真夏の昼間に自転車をこいで汗ベッタベタになりながら、遠くのスーパーまで買い物に行くという暴挙を働く男──
はい、私です
クルマ? ないよ? 妻が仕事へ行くのに使ってるから。ウチは一家に一台だから。
真夏の昼間に外へ出る。かなり危険な印象があります。が、子どものときはスポーツ少年でしたし、大人になっても真夏の外出は普通にやっているので、わりと身体が慣れています。歳を喰って身体機能が衰えると、熱中症リスクが高まるので、過信は禁物ですが。
独身のときは、高校野球の地方大会を一日フルで観戦するのが夏の楽しみでした。汗ダラダラのベッタベタになりながら、よくやっていたと思います。
「汗をかく機能」を使わないと大変なことになるのでは
汗について、少し考えてみましょう。
そもそもなぜ人間が汗をかくかというと、体温調節のためです。汗が蒸発するときに身体の熱を一緒に持っていく(=気化熱)ので、体温が下がります。暑いときに汗をかくのは、身体が体温を下げようとしているわけ。
とにかく、我々の身体には「汗をかく機能」が備わっています。
何を当たり前のことをと思うかもしれませんが、当たり前ついでにもう一つ。「身体に備わっている機能は使わないと衰える」。わかりやすいのが筋肉ですね。ずーっと運動しなければ筋肉は衰えます。
興味深い話を一つ。
日本では高齢者の免許返納が強く推奨されますが、免許を返納した高齢者は、返納しなかった人より、数年後に要介護になる確率が約2倍になると読んだことがあります。車の運転という作業は、身体のあらゆる機能を総合的に使いますから、そういう機会が無くなると、衰えが早くなってしまうのかも……。
私は医学の専門家ではありませんが、これも「使わない機能は衰える」の一種ではないかと素人なりに考えています。
話が逸れましたが、「使わない機能は衰える」ならば、「汗をかく機能」も使わなければ衰えてしまいます。真夏は熱中症リスクがあるからと、エアコンの効いた屋内ばかりにいると、「汗をかく機能」が使われずにドンドン衰えていく。それは体温調節がうまくできなくなるのとイコールで、結果的に熱中症に弱い身体になるのでは……というのが私の心配です。
真夏の屋外で働く人がいないと世の中は回らない
自分は今後一生、真夏はエアコンの効いた屋内だけで過ごすから、「汗をかく機能」は衰えても大丈夫! と考える人がいるかもしれません。が、実際そうもいかないでしょう。
というのも、専門家などは「真夏の昼間は屋外での活動を控えよう」と簡単に言ってくれますが、経済活動を回すために、真夏の昼間でも屋外作業をしなければならない職種はたくさんあります。道路工事やビル建設の現場、郵便配達、引っ越しなどなど……。
本当に真夏の屋外活動を控えたら、世の中いろいろ困ることが出てくるはずです。
ちなみに2022(令和4)年7月8日、西武池袋線で架線が損傷するトラブルがありました。発生が朝ラッシュ時間帯、運転再開したのが15時近くですから、作業員は暑い中を復旧作業にあたったはずです。「いまアチーので復旧作業は夜になってから」なんて言ったら「ふざけんな!」ですから、猛暑だろうが酷暑だろうが、やらなければいけません。
真夏の鉄道マンの仕事風景
こうした緊急時に限らず、鉄道でも、真夏に屋外作業をしている係員は少なくありません。線路巡回をしている保線係員や、駅ホームで安全監視のために立っている駅員などは、みなさんも目にしたことがあるでしょう。
あ、ちなみに最近流行りの(?)ファン付き作業服、保線の同僚に聞いたところ、アレは慰め程度らしいです。
乗務員はエアコンの効いた涼しい運転台だけで仕事をしていると思われがちですが、それは間違いで、外へ出るシーンもちゃんとあります。
(→詳しくはこちら 『運転士の熱中症はなぜ起こる? どう防ぐ?』)
私の現職は指令ですが、これはさすがに外へ出て仕事をすることはありません。指令室に詰めるのが仕事だからです。一日中、エアコンの効いた室内に籠りっぱなし。機器に支障が出ないよう、エアコンの設定温度も低めですし。
そういう環境なので、エアコンの冷気ばかり浴びて、熱中症に弱い身体になりそうだなぁと思いながら仕事しています。だから休日の私は、ある程度「汗をかく機能」を使わなければと思い、真夏の昼間でも、無理のない範囲で外に出るよう努めているわけです。
熱中症は非常に危険──ある種の多臓器不全だそうですから、もちろん避けなければいけません。ただ、あまりエアコンばかりに頼るのも、どうかと思います。身体はさまざまなスゴイ機能を備えていますから、それらをちゃんと知り、維持・メンテしていきたいものです。