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プロ意識とは何ぞや? 現役鉄道マンが考察してみる(2)

前回の記事の内容は、「プロ意識とは何ぞや?」というものでした。プロ意識とは、できないことを恥ずかしいと思う恥の意識である、という故・野村克也さんの言葉を紹介し、私なりに思っていることを書きました。

ただ、当然ながらプロ意識という言葉については、他にもいろいろな切り口があるはずです。今回の記事では、別の考察もしてみましょう。

私の考え カネを貰うのがプロ・カネを払うのがアマ

プロの対義語といえば、アマチュアですね。では、プロとアマチュアの違いは何でしょうか?

いろいろな考え方があるでしょうが、私の答えの一つは、「カネを貰うのがプロ・カネを払うのがアマ」です。

たとえば、私は将棋が趣味ですが、将棋大会に参加するときには参加費を取られます。将棋道場で指すときにも入場料が必要です。プロ棋士に指導してもらおうと思ったら、それこそウン万円のカネが飛んでいきます。

ようするに将棋に関して言えば、アマチュアの私は「カネを払う側」です。

これに対して、プロ棋士は「カネを貰う側」です。

プロ棋士は、将棋大会に審判として呼ばれれば謝礼が貰えます。アマチュアへの指導をこなせば、やはりレッスン料を受け取れます。本を執筆して稼ぐこともできますね。もちろん、普段のプロ同士の対局でも、対局料・賞金が発生します(=スポンサーがついているから)。

カネを貰うとは人の役に立つこと

では、カネを貰うとはどういうことか? これは逆の立場、つまりカネを払う側に立って考えると理解しやすいかもしれません。

みなさんは日々の暮らしの中で、どういうときにカネを払うでしょうか?

「自分の役に立ってくれるもの」「自分が抱えている問題を解決してくれるもの」に対してカネを払うはずです。購入しても全然役に立たない商品やサービスにカネを払う人は、いないと思います。

つまり、相手の役に立つような商品・サービスを提供できてこそ、カネを貰えるわけです。

であれば、カネを貰う側であるプロは、誰かの役に立つ・その人が抱えている問題を解決する意識があってしかるべきです。将棋で言えば、カネを貰って将棋を指しているプロ棋士は、将棋を指すことで何かしらの価値を世の中に提供しなければなりません。「将棋を指すことで誰かの役に立つ。その対価としてカネをいただく」がプロ棋士です。

「自分がいい将棋を指して勝てれば満足」は、私のようなアマチュアならいいでしょう。しかし、プロがそれでは困ります。いくら強くても、「自分がいい将棋を指して勝てればそれで満足」という姿勢で将棋に携わっているならば、それはアマチュアではないでしょうか。

「ゼニが取れる仕事」をしているプロ棋士

将棋の話をもうちょっと。私は菅井竜也八段というプロ棋士のファンなのですが、菅井八段は「振り飛車」という戦法の使い手です。

この振り飛車戦法、プロレベルでは苦しい戦法であって、特にトップレベルでは使い手がほぼいません。藤井聡太四冠をはじめとしたトップの棋士たちは、ほとんどが「居飛車」という戦法の使い手です。

しかし、プロでは苦しい振り飛車は、アマチュアでは人気の戦法。そのため、菅井八段が活躍すると多くのファンが喜びます。私も振り飛車を指すので、勉強のために菅井八段の本を買ったり、将棋中継を見たり、ヤル気を刺激されて大会に参加したりと、見事にカネを持っていかれてます(笑)

菅井八段の将棋は、「ゼニが取れる仕事」なのですね。

先日の雑誌記事で菅井八段は、「自分が勝つことで、一局でも多く振り飛車の将棋をファンに見てもらう機会を増やしたい。ファンのために頑張りたい」と答えていました。まさにプロの姿勢だと思います。

プロとは何か? ラーメンハゲこと芹沢達也さんのお言葉

プロとは何ぞや? この問いについて、前回の記事では「プロ意識とは恥の意識」と書き、今回の記事ではカネという切り口から考えました。

最後に補足蛇足として、私が尊敬する『ラーメン発見伝』のラーメンハゲこと芹沢達也さんの言葉を紹介して終わりましょう。芹沢さんは、プロというものについて↓のようにおっしゃっています。

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『ラーメン発見伝』第35話「プロとアマチュア・前編」より

状況が整っていれば、アマチュアでも結果は出せる。しかし、どんな状況でも最善を尽くして結果を出すのがプロである。

うーん、かっこいい。私は、列車の運行管理を行う指令という仕事をしていますが、ダイヤがぐちゃぐちゃになって「これは苦しい……」と感じたときに、ラーメンハゲの言葉を思い出して頑張っています(笑)

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