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運転士になるまで(16) 赤点続出! 恐怖の中間テスト

『運転士になるまでシリーズ』の続きです。運転士の学科講習についての話、今回は中間テストについて語ります。

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中間テストの目的は理解度の確認や気持ちの引き締め

運転士の学科講習は3ヶ月間で、最後に卒業のための学科試験があります。しかし実は、3ヶ月間の途中で中間テストが二度ほどありました。それぞれ、学科講習開始から1ヶ月経過後、2ヶ月経過後です。

運転士は国家資格です。
したがって、卒業時の学科試験は、国家資格試験という性格を持ちます。

対して、今から説明する中間テストは、あくまでも理解度の確認や、3ヶ月間の長丁場をダレさせずに引き締めるために行います。卒業時の学科試験と直結するものではありません。

つまり、中間テストの得点は、最後の学科試験に影響するものではない。極端な話、仮に中間テストで0点でも、それを理由に学科試験を不合格にされることはないわけです。

まあ、そうは言ってもテストはテストですから、いい加減な姿勢で取り組んでよいものではないですが。

運転士の学科講習には、いろいろな科目がありますが、それぞれの科目でテストが行われます。形式はペーパーテスト。学校のテストや各種資格試験と同じです。

なお、運転シミュレーターなどを使った実技テストはありません。行われるのはあくまでペーパーテストのみです。

中間テストは赤点を取ると追試になる

さて、この中間テスト、赤点というものが存在します。私の記憶が正しければ、確か70点が合格ラインでした。それを下回ってしまうと、追試を受けなければいけません。

この70点というラインを楽勝とみるか、難しいとみるか……。

これは科目によります。
一番難しいのは「法規」という科目ですが、いわゆる重箱のスミ問題が普通に出ます。

また、鉄道会社には「安全綱領」「安全規範」という、鉄道マンとしての心得○箇条みたいなものがあるのですが、それを丸々書く問題もあります。

さらに、「鉄道用語の定義」を書けという問題もあるのですが、これがめちゃくちゃシンドイ。一つの鉄道用語につき、数十文字の文量があったりします。そうした用語が30~40個も存在しています。

そして理不尽なことに、この手の丸々書く系の問題は、数十文字のうち一文字でも書き間違えるとアウト。「だいたいこんな感じでしょ」ではダメで、完璧な丸暗記が必要なのです。つーか、一文字アウトって、採点する方も大変だ。

赤点者が大量に出て講師の説教が炸裂!

私のクラスは31人でしたが、この「法規」という科目では、なんと半分以上の人が赤点で追試を受けるハメに。それ以外の科目でも、赤点の人がちょこちょこ出ました。

最終的に全科目で70点以上を取った人、すなわち一つも追試を受けずに済んだ“無傷”の人は、10人に満たなかったです。
(ちなみに私は無傷組でしたが)

このように、けっこう悲惨な状況だったため、講師陣からは大目玉を喰らいました。

「何やってんだ!」
「こんな調子だと(最後の試験は)不合格だぞ!」

教室で説教されながら、みんなの間には「こんなに難しいとは思ってなかったんだよ……勘弁してくれよ……」みたいな雰囲気が漂い、お通夜状態になっていました。

なかなか尻に火が付かなかったが……

一回目の中間テストは学科講習開始から約1ヶ月後でしたが、これくらいの時期になると、最初の緊張感が薄れて安定した空気が流れ始めるところです。その空気をぶち壊した中間テストの惨状。

これをきっかけにクラス全体に危機感が生まれ、みんなが目の色を変えて朝から晩まで必死に勉強するようになったかというと……

全然そうはならなかった

喉元過ぎればなんとやら……で、追試が終わったら、テスト前の空気に戻ってしまいました。

いや、みんな真面目は真面目なんですよ。講義はキチンとした態度で受けるし、夕方以降、寮に戻ってからも勉強していましたし。私と同部屋の“相棒”も、早起きして昨日の復習をするくらい真面目でした。

ただ、「中間テストがひどかったのに、死に物狂いでやっているか?」と問われれば、答えは「否」だったと私は思います。みんな、心のどこかに「最後はなんとかなるんじゃね?」という甘えがあるような気がしました。

結局、二回目の中間テストもボロボロになり、また講師陣のカミナリが炸裂。このときは、私を含めた“無傷組”にも説教の矛先が向いて、

「自分が合格できればよしじゃなくて、全員で合格するためにできない人間に手を貸せ」

と言われました。
うーん、ちょっと理不尽な説教の気が……(笑)

ただ、同じ釜の飯を食う仲間ですから、やっぱり全員揃って合格したいもの。このあたりでやっと尻に火が付いて、クラス一丸となって勉強する姿勢が出てきました。

今回の記事はここまでです。

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