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運転士になるまで(1) 「免許の種類」「養成所」「免許取得までの4ステップ」

今回から、新シリーズ『運転士になるまでの道のり』を始めます。

鉄道運転士になるまでの過程を解説した記事は、いろいろな鉄道会社社員のブログ等で公開されている鉄板ネタですが、いよいよ本ブログでも書いていきますね。

運転士になるまでの過程をできるだけ詳しく書きます!

さて、他のブログとの差別化をどう図るか?

あくまで私の個人的な印象ですが、他のブログ等は、運転士になるまでの過程をザっと説明しているだけのものが多く、詳細な内容のものは少ないです。

というわけで、そういうブログ等との差別化を図るために、本ブログでは「運転士になるまでの道のり」をできる限り詳しく書いていきます。時には、個人的な思い出なども含めて。

さて、運転士になるまでの道のり、話が大きすぎて何から書けばいいのやら……。

いきなり詳しい話を始めても、読者のみなさんにはちょっと難しいでしょう。鉄道会社の仕事に詳しい人ならいざ知らず、鉄道運転士に関する基礎的な情報を知らない人は多いと思います。そこで今回の記事では、前提となる基本的な話をしておきます。

車両ごとに必要な免許は違う

鉄道車両の運転に必要な免許は、正式には「動力車操縦者運転免許」といいます。長ったらしいので、本ブログ内の記事では「運転士免許」の表記で通します。

さて、私が持っている運転士免許は電車のものです。

どういうこと? と思うかもしれませんが、鉄道車両にはいろいろな種類があり、車両ごとに免許が違うのです。これは自動車の世界と同じ。普通乗用車・バス・トラックでは、それぞれ必要となる免許は違いますよね。

細かい話をすると複雑になるので、運転士免許の区分をおおざっぱに紹介すると、

  • 電気+モーターで走る「電車・電気機関車」
  • 燃料+エンジンで走る「ディーゼルカー・ディーゼル機関車」

一般的な鉄道会社なら、運転士が取得する免許は、このどれかでだいたい収まります(新幹線は除く)。全国的に見れば、電車の免許を取得する人が一番多いと思います。私が保有しているのも、電車の免許です。

当たり前ですが、免許の種類によって講習や試験の内容は異なります。私が持っている免許は「電車」ですので、今後書いていく記事の内容は電車の免許取得に関するものであることを、あらかじめご承知おきください。

大きな鉄道会社は自前で運転士試験を行う

運転士免許は、国土交通省から交付されます。つまり、運転士免許は国家資格なのです。

国家資格ですから、本来ならば、国土交通省の役人が立会いの下で試験を行います。しかし実際は、国土交通省の役人が試験を行うケースは少数です。

大きな鉄道会社だと、社内に養成所があり、そこで運転士になるための講習を行います。そして、試験もその養成所で行います。ようするに、国土交通省から試験を委託されているのですね。「アンタのとこの会社は、自社の養成所で運転士試験をしてもいいよ」とお墨付き(指定)をもらっているというわけ。

なお、養成所のことは、JRだと「研修センター」(略して研セ)と呼びます。私鉄だと「教習所」「研修所」と呼ぶ会社が多いです。本ブログ内の記事では、「教習所」と表記します。

若かりし頃の私も、教習所に入って運転士になるための講習を受け、いろいろな試験に合格して運転士免許を取得したのです。

教習所の中ではどんな勉強をしたのか?
運転士を目指す同期の仲間たちと、どんな生活を送ったのか?
試験ではどのようなことをするのか?

そのあたりの情報や個人的な思い出などを、いろいろつづっていきます。

学科と実車 それぞれに試験がある

運転士免許を取得するまでには、以下の4ステップを踏みます。このステップについては、全国どこの鉄道会社でも同じです。運転士を目指す人は覚えておきましょう。

  1. 学科講習
  2. 学科試験
  3. 実車講習
  4. 実車試験

多くの国家試験と同じように、まずはペーパーテストが待ち受けています。1.学科講習では、運転士になるために必要と定められた科目を勉強します。そこで勉強した内容を2.学科試験でテストされるわけですね。

本当にわずかですが、ここで不合格になってしまう人はいます。不合格になると、元の職場に戻されてしまいます。またいずれ運転士になるチャンスが巡ってくることはありませんので、もう運転士になることはできません。
(翌年また学科講習を受けることができる会社もあるようですが)

学科試験に合格すると、いわゆる見習運転士になります。指導運転士(先生・師匠)がつけられ、実際に列車に乗ってハンドルを握り、運転するのです。そして、運転士になるための知識や技術を叩き込まれます。

この段階が3.実車講習です。

残念ですが、運転士見習いの途中でリタイアする人もいます。その場合、やっぱり元の職場に戻されて、運転士になる道は絶たれてしまいます。

数ヶ月の運転士見習い期間を経て、いよいよ4.実車試験に挑戦します。これは「落とすための試験」ではないので、ここまで到達できれば、ほぼ免許を取得できると思ってよいでしょう。試験に合格すれば運転士免許が交付され、晴れて「見習い」から「一人前」に昇格です。

これら4ステップについて、各段階を詳しく説明していく予定です。

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