現役鉄道マンのブログ 鉄道雑学や就職情報

記事のクオリティには自信あり! 鉄道関係の記事が約360! 趣味で鉄道好きな人や、鉄道業界への就職を目指す人は必見!

スーパーはくとが姫路折返しになったら「大阪ひだ」にも影響する?

京都~鳥取・倉吉を結ぶ特急スーパーはくと。これを京都始発ではなく、姫路始発にすることで増発を行う案が、自民党鳥取県連政調会から出されました(2022年6月のニュース)。

この件については、当ブログでも以前に記事を書きました。「増発は可能か?」という切り口でしたが、今回は別の視点から記事を書きます。

京都・大阪エリアでは「気動車」は超マイノリティ

スーパーはくとは京都を始点として西へ向かっていきますが、この京都・大阪エリアでは、他にも大量の列車が走っています。

JR西日本を代表する新快速。ノーマル快速 & 普通列車もある。特急列車だと、サンダーバードやはるか……。

これらはいずれも「電車」です。屋根のパンタグラフで架線から集電し、電気の力でモーターを回して走ります。外部電源がないと走れないのですね。

これに対して、スーパーはくとは「気動車」です。自らが搭載したディーゼルエンジンの力で走ります。鳥取方面に向かう途中で、非電化路線──架線がない線路に入るため、電車では運行が不可能であり、気動車を使用しています。

何が言いたいかというと、京都・大阪エリアでは「電車」が圧倒的大多数で、「気動車」は超マイノリティだということです。本数の比率が100:1という感じですね。

スーパーはくとのために気動車運転士を用意する必要がある

こういう状況だと、面倒くさいことが一つあります。運転士の免許です。

みなさんご存じだと思いますが、鉄道車両を運転するには免許が必要です。そして、免許は車種によって違います。これはクルマと同じで、たとえば普通乗用車とトラックでは免許の種類が違いますよね。

同様に「電車」と「気動車」では免許が異なります。つまり、新快速(電車)の運転士が、スーパーはくと(気動車)を運転することはできません。

別の言い方をすると、スーパーはくと(一日7往復・現在はコロナ禍により6往復)のために、京都エリアに気動車免許持ちの運転士をわざわざ配備しないといけないわけ。

これはやはり、運用面や管理面で非効率的でしょう。飲食店に例えると、あまり品数が出ない料理に対して、専属の料理人を雇っているようなものです。

そうした観点からすれば、冒頭で触れた「スーパーはくと姫路折返し」は、なかなか良い案です。スーパーはくとが京都まで来なくなれば、少ない本数のために、わざわざ気動車運転士を配備しなくていいからです。

大阪ひだ スーパーはくと以外にも気動車特急がある

ところが、話はそう都合よくいかなくて……。実は京都~大阪間には、他にも気動車特急が走っています。大阪ひだです。

鉄道好きの方なら、スーパーはくとだけではなく大阪ひだもご存じでしょうが、簡単に説明しておきます。

ひだはJR東海の特急列車で、名古屋~高山・富山を結んでいます。ようは名古屋をホームグラウンドとする列車ですが、一日1往復だけ大阪発着があります。これが通称大阪ひだです。まとめると、↓図のようになります。

仮に「スーパーはくと姫路折返し案」が通って、スーパーはくとが京都・大阪から姿を消したとしましょう。しかし、大阪ひだが残っている以上、気動車運転士を配備し続ける必要があります。

スーパーはくとを消すと大阪ひだの存続に影響するかも

スーパーはくと・大阪ひだの列車運行図表(2022年7月現在ver)を描くと、以下のようになります。

実際は車両基地への回送や、気動車使用の「びわこエクスプレス2号」があるが省略

気動車はマイノリティとはいえ、現在はこれだけ本数があるので、わざわざ気動車運転士を配備する意味もあるでしょう。しかし、仮にスーパーはくとが消えると……

気動車列車がほぼなくなる

たったこれだけのために、わざわざ気動車免許持ちの運転士を京都エリアに配備するのは、さすがに効率が悪すぎです。JR西日本の立場からすれば、大阪ひだを維持するのはシンドイ、廃止したいなぁ……と思っても不思議ではないですね。電車と気動車を混在させる大変さがよくわかります。

JR西日本が「スーパーはくと姫路折返し案」をどう考えているかは不明ですが、もし実現した場合、セットで大阪ひだにも影響するかもしれません。もっとも、スーパーはくとの姫路折返し、少なくとも数年以内の実現は「ない」でしょうが。

特急しらさぎの再編時に動きがあるかも

あとは難しい話なので、鉄道好きの方だけどうぞ。

大阪ひだに影響を与える可能性があるのは、スーパーはくとだけではなく、特急しらさぎもです。しらさぎは、名古屋・米原~金沢を結ぶ列車。北陸新幹線が敦賀まで延伸した際は、しらさぎの運行体系変更が決まっています。

で、ひだとしらさぎの間にどのような関係があるかというと……

  • ひだの車両はJR東海所有 → JR西日本区間にも乗り入れる
  • しらさぎの車両はJR西日本所有 → JR東海区間にも乗り入れる

ようはお互いに車両を貸し合っているわけ。部外者の推測ですが、ひだとしらさぎで「車両使用料の相殺」をしているのではないでしょうか。よって、しらさぎの再編時に、ひだにも影響があるかもしれません。たとえば、しらさぎの本数が減った場合、その相殺のために「京都ひだ」に短縮されるとか……。

関連記事

スーパーはくとを「1時間1本に増発」は現実的なのか?


銚子電鉄のコスト削減策 気動車に転換するのはどうか?


→ 鉄道の豆知識や雑学 記事一覧のページへ


⇒ トップページへ