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「かもしれない」思考を行うための近道は多くの事例を知ること

「だろう」ではなく「かもしれない」の思考で臨みなさい

こんなことを言われた経験が、誰でも一度や二度はあると思います。

クルマの運転がよく取り上げられる例ですね。自分が運転しているときに、前方左に自転車を発見した。この自転車が急に飛び出してくるかも。突然バランスを崩してコケるかも。

「かもしれない」のイメージをしておけば、もし本当にそういう事態が起きたとしても「想定内」で済むので、素早く対応できる。

これを「自転車が飛び出したりコケたりすることはないだろう」と思っていると、万一のことが起きたときに「想定外」になってしまうので、慌てるハメになると。

より安全に対してシビアな「かもしれない」思考は鉄道でも必須

ようするに「だろう」と「かもしれない」、安全に対してシビアな態度はどっち? という話です。

これは鉄道の仕事でも同じです。たとえば、車掌がドアを閉めたあと、列車から離れずにホーム上に立っている人がいたとします。

その状況を認識したとして、「列車が動き出せば離れてくれるだろう」とそのまま発車させるか、「列車が動き出しても離れないかも」と考えて、いったん安全確認を行うか。

もう一歩進んで「ひょっとして、手を挟まれて動けないのか?」「もしかして目が不自由なお客さん? 状況が見えていないのかも」などと想像までできれば、なかなかのレベルだと思います。

いろいろな事例を知ることで「かもしれない」の引き出しを増やす

ただ、「だろう」ではなく「かもしれない」で考えましょう! と口で言うのは簡単なのですが、では具体的にどうすれば「かもしれない」思考ができるようになるねん? に関しては、意外と語られることがありません。

どうすれば「かもしれない」で考えることができるようになるか。

私としては、いろいろな過去事例を知ることが「かもしれない」の引き出しを増やす方法だと思っています。

……と書くと難しく感じるかもしれませんが、そんな大袈裟なものじゃないですよ。たとえば、他の人が「雨が降っているときに○○の場所で滑った」と言っていた。それを知っていれば、自分が○○の場所を通るときに、「滑るかもしれない → 気をつけよう」と考えることができます。

いろいろな過去事例を知っていると、「かもしれない」を考えるための材料・元ネタが増えます。それを自分が遭遇した状況に当てはめることで、「かもしれない」の思考ができるようになるわけです。

もちろん、過去事例がないような場面でも「かもしれない」思考を働かせる必要はあります。ただ、まったく取っ掛かりがないことに関しては、「かもしれない」を考えるのがなかなか難しい。特に初心者は、いろいろな過去事例を知ることから始めるのが近道でしょう。

「いろいろな過去事例」と書きましたが、公式な情報から非公式なものまで、周りにたくさん転がっているはずです。

  • 先輩の体験談
  • ヒヤリハット
  • 自社の事故事例
  • 他社の事故事例

この手の話はボケーッと聞いているだけでは、何の役にも立たないでしょう。ですが、自分の中の「かもしれない」の引き出しを増やそうという意識で話を聞くと、実になってくれるはずです。

このあたりは、指導する側の采配次第のところもありますね。たとえば私は、職場内でヒヤリハット情報を展開するときは、これを読んで「かもしれない」思考を行うための元ネタを増やすように! と一言添えるようにしています。何も言わずに情報展開しただけでは、聞いた人は「ふーん」で終わってしまい、頭に残らないからです。

情報とは、頭に入れる前に「こういうふうに役立てよう」と何らかの意識を持って聞くのと、何も意識を持たず漠然と聞くのでは、定着度に差が出ます。指導する側としては、ただ情報を垂れ流して「俺はちゃんと情報展開したからね。聞いてないなんて言わせないよ」とか言うのではなく、情報を定着させる工夫を考えたいものです。

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