今回の記事は、冬にまつわる鉄道雑学です。まずは一つクイズを出します。
A.5000万円
B.5億円
C.50億円
D.500億円
( ゜Д゚) <「D.500億円」で
( ^^) < ファイナルアンサー?
( ゜Д゚) < ファイナルアンサーとか古いだろ
( ^^) < うるせえ
( ゜Д゚) < ……
( ^^) < ファイナルアンサー?
( ゜Д゚) < ……ファイナルアンサー
( ^^) < ざぁんねえぇぇぇん!!
( ゜Д゚) < うぜえ
雪対策費用の具体例
正解はC.50億円です。
雪対策が必要な期間を、仮に11月~2月の4ヶ月間 = 120日とすると、1日当たり4000万円以上かかる計算です。あひゃー。
JR北海道はさまざまな雪対策をしていますが、詳細は↓のリンク先をご覧ください。公式ホームページの資料です。これを読めば、どういうところで費用がかかっているのか、なんとなく想像できるはずです。
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20191129_KO_winter.pdf
……え? わざわざリンク先に移動してまで読むのはめんどくさい? じゃあ、具体的にどのような費用がかかるか、例を挙げますと……
- 除雪作業の人件費
線路に積もった雪をラッセル車が跳ね飛ばしていく光景、みなさんも一度は見たことがあるでしょう。しかし、除雪が必要な箇所すべてをラッセル車で対応できるわけではなく、人の手に頼らざるをえない箇所もあります。その場合は文字通り人海戦術になりますが、この人件費が雪対策の費用です。 - 電気融雪器の電気代
ポイントの可動部に雪が詰まると、ポイント不転換を起こし、列車の運行に支障をきたします。それを防ぐため、ポイント部には電気融雪器という電熱ヒーターを設置して雪を融かすのですが、電気代がかかります。
JR北海道は雪のせいで構造的な不利を被っている
このような「目に見える費用」以外にも、JR北海道は損をしているはずです。
大雪の影響で列車が運休になったり、特急列車が2時間以上遅れて特急券を払い戻したりすると、入ってくるはずだった売上が失われます。こうした目に見えない損失を決算上どう処理しているかは知りませんが、損失額は少なくないはずです。
また、設備負担が過大になっている面もあると思われます。
各種の線路設備や車両・機器類は、雪が降るのを前提としたスペックで整えておかなければいけません。いわゆる「寒冷地仕様」というやつですね。
しかしこれ、雪の降らない夏などにはオーバースペックになってしまいます。オーバースペックの設備は、減価償却費を余計に発生させます。
こうした諸々の事情から考えると、雪のせいでJR北海道がマイナスを被っている金額は、50億円では済まないはずです。
このように、JR北海道は、気候のせいで構造的な不利を強いられています。同じ三島会社でも、(基本的に)雪に悩まされることのないJR九州・JR四国との違いはそこですね。
雪対策の費用が財務面でも足を引っ張っている
この雪対策費用、JR北海道の財政状況に、どれくらい悪影響を与えているのでしょうか? 2018年度の決算書(連結ではなく単体)を見てみます。
営業利益 520億円の赤字
経常利益 198億円の赤字
仮に雪対策の費用がゼロだとしてもバリバリの赤字ですが、50億円のマイナスがなければ、話はだいぶ違ってきます。たらればを言っても仕方ないですが、降雪地帯のJR北海道がいかに不利な状況に置かれているか、おわかりでしょうか。
ふるさと納税で間接的に支援する手も
こういう話を読むと、「JR北海道をなんとか支援したい」と感じる読者の方もいるかもしれませんね。もちろん、JR北海道に乗りに行って直接カネを落とすのがベストでしょうが、北海道へのふるさと納税もアリだと思います。
JR北海道が「単独での維持が困難な路線」を発表してから、約3年が経ちました。最終的にこれらの路線は、地方自治体の財政支援うんぬんという話になってきます。北海道の地方自治体にふるさと納税をすれば、JR北海道を間接的に支援したことになる……かもしれません。
ウチの会社でも、ふるさと納税をやっている人は多いですが、みんな返礼品ばかり気にしています。もちろん、それがダメとは言いませんが、もう少し違った視点があってもいいんじゃないかな……と個人的には思います。