現役鉄道マンのブログ 鉄道雑学や就職情報

趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職等で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

運転士になるまで(9) 学科講習の勉強シーン

こんにちは、現役鉄道マンのKYSです(^^)
運転士になるまでシリーズの続きです。

前回の記事では、教習所(寮)の朝について書きました。
7時に起床~グラウンドで体操~朝食……という流れでしたね。
今回はいよいよ、学科講習の勉強シーンを説明していきます。

1.学科講習←今ここ
2.学科試験
3.実車講習
4.実車試験

 

教室の風景は「まんま学校」


これまでさんざん教習所、教習所と書いてきましたが、運転士候補生たちが学科講習を受ける教室は、どのような感じなのでしょうか。

これはもう、「まんま学校の教室」です。
小学校や中学校の教室で、大の大人が勉強している光景をイメージしてもらえれば間違いありません。
机や椅子は木製ですし、床も板張り。
大学なんかだと、横に長い一つの机に間隔をあけて数人が座ったりしますが、そうではなく“一人一机”です。

教室の前には黒板もあります。
ホワイトボードじゃないですよ、黒板です。

木製やら黒板やらというキーワードからは、まさに「学校の教室」という言葉がピッタリきます。
学校の教室と違う点といえば、教室の後ろにロッカーがないこと、エアコン完備なところ。
そのくらいでしょうか。
(最近は学校の教室にもエアコンが普及していますが)

ちなみに……そのような雰囲気なのは、もしかするとウチの鉄道会社だけかもしれません。
というのも実は私、他の鉄道会社の教習所を見学させてもらったことがありますが、そこはものすごくキレイで「ウチの会社と全然違う!」と愕然としたことがあります。
「学校の教室」なんてレトロ感が漂うものではなく、「小綺麗なオフィスビルの会議室」という雰囲気でした。
うーむ、うらやましい。

講義の進め方 基本は座学 時には実践


続いて、講義の進め方について説明しましょう。

これも、まんま学校と同じ。
その科目の担当講師が教壇に立ち、テキストに沿って内容を説明していく、という典型的な座学の形式です。
生徒側は、講師の説明や黒板の板書をノートに取ります。
みなさんも、会社で座学形式の研修を受けた経験があるでしょうが、それと同じだと思ってくれてかまいません。

ただし、講義は教室で座学を受けるだけではありません。
以下のような“変化球”もあります。

(1) パソコン室で動画を見る
(2) 運転シミュレーターを操作する
(3) 各種部品の実物を見る

(1) パソコン室で動画を見る
やはり勉強には、動画を使うと理解が進みやすいものがあります。
たとえば、「電気」という科目では、主にモーターの仕組みを勉強するのですが、「どこにどう電気が流れてどう動くのか」なんてことは、テキストの文章を読んだり絵を見たりするだけではなかなか理解しにくい。
動画を使うと、一連の流れがイメージしやすいです。

他にも「運転法規」という科目で、異常時の取扱い(たとえば信号機が故障したときにどうするか)を学ぶときも、テキストを読むだけではイメージが湧きにくいですが、動画を見ることで、テキストの文章を実作業レベルに置き換えた理解ができます。

(2) 運転シミュレーターを操作する
運転シミュレーターを使って実践的な勉強をすることもあります。
リアル『電車でGO』だと思ってください。

シミュレーターの運転席は、本物の車両の運転席を模してあり、各種レバーやスイッチもほぼ本物と同様です。
レバーを動かして列車を加速させる操作をすると、前面のディスプレイ画面が連動して、列車が進んでいく。

ただし、『電車でGO』のように単に列車を運転するだけではなく、運転の途中でトラブルが起きます。
信号機故障や踏切事故、人身事故などが発生し、それに対して適切な処置を行うのです。
こうして、テキストで学んだことが実際に身に付いているかを確認するというわけ。

(3) 各種部品の実物を見る
鉄道博物館に行ったことがある人はイメージしやすいと思いますが、車両の部品とか、線路関係の設備(レールや架線、ポイントなど)が展示されていますよね。
それと同じように、教習所内にも各種部品が展示されており、実物を見て学ぶことができます。
見るだけではなく、中には実際に触って動かせるものもあります。

「60分講義~休憩」の繰り返し


朝一の講義は8時40分に始まります。
講義一コマの時間は60分、それが終わると10~20分間の休憩。
ですので、午前中のスケジュールは↓のようになります。

1限目 8時40分~9時40分
2限目 9時50分~10時50分
3限目 11時00分~12時00分
昼休憩 12時~

記憶が怪しいのですが、だいたいこんな時間配分だったと思います。

ちなみに、毎時間ごとに科目が変わるわけではなく、2コマ連続して同じ科目、ということもあります。
たとえば、最重要科目である「運転法規」は、むしろ2コマ連続が通常でした。

どういう科目を勉強するのか?


「どういう科目を勉強するのか?」については、以前の記事で紹介しました。
そこで説明した内容を再掲しておきます。
(決して手抜きなどでは……ゴホンゴホン)

運転法規
列車の運転を行うために必要なルールを学ぶもので、学科講習のメインとなる科目。
列車を安全に運転させるための閉そくという概念、信号や標識・合図、事故や異常気象のときの取扱い……などなど、たくさんのことを学びます。
この科目は鉄道というシステムを動かすための根幹をなすもので、しっかり勉強しないと、運転士としての業務が行えません。

運転理論
列車の動きを数学的に捉える学問です。
たとえば、「速度〇〇km/hから減速度〇〇のブレーキをかけると停止するまでに〇〇メートル」という具合です。
学生時代の数学の授業のように、さまざまな公式が出てきて、いろいろな計算をします。
ぶっちゃけ、運転士の業務で直接使うものではないので、試験のときに受かりさえすればいい科目です(笑)

車 両
自分の運転する鉄道車両はどのような仕組みになっているのか、それを学びます。
どのような機器が搭載されているかはもちろん、「ツナギ図」という車両の配線図を用いて、どこにどう電気が流れ、機器がどう動いているかを学んだりもします。

電 気
「電車」の免許を取得するので、電気に関することも勉強します。
具体的には、電車のモーターの仕組みとはどのようなものなのか? というのがメインです。
「オームの法則」や「フレミングの左手の法則」などの懐かしい法則や、半導体の話も出てきます。
その他、変電所や線路の架線設備などについても学びます。

線 路
線路、すなわちレールを含めた路盤全体のことについて学びます。
ちょっと鉄道に詳しい人なら、「カント」や「スラック」という言葉をご存知でしょうが、そういったものが出てくるのがこの科目です。

まとめ


いかがでしょうか。
運転士になるための学科講習、どのような場所でどのように勉強しているか、少しはイメージが湧いたでしょうか。

・「まんま学校の教室」のような雰囲気
・基本は座学だが、動画やシミュレーターを使うことも
・講義は60分で一コマ

物事は時代によって変化していきますが、ここで説明したことに関しては、今も昔もそう変わりないと思います。
将来、鉄道会社に入って運転士を目指す人、少しでも参考になれば幸いです。