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2019年の京急脱線事故 調査報告書が公表される

みなさんは、2019(令和元)年9月に発生した京急の脱線事故を覚えているでしょうか? 踏切内で立ち往生したトラックに列車が衝突し、脱線したものです。

そして事故から約1年半が経過した2021(令和3)年2月、この脱線事故の調査報告書が公表されました。

調査報告書(リンク先・運輸安全委員会のホームページ)

信号機の位置が不適切で運転士のブレーキが遅れた?

このような大事故は「コレ!」という決定的な原因が一つだけあるわけではなく、複合的な要因によって引き起こされることがほとんど。ですので、「これが原因」とスパッと断じる言い方は良くないのですが、あえて一言で述べるなら、

異常を知らせる信号機の位置が不適切だったため、運転士のブレーキ遅れにつながったのでは?

こういう可能性が指摘されています。ニュースでも、「信号機の位置が~」「運転士のブレーキ遅れが~」という論調で報じられている印象です。

ただし、このあたりの検証に関しては、本記事では論じません。鉄道マンとして私が読者のみなさんに伝えたいことは、他にあるので。

鉄道側のシステムを改善しても踏切事故はゼロにならない

鉄道マンとして伝えたいこと──

事故後にもっとも大切なことは再発防止です。信号機の位置・運転士のブレーキ操作。こうした点を改善すれば、今後、踏切事故は起きなくなるでしょうか?

答えはです。

もちろん、鉄道側の設備やルールは見直す必要があります。しかし、いくら鉄道側のシステムを整えても、非常ブレーキを掛ければ止まれる「最終防衛ライン」を過ぎてから踏切に進入されたら(=直前横断など)事故は免れません。

「踏切は危険な場所」という意識を利用者に浸透させることが大切

踏切の安全(もっと言うと鉄道の安全)は、鉄道会社の努力だけで守れるものではありません。踏切を利用する側 = 国民全体の理解と協力も必要です。

列車は急に停まれない乗り物であり、踏切とは危険な場所である

踏切の危険性を改めて周知し、国民全体の意識に浸透させることが最大の安全対策だと私は思います。

その意味で、「信号機の位置が~」「運転士のブレーキ遅れが~」と鉄道会社側からの観点ばかりで報道されているのは、いかがなものか? 「いかがなものか」とは、再発防止に効果的なのか? という意味です。

こうした論調で報じられることで、「踏切は鉄道会社が安全対策を進化させている → だから少しくらい危ない横断をしても大丈夫だよね」と踏切利用者に思われてしまうことが、私としては怖いです。

もちろん、鉄道会社側は可能な限りの安全対策をしなければいけません。しかし、基本に立ち返って、「踏切とは危険な場所だ」という意識を国民全体で共有することが大事ではないでしょうか。

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京急の脱線事故(3) 自動ブレーキを導入するべきか?


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