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2016年のダイヤ改正が「3月下旬」で例年より遅かった理由とは?

JR各社は3月上旬~中旬にダイヤ改正を行うのが通例になっています。具体的には、「3月の第2土曜日」というケースが多いです。

2021年のダイヤ改正も、第2土曜日の3月13日(土)と発表されました。「終電繰り上げの会社間調整に時間がかかるから、第4週の3月27日が改正日では?」と予想する記事(外部リンク)もありましたが、結局、近年の通例に従った形です。

2016年の改正が3月下旬だったのは北海道新幹線の影響

さて、近年の唯一の例外といってよいのが2016年改正です。このときは3月26日という、稀にみる遅いダイヤ改正でした。

これ、理由をご存じでしょうか?

2016年3月26日というと、北海道新幹線が開業した日。開業に万全を期すため、JR北海道が他社にお願いして、3月下旬という遅い日程でダイヤ改正を行なったのです。

具体的には、雪によるリスクを避けるため。

JR北海道にとっては初の新幹線。そのため、どうしてもオペレーションに不慣れなところがありました。まだ不慣れなところに、雪によるトラブルが発生すると、じゅうぶんな対応ができないかもしれない。

そこで、雪のリスクを減らすために、少しでも気温が上がる3月下旬を改正日にした……というのが理由です。札幌延伸のときも、同様の理由で3月下旬の改正になるかもしれませんね。

北海道新幹線開業の影響が大きいため改正日を揃えた

なにも北海道新幹線に合わせなくても、他のJRは3月上旬~中旬にダイヤ改正しちゃえばいいじゃん。で、北海道新幹線は単独の日程で開業させれば。

そう思った人もいるかもしれません。

しかし、北海道新幹線が開業すれば、JR東日本も大きく影響を受けます。東北新幹線の運行体系が根本から変わりますし、青森~函館を結ぶ在来線特急の廃止という問題もあります。

また、北海道新幹線の開業に伴い、青函トンネルの走行システムが変更されました(=在来線仕様から新幹線仕様へ)。そうなると、青函トンネルに貨物列車を走らせるJR貨物にも影響を及ぼします。

ようするに、北海道新幹線の開業は、他のJRとも密接に関係していたわけ。ですので、JR全社で改正日を揃えた方が合理的だったのですね。

北海道に機関車が取り残されないかJR貨物はヒヤヒヤ

最後に蛇足ですが、貨物列車の雑学をひとつ。

北海道新幹線開業時、青函トンネルの走行システム変更に伴い、それまで青函トンネルで運用していた電気機関車のEH500は通れなくなりました。青函トンネルを通れないとは、すなわち本州~北海道間を行き来できなくなる。

そのため、ダイヤ改正の時点で、すべてのEH500を本州側に移動させておく必要がありました。

計画通りにいってくれれば何も問題ないですが、貨物列車は遅延することが日常茶飯事。遅延によって計画が狂い、EH500が北海道側に取り残されたら……と、JR貨物はヒヤヒヤだったらしいです(^^;)

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