現役鉄道マンのブログ 鉄道雑学や就職情報

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鉄道会社への就職 運転士に求められるのは「自己アップデート能力」

今回のテーマは、「運転士に必要な資質とは何か?」です。

エントリーシートや面接で問われるとか、グループディスカッションのテーマになるとか、そうした可能性は低い問いです。
就職活動に直接役立つ話ではないかもしれません。

しかし、鉄道会社を志望する就活生として、考えに“厚み”を持たせるために「運転士に必要な資質とは何か?」というテーマを考えておくのは、損がないと思います。

 

「何が必要? → 安全意識」でもよいが……


さて、仮に「運転士に必要な資質とは何か?」と面接で聞かれたとしましょう。
みなさんはどう答えるでしょうか?

「安全第一の意識です」

確かにそれで正解ではありますが、だいたいの学生がそう答えるでしょうから、差別化はできないですね。
それに、安全意識という言葉が抽象的なため、

「では、具体的にどういった行動が安全意識の表れだと思いますか?」
「安全意識を身に付けるためには、何が必要だと思いますか?」

などと追撃の質問が飛んでくる可能性が多分にあります。
(もし私が面接官なら、絶対にそういう質問をします)

私のような現役鉄道マンなら、キチンと回答できる質問です。
しかし、まだ働いたこともない学生では、この質問に的確に答えるのは難しいでしょう。

自信がなければ、安全意識などという抽象的な言葉は使わない方がいいかもしれません。
採用担当者に「何も知らない学生が知ったふうなことを」と思われてもアレですし。

運転士の特徴は「一人で仕事をすること」


というわけで、ここではちょっと違った切り口から、運転士に必要な資質を考えてみます。

運転士という仕事の特徴は何でしょうか?

「一人で仕事をすること」です。

もちろん、車掌との連携プレーは発生しますし、トラブル時には指令所などから必要な指示を受けます。
が、列車の運転に関して逐一指示などされませんし、業務を監視する上司もいません。
基本的に、運転室は“孤独な職場”なのです。

さて、一人で仕事をする運転士にとって、私が必要だと思う資質は、「誰かに言われなくても自発的に勉強できること」です。
別の表現をすれば、「自己アップデート能力」とでも言うでしょうか。

誰も何も言ってくれないからこそ自己アップデート能力が必要


一人で仕事をする。

これ、考えようによっては非常にラクです。
業務中は、ウルサイ上司に細かく口出しされることはありません。
やりたい放題とまではいきませんが、それに近い状態ではあります。
(だから乗務中にスマホをいじったりする事例が後を絶たないわけで)

さらに、運転士としての評価は、どれだけミスがあったかという「減点方式」です。
売上額や契約件数で評価される営業マンのような「加点方式」ではありません。

そのため、ミスさえ犯さなければ文句は言われませんし、人事評価に傷はつきません。
給料だって、運転の上手い人と下手な人で差がつくわけでもない。
テキトーに手を抜いて仕事をし、ずーっと技量を向上させないまま歳を重ねても、特にお咎めなしです。

ようするに、よほどのことがない限りは、誰も何も言ってくれない……。

つまり、自己アップデート能力がないと成長するのが難しい職種なのです。
極端に言えば、誰かに尻を叩かれないと動かないタイプの人は、運転士見習のときから成長しません。

自発性が求められる職種


あくまで私の感覚ですが、現場の偉い人であるオジサン社員は、若手社員を苦々しく思っていることが少なくないようです。

「最近の若手は指示したことしかやらない。少しは自発的に動けよ」
「誰かに言われなくても、自分で勉強するのが社会人だろう」

こんな感じです。

こういう考え方は、「部下をどう教育するか?」というテーマの本では、時代遅れとして一刀両断されます(笑)
しかし残念ながら、運転士という職種では、上司や先輩が四六時中くっついて指導することはできませんから、成長するためには「自発的」という概念がどうしても必要になってしまうのです。

易きに流れないプロ意識


運転士の評価は減点方式。
ミスさえ犯さなければ特に文句は言われないし、人事評価に傷もつかない。
技量が上がったところで給料が上がるわけではない。
成長のために無理に頑張らなくても、別にお咎めがあるわけでもない。

やってもやらなくても大差ないのなら、無理に成長しなくてもいいぢゃん、という意見もあるかもしれませんね。

しかし、そういう易きに流れる運転士ばかりだったら、運転士の質はどんどん下がり、ひいては鉄道の根幹である安全にも大きく影響してきます。
鉄道会社の一員として安全を守るためには、自己アップデート能力が必須ということです。
別の言い方をすれば、「強いプロ意識」ということになるでしょうか。

話が回りくどくなってしまいましたが……
採用面接等で、運転士の資質について問われた場合、今回説明したような「一人仕事という運転士の特性」に触れたうえで回答を述べれば、より説得力が増すかと思います。
学生の方、何かの参考になれば幸いです。


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