2019(令和元)年10月、台風による洪水で、北陸新幹線E7系・W7系が水没した事件に関する記事です。今回のキーワードは代替ルートです。
10月14日の北陸新幹線運行計画
まず、JR東日本・JR西日本の発表によると、10月14日の運転計画は次のようになっています。
- 北陸新幹線の真ん中部分に当たる長野~糸魚川で運転見合わせ
- したがって、東京~金沢を直通する「かがやき」「はくたか」はすべて運休
- JR東日本側は、東京~長野間で折り返し運転
- JR西日本側は、金沢~糸魚川間で折り返し運転
- なお、金沢~富山間の「つるぎ」は通常運転
鉄道を使う人は米原ルートを推奨
東京⇔富山、東京⇔金沢というルートが寸断されています。このルートを鉄道で移動する人は、東海道新幹線で米原まで行き、そこから北陸線経由で金沢・富山に向かうのがよいでしょう。
他に飛行機やバスといった手段もあるでしょうが、私、そっちは門外漢なのでちょっとわかりません。
長期間運休した場合の代替ルートは?
今後の運行計画ですが、
- 東京⇔富山・金沢の直通ルートは復旧するが、車両の都合がつかないので間引き運転にする
- 10月14日と同じような、両端での区間運転を行う
どちらになるかは、ちょっとわかりません。まあ、北陸新幹線は東京⇔富山・金沢の直通ルートがあってこその路線なので、常識的に考えて①だと思いますが……。
ところで、万が一②になってしまった場合、東京⇔富山・金沢の直通ルートが長期間寸断されてしまいます。その場合、代替ルートは用意されないのでしょうか?
たとえば、かつて首都圏~北陸を移動する際は、在来線特急はくたかを使うのが一般的でした。
上越新幹線で東京⇔越後湯沢間を移動し、越後湯沢⇔富山・金沢間を特急はくたかで移動する。
今回は短期間の運休で済むでしょうが、今後何かの災害によって、北陸新幹線が長期運休になった場合、一時的に「はくたかルート」を復活させることはありえるのでしょうか?
「はくたかルート」の復活は難しい
この特急はくたかの一時的な復活ですが、残念ながら可能性は極めて低いでしょう。ザっと考えただけでも以下の課題がありますが、これをクリアするのが難しすぎると思うのです。
- 車両をどこから調達するか?
- 7社が絡んでくるダイヤ調整はどうするか?
- 乗務員の手配をどうするか?
課題① 車両をどこから調達するか?
これは特に説明しなくても、難しさが容易に想像できると思います。
課題② 7社が絡んでくるダイヤ調整はどうするか?
もし、かつての特急はくたかと同じような列車を走らせるとしたら、以下の7社間でダイヤ調整が必要になるはずです。
- JR東日本
- 北越急行
- えちごトキめき鉄道
- あいの風とやま鉄道
- IRいしかわ鉄道
- JR西日本
- JR貨物
北陸新幹線開業に伴い、JR区間が第三セクター3社に分割されたため、関係者(社)が増えています。また、金沢駅に乗り入れるなら、駅を管轄するJR西日本との調整が必要です。さらに、この区間は貨物列車も走っていますから、JR貨物とも話をしなければなりません。
これだけの会社間でダイヤを調整し、臨時特急を走らせるのは相当大変だと思います。想像しただけでヤル気がなくなる面倒な業務です。
課題③ 乗務員の手配をどうするか?
JR東日本・JR西日本には、かつて特急はくたかを運転した経験者が残っているでしょう。しかし、そういう運転士を引っ張ってくればいいかというと、そう単純な話ではありません。
第三セクター3社に分割された区間は、もはやJRとは別路線です。運転に関する規定も、JRの規定とは別物になっているでしょう。
(ベースの部分はJRと同じでしょうが)
さらに、3社同士でも規定はそれぞれ微妙に異なっているはずです。
運転士は、自分の運転する路線の規定を知っていなければいけませんから、JRの運転士を使うなら、これら3社の規定を勉強させなければいけません。自社の規定に加え、他3社の取扱いまで覚えなければならない……めっちゃ大変です。「はくたか時代に運転経験がある人なら大丈夫」で済む話ではないのです。
では、第三セクター区間はそれぞれの会社の運転士に乗務させる案はどうか?
すると今度は、3社の運転士に、臨時特急に使う車両の教習をする必要があります。これもまた難しい話です。
会社間をまたぐ列車を運転させるのがいかに大変か、少しはおわかりいただけたでしょうか。
米原ルートの強化が現実的
以上のように、「はくたかルート」を復活させるには大変な困難が伴います。ハッキリ言って無理でしょう。
もし、北陸新幹線の東京⇔富山・金沢直通ルートが寸断されたら、現実的には上で示したような米原ルートでの移動しかないわけです。米原ルートなら、JR西日本が米原⇔金沢間の特急を増発・増結することで対応も可能ですしね。
いや、それもじゅうぶん大変な作業ではありますが、「はくたかルート」復活に比べれば壁は低いでしょう。
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本記事の写真提供 ふみとつさん
本記事内の写真は、『快速の部屋』を運営するブロガー・ふみとつさんにいただきました。ありがとうございました(^^)
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