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時間帯別運賃が導入されたら企業のコスト増は避けられない?(2)

コロナを機に、JR東日本JR西日本が検討している「時間帯別運賃」。
これについて考察する第6回です。
本記事は、前回の続きです。

時間帯別運賃が導入されたら企業のコスト増は避けられない?(1)

時間帯別運賃が導入されると、ラッシュ時間帯は値上げ(割増運賃)になる。
企業は、従業員に支給する通勤手当の額が増えてしまうが、このコスト増を回避する手段はないか?

こんな感じの内容でした。
そして、コスト増を避けるための手段として、

通勤手当の支給額を「据え置き」にし、割増分は従業員に自己負担させる。

この方法を考察しましたが、法律的にたぶんダメという結論に至りました。
今回の記事では、別の方法を模索します。

 

始業時刻を変えてラッシュを回避させる方法は?


9時始業
の会社だと、鉄道で通勤する従業員は、ほぼ間違いなくラッシュ時間帯に当たるでしょう。
つまり、ラッシュ時間帯の割増運賃を取られてしまう。

そこで、たとえば10時始業にすれば、ラッシュ時間帯の通勤を避けられる。
それにより、割増運賃を支払わずに済むようにし、ひいては従業員に支給する通勤手当のコストを抑える。

こういう方法は考えられます。
企業のコスト抑制策としてはアリでしょうか?

始業時刻を遅くしてもラッシュに引っ掛かる人はいる


……と勢い込んで書き始めたものの、考慮開始1分で私は気が付きました。


この方法、あまり効果ない
(^^;)



従来は9時始業だったところ、10時に変更したとします。

近くに住んでいる人は、9時過ぎの列車に乗れば間に合うでしょう。
ラッシュ時間帯を避け、割増運賃を払わずに済みます。

ところが、通勤に1時間半かかるような人だと、8時過ぎには列車に乗らなければいけません。
つまり、ラッシュ時間帯に引っ掛かり、割増運賃を払わなければいけない。

ようするに、始業時刻を遅くしたところで、ラッシュ時間帯に引っ掛かる人は出てしまうわけです。

そうなると、「通勤手当の支給を増額すべき?」という問題は消えずに残ったまま。
結局、ラッシュ時間帯に当たってしまう従業員には、通勤手当を増額するしかなさそうです。

始業時刻を早めすぎると従業員が困る


だったら10時始業ではなく、7時とかにすれば?
それなら、ラッシュ時間帯が始まる前に、全従業員の通勤が完了するし。

しかし、それは現実的に難しいです。
遠方通勤者は始発列車に乗っても間に合わないとか、保育園がまだ開かないので子どもを預けられないとか、そういった実害が予想されます。
従業員の反発は大きいでしょう。

あまり始業時間を早めると、前回の記事で解説した「就業規則の不利益変更」にも該当する可能性が高いです。

【結論】時間帯別運賃で企業のコスト増は避けられない


前回~今回のまとめをします。

・前回の結論

通勤手当の支給額を「据え置き」にし、割増分は従業員に自己負担させる。
この方法は、法律的にダメな可能性が高い(従業員側の同意があればOK)。

・今回の結論

始業時刻を変更しても、通勤ラッシュに引っ掛かる従業員はいる。
結局、その人には割増分の通勤手当を支払わざるをえない。



以上の内容から導き出される結論は、「時間帯別運賃が導入されれば、割増分を従業員に支給せざるをえない」。
つまり、企業のコスト増は避けられない。
これが私の見解です。

となると当然、企業側(業界団体とか)は「時間帯別運賃やめろ!」と鉄道会社に圧力を掛けたいですよね。
しかし、「時間帯別運賃でラッシュを緩和できれば、コロナ対策になる」と鉄道会社に言われると、企業側も反対しにくい。

私の記憶が正しければ、10年くらい前には、時間帯別運賃の構想や必要性を唱える人がすでにいました。
鉄道会社によっては、水面下で検討していたところもあったのではないでしょうか。

しかし、時間帯別運賃は実質的な値上げですから、お客様や企業の反発が予想され、おいそれと出せる話ではない。

そこで、コロナ対策という“錦の御旗”で反発を抑えることができるこのタイミングで、時間帯別運賃の構想を発表した。
私はそのように見ているのですが、穿ちすぎでしょうか?


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