現役鉄道マンのブログ 鉄道雑学や就職情報

趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職等で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

北陸新幹線の暫定ダイヤ 20編成で回すための車両運用を考えてみた

台風の影響で一部区間が運休になっていた北陸新幹線は、2019年10月25日に全線で運転を再開しました。
ただし、全30編成のうち10編成が水没。
残りの20編成だけでやり繰りしないといけないので、間引き運転(暫定ダイヤ)になっています。
間引きといっても、通常ダイヤの9割近い本数は確保されていますが。

 

車両の3分の1が使えないのに9割の本数を確保


個人的には、「車両の3分の1が使えなくなったのだから、7割程度のダイヤかな」と予想していました。
それがいざフタを開けてみると、9割近くが確保されたダイヤ。
鉄道マンとしては、「車両の3分の1が使えないのに、どうやって9割の本数を確保できたんだ?」と疑問が湧いてきます。

そこで、20編成だけでダイヤを回せるものなのか、実際に検証することにしました。

20編成で回せるように車両運用を組み直す


通常よりも少ない20編成だけでダイヤが回るように考える。
たとえて言うならば、「職場の同僚が病欠したので、シフトに穴が空かないように勤務表を組み直す作業」のようなものだと思ってください。

ただ、「組み直す」といっても、今回の北陸新幹線の暫定ダイヤでは、まったくの一から時刻を作り直したわけではありません。
あくまでも通常ダイヤをベースとし、ところどころ虫食い状に運休が発生している形です。
ですので、車両の使用スケジュールである「運用計画」も、通常ダイヤのものをベースとして考えてよいと思います。

もちろん、通常の「運用計画」をそのまますべて当てはめてしまっては、車両の本数が足りなくなります。
“切り貼り”や“組み替え”などのテクニックを駆使して、必要となる車両の本数を削減し、20編成だけで回せる形に組み直します。

「うーん、何を言っているのかサッパリわからん」という人、申し訳ありません。
かなり専門的で難しい話なので、わからなくても無理ないです。
雰囲気だけ感じてください。

暫定ダイヤの「列車運行図表」を作ってみた


JR東日本のホームページで、北陸新幹線の暫定ダイヤが公表されています。
それを元にして、↓の図を自分で作ってみました。


f:id:KYS:20191027074901j:plain


f:id:KYS:20191027074706j:plain


これは「列車運行図表」というものです。
鉄道に詳しい人ならば、ご存知でしょう。
「列車運行図表? なんじゃそりゃ?」という人は、こちらに説明がありますので、クリックしてください。

列車運行図表に運用計画を“のせて”いく


そして、車両の運用計画を見ることができるこちらのホームページを参考にさせていただきます。
(鉄道会社の公式ページではないので、情報の真偽について判断はできませんが、とりあえず使用させていただきます)
このホームページでの情報をもとに、色鉛筆や蛍光ペンを使って、列車スジに車両の運用計画を“のせて”いきます。
たとえば、東京駅で折り返す列車の場合は、↓のように書きます。



f:id:KYS:20191027075008j:plain

情報によると、通常ダイヤでは、北陸新幹線の運用計画は23あるそうです。
運用計画1に対して、車両を1編成用意しないといけません。
つまり、車両を23編成用意しないと、ダイヤは回らないというわけです。

もちろん、それではダメですね。
いま考えているのは、「20編成でダイヤをどう回すか?」ですから。

今回の暫定ダイヤの施行にあたっては、上越新幹線で運用されているE7系を北陸新幹線に回しているはずです。
さらに、間引き運転すなわち一部列車が運休になっています。
ですので、何もせずとも23という必要編成の数は減ります。
ただ、それでも9割近くの列車本数が残っているため、必要編成数を20以下まで絞るのは容易ではありません。

我流ではありますが、あちこちで“切り貼り”したり“組み替え”をして試行錯誤した結果、↓の図のように17編成で暫定ダイヤを回す形を作ることに成功しました。


f:id:KYS:20191027075048j:plain



f:id:KYS:20191027075121j:plain

この図はあくまで、「理論上はこういうこともできる」ということを示しただけ
で、一番大切な「実戦に耐えうる計画であるのか?」という点までは突っ込んで検証していません。
(というか、しょせん部外者にはそこまで検証できません)
たとえば、車両の運用計画には「どの時点・どの場所で車両検査を行うか?」が走行キロなどを計算されたうえで織り込まれているのですが、そういった点は考慮していません。

また、6時の始発時点では

・東京に5編成・長野周辺に5編成
・富山に3編成・金沢に4編成

対して、24時の終電の時点では

・東京に6編成・長野周辺に4編成 → 長野に1編成足りない
・富山に2編成・金沢に5編成 → 富山に1編成足りない

ですので、東京→長野および金沢→富山まで、回送を一本ずつ運転する必要があります。

必要編成数17はおそらく妥当な数字


繰り返しますが、この図は私が勝手に作ったもので、公式情報でもなんでもありません。
あくまで「理論上はこういうこともできる」を示しただけですので、注意してください。
突っ込みどころもいろいろあると思いますが、生温かい目で見てもらえれば幸いです。

ただ、実際の現場でも、このような作業が行われているはずです。
関係部署が相互に打合せを行い、運用計画の変更案を作り、支障がないかを検討する。
そして問題がなければ実際のダイヤに落とし込む。
こうした作業を繰り返して、ダイヤが完成します。

そして、20編成のうち、17編成でダイヤを回して3編成を残しておくという形は妥当なものだと思います。
鉄道車両には検査のための「休日」が絶対必要ですから、20編成全部を使ってダイヤを回すのはダメなんですね。
検査に入れるための余裕として、3編成くらいは残しておく必要があります。

今回の記事はここまでです。
次回は、「年末年始の輸送をどう乗り切るのか?」について考察したいと思います。