前回の記事に続いて、今回も終電繰り上げについて書いていきます。
終電繰り上げの目的は一つだけではありませんが、特にJR西日本は、終電を早めることで夜間工事の時間を確保するという理由を強調しています。
JR西日本のダイヤ政策で滋賀県は発展してきた
ただし、終電繰り上げは鉄道会社の「中」だけの問題ではありません。沿線自治体などの「外」にも影響を及ぼします。
たとえば、2019(令和元)年にJR西日本が終電繰り上げの検討を発表した際、滋賀県の沿線自治体は、「沿線の利便性や魅力に影響するのでは」と懸念を示しました。
東海道線の滋賀県エリア(=大津駅・草津駅・野洲駅など)には、0時以降にも大阪・京都方面からの列車が到着します。2020年3月改正ダイヤでは、野洲駅に1時08分着! の普通列車が最終です。
MAX130㎞/hというスピードで爆走する新快速が、15分に1本という高頻度で運転され、京都・大阪へのアクセスが迅速。0時以降にも、大阪・京都方面からの列車が走っている。
こうしたJR西日本の政策が、ベッドタウンとしての滋賀県の利便性・魅力を高めてきたことは間違いありません。ですので、列車ダイヤの方針変更に、沿線自治体が危機感を示すのは当然かと思います。
新ダイヤ予測 普通列車を消して新快速を格下げか?
終電繰り上げのニュースが発表されてから、いろいろなブログで新ダイヤを予想する記事がアップされています。私もいくつか拝見しましたが、だいたいの記事は↓のような予想をしています。
- 野洲駅に1時08分に到着する普通列車、この列車は終電繰り上げ時には消されるだろう
- この普通列車の1本前に、野洲行きの新快速(野洲1時00分着)があるが、この新快速が普通列車に“格下げ”されて終電になるだろう
終電の後ろにもまだ列車がある!?
ただ、終電繰り上げの目的が工事時間の確保だというのなら、このダイヤ案には一つ疑問があります。新快速と普通列車の後ろに、貨物列車と寝台特急サンライズが走っているのです。
仮に新快速と普通列車をいじっても、この貨物列車とサンライズが通過しないと、上り線は工事を始められないはず。言い換えれば、現行ダイヤの新快速と普通列車の存在は、工事時間の確保に影響を及ぼさないのでは? ということです。
私が沿線自治体の人間なら
「工事時間の確保が目的というけれど、大阪・京都方面からの終電の後ろに、貨物列車とサンライズがいますよね? 終電を繰り上げても、工事時間は変わらないでしょう。だったら終電の繰り上げはやめてほしい」
とJR西日本に言いたくなります。
貨物列車を含む列車ダイヤは、市販の時刻表などに載っていますから、沿線自治体もこの程度の情報は把握しているでしょう。JR西日本に対して、「工事時間確保が目的なら、終電を繰り上げても意味ないじゃん」と意見の一つも言ったはずです。
それに対して、JR西日本がどのような回答を沿線自治体にしたのか? うーん、気になる。
滋賀県は「終電繰り上げは仕方ない」と受け入れた?
滋賀県の三日月知事は、「終電の繰り上げ・始発の繰り下げをするなら、運行時間内のダイヤ密度を濃くしてほしい」とJR西日本に要望したそうです。
こういう要望を出したということは、つまり、終電の繰り上げは仕方ないと受け入れた(諦めた?)と見てとれます。
ということは、沿線自治体は「貨物とサンライズがいるから、終電を繰り上げても意味ないぢゃん」という意見を出したが、JR西日本から、ある程度納得できる回答が示された、ということになります。回答に納得できなければ、ゴネ続けるはずですからね。
JR西日本が沿線自治体にどういう回答をしたのか、興味深いところです。