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鉄道会社に就職したい女性の方へ 気になる疑問に答えます(1)

「鉄道会社に就職したい」と考える女性は、増えることはあっても減ることはないでしょう。ですから、女性向けの情報を手厚くすることは当ブログとしても必須ですね。

今回の記事では、「鉄道会社に就職したい。でも○○が気になる」という女性の疑問にQ&A方式で答えます。

なお、本記事は、駅員→車掌→運転士に代表される「運輸系統の現業職」に関する話です。いわゆる「総合職」を目指す人向けの内容ではないので、ご了承ください。

Q1 仕事をするうえで男性との身体能力差が原因で不利になることはある?

特にないと思います。
駅員・車掌・運転士には、パワーが必要な業務はないので大丈夫です。

一般的に女性は男性よりも低身長・低体重ですが、それが原因で運転士になれない、ということもありません。運転士になるための身体要件は国土交通省令で定められていますが、身長・体重の制限はないからです。

ただ、「ちょっと面倒な一手間」が発生することはあります。たとえば、背が低いと運転席のスイッチを操作するときに、上の方にあるスイッチに手が届かないといったケースです。そういう場合は踏み台を使うのですが、「ちょっと面倒な一手間」ですね。

また、不利とはちょっと違いますが、女性社員は男性社員よりも仮眠時間が短くなりがち。

原因は化粧です。起床後に化粧をする時間が必要なため、男性社員よりも早起きになるケースがほとんど。「早起きしなきゃいけないんで眠いです……」とボヤいている女性社員は少なくありません。そのあたりが男性よりも大変な面だと思います。

Q2 列車の運転って、やっぱり男性向けの仕事?

これは私の持論ですが、男性よりも女性の方が、列車の運転は上手い。

「えっマジで?」と思うかもしれませんが、いままでたくさんの運転風景を見てきた結果、私はそう思っています。

男女平等が叫ばれるようになって久しいですが、「性別差による男性の特性・女性の特性」ってやっぱりあると思うんですよ。ステレオタイプな見方かもしれませんが、キメ細やかさが求められる仕事は、やはり男性よりも女性の方が向いているのではないでしょうか。私自身の結婚生活の経験からも、やはり妻の方が細かいことによく気付きます。

そして、列車の運転にはキメ細やかさが求められる場面がたくさんあります。たとえば、速度調整やブレーキ操作ですね。

私、自分が乗客として列車に乗るときは、運転席の後ろで運転士の仕事風景を眺めることが多いですが、総じて女性運転士の方がキメ細やかな速度調整・上手なブレーキ操作をしているように思います。逆に「コイツ雑な運転するな~」と思うケースは、ほぼ男性運転士です(笑)

女性の方は「男性向けの仕事なのかな」などと臆さずに、どんどん入社してほしいと思います。

Q3 産休・育休は取れる?

取れます。
というか、産休・育休は「社内の福利厚生的な制度」ではなく「法律で保障された制度」ですから、取れないのは違法です。

産休・育休の期間は法律で最低限の定めがありますが、鉄道会社によっては法律以上の産休・育休期間を定めているところもあります。2019年9月現在、育児・介護休業法では育休は最長2年ですが、これを社内規定で3年としているようなケースです。

法律はあくまで「最低限のライン」を定めているだけであって、会社側がそれを上回る期間(=労働者にとって有利な内容)を与えるのはOKというわけ。

Q4 産休・育休後に復職できる?

現実には、「産休・育休が取れるか?」よりも、「産休・育休後に復職できるか?」が重要になってくるでしょう。

復職はできます。
全国あちこちの鉄道会社に「ママさん運転士」もいます。

ただし、「泊まり勤務」では子育てに大きな負担がかかるので、朝出勤して夕方に退勤する「日勤」がメインの勤務体系になります。そのあたりの話は↓の記事を読んでください。

「結婚して出産すると辞めさせられる・辞めざるを得ない」という慣習は、まだまだ日本では多く残っています。正直、そういう鉄道会社もあるでしょう。

ただ、これは私の個人的な考えですが、結局はその人次第だと思うんですよ。

休職前に会社に大いに貢献していた優秀な人材なら、「また働きたい」と申し出れば、いくらでも復職させてくれるはず。会社としても、優秀な人材は使わないと損ですから。逆に、会社にとってどうでもいい人材だったら、出産・子育てを機にうまいこと辞めさせる方向になるのではないでしょうか。

ですから、「会社がどう対応してくれるか」を気にするのではなく、「会社から必要とされる人材になること」を考えるのが大切だと私は思います。

Q5 ぶっちゃけ、男性上司がセクハラしてきたりする?

そんなものないっ!

……とキッパリ言いたいところですが、残念ながらゼロではありません。さすがに身体を触るようなケースは見たことありませんが、言葉によるセクハラをやらかす人がいます。
(あくまでもごく一部で、ほとんどの人は真っ当です)

私の個人的な感覚ですが、50代以上のオジサン社員に多いですね。セクハラへの注意喚起が盛んになったのはここ十数年ですから、特に50代以上の男性社員にはセクハラという概念があまりないのかもしれません。

これは鉄道会社に限った話ではないのでしょうが……。

また、昔は鉄道会社に女性社員はいませんでしたから、オジサン社員からすれば、女性社員の姿が見られるのは嬉しいのかもしれません。それで気が緩んでつい口が滑ってしまう、と。

オジサン社員に比べれば、20~30代の人間は“堅い”です。女性社員に向かってセクハラ発言をするような若手男性社員はまずいません。

というか、「下手に何か言ってセクハラになったら大変だ」と必要以上に警戒して、腫れ物に触るかのように女性社員に接する男性社員もいます。そのため、人によってはそういう雰囲気が逆に居心地悪いと感じるケースがあるかもしれません。

Q6 社内恋愛・職場結婚ってある?

あります。
職場結婚の場合だと、社内報で紹介されたりしますね。

ただし、セクハラの項でも述べましたが、特に若手男性社員は「何か下手なことを言ってセクハラになったら大変だ」と必要以上に警戒している面もあります。「あの子カワイイよね」とみんなが思っているような女性社員でも、誰も食事にすら誘わなかったりで、結局は社外の人間と結婚してしまうケースが多い……ような気がします。

男女比が圧倒的に偏っている割に、職場結婚は少ないかもしれません。まあ、くっつく人は結局くっつきますが。

珍しいですが、乗務員同士の結婚もあります。お互いの仕事内容がわかっているので、「仕事への理解が足りなくてケンカになる」という事態も生じにくいと思います。さらに、乗務員の年収はけっこう高額ですから、乗務員同士でくっつけば世帯収入は相当なものになります。いろいろな意味で「安定した夫婦」になる下地は揃っているわけです。

夫婦で同じ部署に所属している場合、どちらかが異動になることがあります。

ある程度大きな鉄道会社だと、乗務員の「所属部署」は複数あるのが普通です。会社によって呼び方は違いますが、乗務員の所属部署のことを、「運輸区」「乗務区」「運転区」などと呼びます。A線を担当するA区、B線を担当するB区、といった具合です。

夫婦揃ってA区に所属している場合、どちらかがB区に転属させられます。夫婦が同じ部署にいると、馴れ合いで仕事の規律が緩むので、というのが人事異動の意図するところでしょう。左遷ではないので淡々と受け入れるしかないですね。

長くなったので今回はここまで。続きのQ&Aは次回の記事で。

続きの記事はこちら 鉄道会社に就職したい女性の方へ 気になる疑問に答えます(2)

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