや、オレは退職するまで鉄道の仕事を続けたいんだ!」

こういう考えの人には、三セク鉄道はいいかもしれません。
三セク鉄道には、そもそもグループ会社・関連事業がない(ことがほとんど)ですから、現業職で入社した場合は「生涯鉄道マン」を貫ける可能性は高いのではないでしょうか。

この「鉄道の仕事が続けられる」は、三セク鉄道特有のメリットかもしれません。

たとえば、先ほど紹介した「Uターンができる」は、三セク鉄道だけでなく、地方の中小私鉄にも当てはまります。
しかし、地方の中小私鉄は、鉄道事業よりもむしろ関連事業の方が大きい会社が少なくありません。
ようするに、鉄道が“副業”なんですね。
そういう会社だと、鉄道の現業職で入社しても、関連事業に異動になる確率は低くないのではないでしょうか。

自分の手で会社を整えていける


一口に三セク鉄道といっても、歴史の長い会社・短い会社があります。

たとえば、長野県を走るしなの鉄道は開業から20年以上が経っています。
東京圏なら、東京臨海高速鉄道(りんかい線)東葉高速鉄道といった会社も、20年近くの歴史があります。

こういう会社だと、仕事の進め方をはじめとした「社内体制」がすでに固まっているはずです。

しかし一方で、開業してまだ数年という三セク鉄道もあります。

並行在来線から分離された、石川県のIRいしかわ鉄道、富山県のあいの風とやま鉄道、新潟県のえちごトキめき鉄道、北海道の道南いさりび鉄道などです。
今後、北陸新幹線の延伸に伴って、福井県にも三セク鉄道が誕生します。
(会社自体は2019年8月に設立済みです。採用活動も始まるところですから、三セク鉄道を目指す学生は要チェック)

開業して間もない会社ですから、仕事の進め方も、まだまだ手探りの部分が多いはずです。
ようするに、これから会社を作っていけるおもしろさがあると思います。
「他人の作った道を歩く」のではなく「自分で道を作りたい」という人にとっては、良い職場かもしれません。

メリットとデメリットの両方を考慮しよう


いかがでしたでしょうか?
「三セク鉄道に就職するメリット」について、私の考えるところを書きました。

  1. 地元へのUターンができる
  2. 転勤がない
  3. 鉄道の仕事をずっと続けられる
  4. 自分の手で会社を整えていける


もちろん、三セク鉄道特有のデメリットもあります。
そのあたりについては、↓こちらの記事に書いてありますので参考にしてください。

第三セクター鉄道特有の(フクザツな)社内事情とは?


私個人としては「三セク鉄道に就職したいか?」と問われれば、「ちょっと……」というのが正直な気持ちです。
ただ、それは私の考え方。
三セク鉄道を魅力的に感じる人も多いでしょうから、そういう人のために今回の記事を書いた次第です。