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鉄道会社の保線業務の意外な実態 実はデスクワークが多い

近年、鉄道会社が力を入れているのが、「学生に向けたお仕事紹介」の情報発信です。特に、昔と比べて増えているのが動画。Youtubeや就職サイトで、お仕事紹介の動画がたくさんアップされています。

鉄道会社はだいたい知名度が高いので、学生を集めやすいはずですが、それでも近年の人手不足で採用が難しくなっているのが現実です。

そこで、お仕事紹介動画の出番。学生に、鉄道の仕事に興味を持ってもらうのが目的その1。それに加え、入社後に「思ってたんと違った」とギャップを感じて辞められるのを防ぐのが目的その2、といったところでしょうか。

先日も、近畿日本鉄道が保線員──線路を保守管理する仕事の紹介動画を公開していました。

クオリティ高ぇ。なかなか面白かったので、思わず見入ってしまいました。

ただし、この動画の内容だけでは、保線という仕事の実態を正確に伝えきれていないかなと、個人的には感じました。いや、短い動画で仕事内容を全部紹介せいというのは無理なので、仕方ないのですが、これだと若干誤解する視聴者がいるかもしれません。

というわけで今回の記事では、このような動画では紹介されていない、保線という仕事の「意外な実態」を一つお伝えします。

意外にデスクワークが多い保線という仕事

線路を保守管理する仕事というと、読者のみなさんは、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

作業服を着てヘルメットを被り、現場に出て、線路の点検や修繕を行う──

そのイメージは間違いではないですが、そればっかりやっているわけではないんですよ。では他に何をしているかというと……

デスクワークでパソコンをいじる仕事が思いのほか多いです

以前、保線の若手社員と話したときに、「入社前のイメージと一番違ったのが、デスクワークでパソコン作業が多いこと」と言っていました。「もっと現場に出てばかりだと想像していた」そうです。

デスクワーク、パソコン。これはよく考えたら当然の話で、たとえば線路を検査し、その結果、そろそろレール交換をしましょう、となったとします。すると、工事の計画を立てなければいけません。

検査結果を管理し、それに基づいて工事計画を立てる。そこで、デスクでパソコンカタカタとなるわけです。

外部の業者への工事発注や契約管理も行う

また、検査や簡単な修繕はともかく、大きな工事になると、だいたいは外部の業者と連携して行います。鉄道会社の社員だけで作業するわけではなく、工事を請け負う会社があるのですね。鉄道会社が単体で行う工事というのは、実は意外と少ないのです。

まあ、外部の業者と言いつつ、グループ会社や子会社だったりすることが多いので、外部という表現が適切かはわかりませんが……。

業者に工事を頼むとなると、発注や契約が必要です。発注と契約の管理。そして業者との打ち合わせや調整。これもデスクワークになります。

このあたりイメージが湧きにくいかもしれませんが、スポーツ風に例えるなら、鉄道会社の社員が「監督」で、業者が「選手」です。監督が選手を動かして、線路の保守管理を進めていくのです。

もちろん、「監督」といってもプレイをまったくしないわけではなく、自らが「選手」になることも当然あります。お仕事紹介動画で出てくるのは、だいたいは「選手」としてのシーンです。その意味で、「監督兼選手」と表現するのが正確でしょう。

意外な実態を知っておくことでギャップに戸惑わないように

いかがでしたでしょうか。保線という仕事は、デスクワークやパソコン作業も多い。これは案外知られていません。

まあ、こう言っちゃなんですが、デスクワークは地味ですからね。お仕事動画でも、現場での作業シーンを紹介した方が“映え”ですし。デスクでパソコンカタカタやっている動画では、再生数は伸びないでしょう(笑)

しかし、ウチの若手社員が言っていたように、「そこがギャップだった」という声が実際あるわけで。そのため、意外な実態を紹介した次第です。

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