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運転士になるまで(5) 学科講習初日の風景

『運転士になるまでシリーズ』の第5回です。今回は、学科講習初日の模様をお送りします。

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緊張感がただよう学科講習初日の教室

今回の話は、学科講習の初日。
舞台は、運転士養成を行うための教習所です。

学科講習初日の朝、指定された時間、指定された教室に研修生が集まります。教室前面の黒板に貼られている席割り表を見て、各自が席に座ります。

教室の中には緊張感がただよい、シーンとして誰も喋りません。

「知らない場所に来た」という緊張感ではありません。教習所自体は、新入社員研修や車掌養成研修でも使用したことがあります。慣れっことまではいきませんが、ある程度は「勝手知ったる場所」です。

では、いま教室にただよっている緊張感は何かというと、知らない者同士が顔を合わせるときのそれです。あれですね、学校でもクラス替えをした4月の初めは、教室の雰囲気が固いですよね。それと同じです。

時間になると、担任講師(学校でいうところのクラス担任)が教室に入ってきて、「これから入所式を行う」という旨の説明がされました。

入所式。学校における入学式みたいなものです。教習所のお偉いさんがやってきて激励の言葉をいただくという、かったるいありがたいイベントです。

この記事を書くにあたって、入所式でお偉いさんに何を言われたかを必死に思い出そうとしましたが、1ミリも覚えていません(←をい)。人の心に言葉を残すって難しいですね。

目の前には学科講習で使う山盛りのテキストが

入所式が終わると、担任講師から簡単な自己紹介がありました。
(担任講師がどんな人だったかについては、こちらの記事を参照)

そしてまず、3ヶ月間の学科講習で使うテキストの確認をします。テキスト類は、最初から机の上に用意されており、配付に漏れがないかを確認するわけです。

「○○のテキスト、みんな手元にあるかー? 次ー、○○のテキスト」

テキストはけっこうな冊数があり、一言でいえば山盛り。それを一つ一つ確認していきます。この作業をしながら、「うわあ、こんなにたくさんのテキストがあるのか……」とゲンナリする人もいるみたいです。私はまったく平気で、むしろ「おもしろそう」とワクワクしていましたが。

ただし、山盛りテキスト全部をすみずみまで勉強するわけではありません。たとえば、みなさんの会社でも、全資料をすみからすみまで覚えなければならない、ということはないですよね。それと同じように、運転士講習用の各種テキストでも、サッと流すところや割愛するところがあるのです。

学科講習ではどんな科目を勉強する?

運転士の学科講習では、どのような科目を勉強するのでしょうか? 簡単に紹介しておきます。

  • 運転法規

    列車の運転を行うために必要なルールを学ぶもので、学科講習の最重要科目。列車を安全に運転させるための閉そくという概念、信号や標識・合図、事故や異常気象のときの取扱い……などなど、たくさんのことを学びます。

    この科目は鉄道というシステムを動かすための根幹をなすもので、しっかり勉強しないと、運転士としての業務が行えません。

  • 運転理論

    列車の動きを数学的に捉える学問です。たとえば、「速度○km/hから減速度○○のブレーキをかけると停止するまでに○メートル」という具合です。学生時代の数学の授業のように、さまざまな公式が出てきて、いろいろな計算をします。

    ぶっちゃけ、運転士の業務で直接使うものではないので、試験のときに受かりさえすればいい科目です(笑)

  • 車 両

    自分の運転する鉄道車両はどのような仕組みになっているのか、それを学びます。どのような機器が搭載されているかはもちろん、「ツナギ図」という車両の配線図を用いて、どこにどう電気が流れ、機器がどう動いているかも学びます。

  • 電 気

    「電車」の免許を取得するので、電気に関することも勉強します。具体的には、電車のモーターの仕組みとはどのようなものなのか? というのがメインです。「オームの法則」や「フレミングの左手の法則」などの懐かしい法則や、半導体の話も出てきます。その他、変電所や線路の架線設備などについても学びます。

  • 線 路

    線路、すなわちレールを含めた路盤全体のことについて学びます。ちょっと鉄道に詳しい人なら、「カント」や「スラック」という言葉をご存知でしょうが、そういったものが出てくるのがこの科目です。

他にも科目はありますが、ここで挙げたのが主なものです。電車免許の科目に関しては、どこの鉄道会社でも同じはずです。

計算(四則演算)ができないと学科講習は苦労する

テキストの確認が終わると、プリントが配られて、算数の計算問題をやらされました。小学生~中学生レベルの四則演算です。

先ほど紹介した科目でいえば、「運転理論」と「電気」では計算する場面が出てきます。たとえば電気ならば、オームの法則なんかは掛け算・割り算が必要ですよね。分数の足し算・引き算なら、通分という作業も発生します。

ですので、あまりにも計算ができないと講習に支障が出ます。そうならないよう、あらかじめ計算能力に問題がありそうな人を把握しておこうという意図だと推測できます。

ちなみに私、計算はまあまあ得意なので、苦労はしませんでした。運転中、前を走る車のナンバープレートを見て、左右の数字で二ケタ同士の掛け算をパッとするくらいはお手の物です。高速道路を走っていても、現在の速度と『○○まで何キロ』の看板から、「通過時刻は何時何分だな」と計算したりとか。

いよいよ憧れの運転士への第一歩を踏み出した

こうして初日は、入所式→テキストの確認→計算練習……。あとは、クラス内で自己紹介をしたり、担任講師以外の講師の紹介があったり、そんな感じだったと記憶しています。

あ、学科講習では、小学校みたいに担任講師が全科目を教えるシステムではなく、中学・高校のように、それぞれの科目ごとに講師がつくんですよ。
(一人の講師が複数の科目を受け持つ場合もありますが)
ですので、教習所にはそれなりの数の講師がいます。

こんな感じで、いよいよ学科講習が始まったのでした。この手の話だと、期待と不安が入り混じって……というのが“お約束”ですが、私は不安は特に感じませんでした。むしろ、「いよいよ憧れの運転士への第一歩を踏み出すんだな」と楽しみでした。

……いや、寮の相部屋の「相棒」がめっちゃ怖そうな人だったの唯一の誤算(?)でしたが。
(その話はこちらの記事を参照)

今回の記事はここまでです。


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