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JR西日本の終電繰り上げ サンライズの時刻が変わることはある?

2020(令和2)年9月17日、JR西日本が以前より検討していた終電繰り上げについて、具体的なダイヤ案を発表しました。近畿圏で、24時以降の列車を中心に、現行ダイヤより約50本が削減されるそうです。

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/200917_00_saisyuuressya.pdf

終電繰り上げで「作業員不足」を解消するのが狙い

終電繰り上げの話題は、過去に記事を書いていますが、簡単におさらいします。

終電繰り上げの目的は、「夜間工事の時間拡充」です。

JR西日本(と関連会社・下請け会社)は、線路工事に従事する作業員の減少に苦しんでいるとのこと。作業員が減れば、工事をさばくのは大変になりますし、休みも取りにくくなって作業員の労働環境が悪化します。そうなると、離職を招いてますます作業員が減っていく……。悪循環ですね。

それを解消するための施策が「終電繰り上げ」です。

夜間工事の時間を多く確保できれば、一回当たりの工事でたくさん作業を進められる、少ない人数でも工事をさばけるなどのメリットがあります。それによって作業計画に余裕ができれば、作業員の休日も確保しやすくなる。

つまり、作業員の労働環境を改善して、離職の防止や採用の促進につなげたい。これが終電繰り上げのおおまかな狙いです。

工事時間の確保が難しい東海道線

だいたいの路線では、終電の繰り上げがイコール夜間工事の時間増加につながります。

ところがどっこい、話がそう単純ではない路線があります。貨物列車寝台特急サンライズ出雲・瀬戸が走る東海道線です。

詳しくはこちらの記事で説明しましたが、東海道線は終電後にも貨物列車とサンライズが走っているので、終電を繰り上げても、単純に工事時間が増えるとは限らないのです。

図で説明しましょう。
東海道線上りの現行ダイヤでは、新快速(野洲に1時00分着)と普通列車(野洲に1時08分着)の2本がその日の〆です。

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現行ダイヤ 〆の2本

今回、JR西日本が発表した新ダイヤ案によると、この新快速と普通列車は消滅します。これで工事時間が拡充できる……と思いきや、実は新快速と普通列車の後ろに貨物列車とサンライズが走っているので、これが通過し終えないと線路工事に着手できません。

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実はまだ後ろに貨物列車とサンライズがいる

ようするに、工事という観点からすれば、東海道線上りの“本当の終電”はサンライズなのですね。

「工事時間を確保する」という趣旨からすれば、サンライズの運転時刻も繰り上げた方がよいでしょう。たとえば、15分ほど運転時刻を繰り上げて、先行する貨物列車の前を走るようにすれば、工事を早く開始することができます。

長距離列車はダイヤ調整上の「障害」が多い

で、実際のところ、サンライズの運転時刻を繰り上げることは可能なのか?

これはかなり難しいですね。おそらく、15分どころか、たった5分繰り上げるのもシンドイのではないでしょうか。

というのも、サンライズのような長距離を走る優等列車は、ダイヤ調整上の障害が多いのです。

たとえばサンライズ出雲は、出雲市から岡山までの途中に伯備線を通りますが、ここは単線が多い。単線ということは途中で行き違いが発生するわけで、サンライズ出雲の運転時刻をいじると、それに付随して、伯備線の他の列車も時刻を変える必要があります。

伯備線には特急やくもが走っており、やくもの時刻が変わると、山陰方面の列車や、新幹線接続駅である岡山駅のダイヤにも影響が出ます。

ようするに、サンライズ出雲の時刻を変えると、玉突きみたいにあちこちのダイヤに影響するのです。

これはJR四国の高松から発車するサンライズ瀬戸も同じ。高松から岡山までのダイヤが変われば、快速マリンライナー四国の特急に影響を及ぼします。

JR東日本の朝ラッシュにも影響してくる?

影響を受けるのは、山陰や四国だけではありません。終着駅である東京方面も大変です。

現行ダイヤだと、サンライズは横浜駅に6時44分、終点・東京駅に7時08分に到着します。すでに朝ラッシュの時間帯に入っているので、もしサンライズの運転時刻をいじると、朝通勤列車の時刻も見直す必要があります。

ましてや、東京エリアの管轄はJR西日本ではなくJR東日本。JR西日本の終電繰り上げのために、JR東日本が自社エリアの朝通勤ダイヤを見直してくれるとは思えません。

まあ、これは手がなくもないです。運転停車(=駅に着いても扉を開けず、旅客の乗降を行わない停車。行き違いや乗務員交代が目的)する夜中の米原や豊橋で時間を潰して帳尻を合わせ、JR東日本エリアには今まで通りの時刻に突入する。

そこまでやるか? という感じですが……。

全体調整が大変なので時刻を変えるのは困難では

その他、JR東海・JR貨物も“利害関係者”なので、協議・調整しなければいけません。

結局、サンライズの運転時刻は、ダイヤを組む上での基幹や軸みたいなモノのはずで、「時刻をいじっちゃダメ!」とタブーになっているのだと思います。

こうした諸々の事情があるので、サンライズの運転時刻を繰り上げることは、まず不可能でしょう。「サンライズの時刻も変わっちゃうのかな?」と心配している方、安心してください(笑)


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