多くの駅弁業者には、牛肉をメインに据えた弁当が存在します。滋賀県の米原に拠点を構える業者『井筒屋』も、牛肉を使った駅弁を販売しており、それが今回紹介する「牛肉弁当」です。
滋賀といえば近江牛が有名ですが、この駅弁には使用していないでしょう。近江牛使用ならば、そう記載した方が販促上絶対に有利なので。
しかし、近江牛ではないから期待薄、ではありません。井筒屋は、「湖北のおはなし」と「おかかごはん」というクオリティの高い駅弁を販売しています。これらを手掛ける業者なら、牛肉駅弁もレベルの高い仕上がりを見せてくれるはずです。
作りは比較的シンプルな「牛肉弁当」 メシが進む美味さ
その「牛肉弁当」は税込1,200円(2024年現在)。牛肉系としては、標準的な値段だと思います。ではオープン。
牛肉を使った駅弁 =「牛肉弁当」という、まんまのネーミング。最低限の装備だけ揃えました的な付け合わせ。ちょっと殺風景な気もしますが、逆に「小細工はいらねぇ。シンプルに肉を味わえ」という作り手側のメッセージを感じます。では、いただきましょう。
うん、これはイケるぞ
近江牛ではない(はず)ですが、じゅうぶん美味しい。駅弁なので冷めていますが、別に気になりません。味付けは醤油系統。単純な焼肉やすき焼きなどとは少し味が違う印象。この味付けが、メシの進む美味さなのです。
牛肉に絡まっている玉ねぎも、甘みと複雑さを与えてくれて、メシをかき込む原動力になります。肉に玉ねぎプラスって、露骨なカサ増し目的だと萎えますが、この駅弁では必要な役割として存在している印象です。
茎わかめは濃い目の味付け。ポテトサラダは、もっちゃり感(?)が味覚をリフレッシュするのに有効。両者とも、メシを頬張るためのアイテムにはなりませんが、メシは牛肉だけで食べ切れるので問題なし。
ごちそうさまでした。
美味いが“井筒屋2強”を差し置いてまで購入するかは微妙
というわけで、冷めていても美味しい牛肉駅弁が実現されており、総体的には充分なクオリティ。さすが井筒屋だなぁと思わされる出来です。
ただ……冒頭で書いたように、井筒屋には「湖北のおはなし」「おかかごはん」という完成度の高い“2強”が存在します。それを知っていると、この「牛肉弁当」は、どうも物足りなさを感じてしまうのも事実です。個人的には、1,200円あるなら、湖北やおかかの方に注ぎ込みたい。
「いま牛肉を食べたい気分」という人には購入をオススメできますが、そうでなければ、こちらを優先させる意味は薄いかと。
◎本命・○対抗に続く▲単穴のポジション。『SLAM DUNK』で例えるなら、山王工業の松本ですかね。実力は充分あるけど、沢北・河田・深津の陰に隠れてしまっているという。……この例えで理解できるだろうか?(笑)
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