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EH500のウルトラC 「背が高すぎて通行できない」をどうクリアした?

遊園地のアトラクションでは、身長制限があるものが少なくありません。「90㎝未満の方はご利用いただけません」という具合です。

この身長制限、「~㎝未満は乗れない」というケースが一般的です。しかし、逆に「~㎝以下じゃないと乗れない」ケースもあります。ようは、背が高い大人は乗れないアトラクションです。

背が高すぎてはいけない──

実は、鉄道の世界にも似たような話があります。

普段は現れない機関車をイベントのために持ってこよう

かつて広島で、JR貨物による一般向け公開イベント──貨物フェスティバルというやつですね──が開かれたときのこと。イベントでの展示用にEH500という電気機関車を持ってきたのですが、裏話をひとつ。

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EH500 通称「金太郎」

EH500、普段は広島地区に入線しません。本州と九州を結ぶ関門トンネルを中心にした、限られた区間で運用されています。それを普段は現れない広島地区に持ってきて、イベントの目玉にしようとしたわけ。

背が高くて「入線確認」に引っ掛かる

ところがどっこい、EH500は「背が高い」機関車のため、広島地区まで運べませんでした。

自動車の世界だと、「このアンダーパス道路は高さ2.3m以下の車両しか通れません」のような制限がありますね。それと同様に、鉄道でも路線ごとに、「入っていい車両はこの大きさまで」という制限が決められています。

極端な例をあげると、断面積の小さなトンネルがある路線には小さな車両しか入れない、という具合です。

「この車両はこの路線を通行してよいか?」という審査のことを、業界用語では「入線確認」と呼びます。背が高いEH500は、広島地区までの途上で車高制限に引っ掛かり、入線確認をクリアできなかったのですね。参考までに、JR貨物の主な機関車の車高を列挙しておくと……

  • EF66  3m87㎝
  • EF210 3m98㎝
  • EH200 3m79㎝
  • EH500 4m28㎝

必殺のウルトラC 車高を低くするために……

さて、背が高すぎるEH500を、どうやって広島地区に持ってきたか?

ここで、冒頭に書いた遊園地の話。

身長170㎝以下じゃないと乗れないアトラクションがあるとします。乗車前、係員に身長を測ってもらったら、1㎝オーバーしていました。

このケース、100人中99人は「あ~残念」とあきらめるでしょうが、もしどうしても乗りたければどうするか? 私が思いつく手は、一つしかありません。

 靴を脱ぐ

いや、この方法が許されるかどうかは知りませんが(笑) 靴を脱げば1㎝くらいは低くなるはずです。靴底って、けっこう分厚いですよね。

靴を脱げば身長が低くなる。これと同じような荒業を、EH500の広島入線で発動させました。具体的には、

 車輪を削った

車輪を削れば、車高は低くなりますね。高さ制限ギリギリに収まるところまで車輪を削る。「そんなんアリ?」と思うようなウルトラCですが、こうしてEH500の広島入りを実現させたそうです。

普段は通らない車両が、何かの都合で臨時に通行する。その背後では、入線確認という手続きが行われています。決して、「レール幅(軌間)さえ合っていれば、どの車両でもフリーパス」ではありません。

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本記事の写真提供 ヤーコンさん

本記事内のEH500の写真は、『ボクの息子はもう子鉄じゃないかもしれない。』を運営するはてなブロガー・ヤーコンさんにいただきました。ありがとうございました(^^)

『ボクの息子はもう子鉄じゃないかもしれない。』は、鉄道旅やその周辺を紹介するブログで、「子どもが楽しめる視点」を多く取り入れている印象です。また、国連サミットで採択された「SDGs=持続可能な開発目標」と「鉄道」の組み合わせをブログのテーマにしているのも珍しいと思います。