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名古屋鉄道の車掌が落とし物の財布から現金を着服

2020(令和2)年4月1日、名古屋鉄道(名鉄)の車掌が、落とし物の財布から現金数千円を着服。財布を届けた客からの問い合わせで発覚。当該車掌は懲戒解雇。

う~ん、これまた残念なニュースです。たかだか数千円、「魔が差した」というには、あまりにも低すぎる金額。読者のみなさんは、「たった数千円で人生棒に振るとはバカだな」と思うでしょうが、私も同じような感想です。

鉄道会社を懲戒解雇になるって、よっぽどです。

たとえばですが、過失によって鉄道事故を起こしたとしても、さすがに懲戒解雇にはなりません。重~い処分を受け、刑事責任もしっかり問われ、あとで関連会社に飛ばされますけど、さすがにクビまではいかない。

落とし物を「届けた人」からの問い合わせは珍しくない

今回は、財布を届けてくれたお客さんからの問い合わせで発覚したのですが、読者のみなさんは以下のような疑問を感じるかもしれません。

「落とし物を『した人』じゃなくて、『届けた人』が問い合わせてくることなんてあるの?」

はい、あります。よくあるとまでは言いませんが、決して珍しいことではありません。特に、今回のような現金関連だと、そういう確率は上がります。

「私が届けた財布はキチンと処理されたか?」
「落とし主は現れたか?」

こんな具合です。

「落とし物の処理は怖い」と教育された

落とし物の処理に関しては、私も駅員時代に、先輩からしっかり釘を刺されました。釘を刺されたというか、脅されたといってもいい(笑)

「落とし物を届けた人からの問い合わせもあるから、間違っても自分の懐に入れたりするなよ」

えっ、届けた人から問い合わせがあるの? マジで? と感じたことをよく覚えています。

「たとえ1円の落とし物でも、いい加減な処理をすると、あとで責任問題になる可能性があるぞ」
「たかが1円でクビになったりしたら馬鹿らしいだろ?」

ある意味、駅員の業務で一番“怖い”のが落とし物の処理なのです。うーむ、この車掌は駅員時代にこういうことを教わらなかったのだろうか。

「バレなきゃいい」という姿勢では安全を守れない

私がこの車掌に関して残念だと思うのは、「誰も見てないしバレなきゃいい」という、その心根です。

今回の事件は、落とし物の処理という、いわば旅客サービス関連の出来事です。運転に関する業務、もっと言えば、鉄道の安全に直接関係する話ではありません。

ですが、「バレなきゃいい」という心根で仕事をしていたのでは、いずれ運転に関する業務でもミスを起こしたのではないでしょうか。

特に、乗務員になると「一人での仕事」が当たり前です。うるさい上司に監視されるわけではないので、手を抜きたくなるんですね。しかし、「バレなきゃいい」という気持ちに打ち勝って易きに流されないのが、鉄道の安全を守るためには必要です。

そういう意味で、この車掌は鉄道の安全を守る資質に欠けていたと言わざるをえません。

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