今回の記事は、仕事術に関する内容。テーマは「わかりやすい教え方」です。
部下や後輩に何かを教えるという業務は、多かれ少なかれ、誰しもが経験することです。私もそうで、勉強会の講師的な役割や、新人が入ってきたときに規程やマニュアル類を教えることが、仕事の一つです。
自分で言うのもアレですが、私の先生役はけっこう評判いいです。
「泊まり勤務が終わったあとに聞いても眠くならないッス」とか「予備校の講義みたいな雰囲気出てるッス」とか、お褒めの言葉を多数いただいて……
って、コレは本当に褒め言葉だろうか? 自分で書いててわからなくなってきた(笑)
わかりやすく教えるには「自分がよく理解していること」が必要
社会人をやっていれば、誰でも一度は直面する悩み。それが、「部下や後輩にわかりやすく教えるためにはどうすればいいか?」です。
本屋に行っても、ネット上で探しても、わかりやすい教え方というテーマで書かれたものは、たくさん見つかります。それだけ、教え方について悩んでいる人が多いのですね。
私は、教える業務をそれなりに経験してきたので、自分なりの考え方を持っています。今回の記事では、そのあたりについて書きます。
他人にわかりやすく教えるために最も必要な一点は何か? と問われれば、私は次のように答えます。
教える内容に関して、自分自身がよく理解していること
部下や後輩にわかりやすく教えるために一番大事なこと。それは、教える内容に関して、教育役である自分自身がよく理解していることである。
なーに当たり前のこと書いてんのかね、と思うでしょうが、ではみなさんに質問。
教育をした経験の一度や二度はあるでしょうが、そのときに、「この分野ならバッチリ。俺に任せろ!」と自信を持って部下や後輩にレクチャーしていましたか? 私の感覚では、「やっべー実は俺もよくわかってないんだよなぁ」と思いながらやっている人が、少なからずいるんですよね。
自分がよくわかっていないものを他人にわかりやすく教えるなど、不可能に決まってる
これはコツというより、そもそもの大前提なので、わざわざ言及する人は皆無です。しかし、当たり前すぎるのに疎かにしている人が少なくないと思うので、あえて書きました。
もちろん話し方などのテクニックも重要ですが、その前段階として、「教えるべき内容」が自分の中でじゅうぶん噛み砕けていないと、テクニックもクソもないんですよ。
テキスト類を見なくても“語れる”レベルを目指せ
教える内容に関して、教育役である自分自身がよく理解していなければならない。教える立場になったら、たくさん勉強しなければいけないわけです。
「教えられるときよりも、教える立場になったときの方が何倍も勉強しなければいけない」などと言われますが、本当にそれ。
具体的には、教える内容に関しては、テキスト類の中身を見なくても“語れる”くらいのレベルに達してほしいですね。テキストの類は、指導する際の流れを見失わないための「道標」として使うくらいのつもりで。
つまり、教える内容を頭にインプットしておく。
これは理解が伴っていないと実現できません。人間の頭は、理解できることしかインプットできないようになっています。「これワケわかんねぇ」と感じる内容を覚え込むって、不可能に近いですから。
知識を蓄え中身を理解しないとソラでは喋れない
ということは、何も見ずにソラで喋れるようならば、その内容に関して概ね理解しているといえます。
とある経営コンサルタントの著書で、プレゼンのコツが紹介されており、「手元に資料がなくても喋れるくらいじゃないとプレゼンは成功しない」みたいに書かれていました。資料なしで喋るためには、プレゼン内容を徹底的に理解し熟知する必要があります。それが説得力を生むための一要素になるのでしょう。
指導・教育でも、似たようなことが言えるのではないでしょうか。
中学と高校のときに、わかりやすい教師に当たったことがあります。その教師は、授業のときにチョークだけ持って、ほとんどソラで喋っていました。もちろん、机の上に教科書なり資料なりは置かれているんですが、それに目を落とさず、生徒を眺めて反応を確かめながら授業を進めているのですね。
さらに、教科書には載っていない雑学知識も混ぜるなど、生徒を退屈させない技術にも長けていました。たくさん勉強していることが窺える教師でした。
よく勉強して知識を蓄え、それを自分の中でじゅうぶん噛み砕いているからこそ、生徒にわかりやすく教えることができるのだと思います。
教育係が「わからないから」と予防線を張るようでは困る
最後に、人に教えるときにその姿勢はアカンやろ、と感じる悪いケースも書いておきましょう。
みなさんが指導を受ける際に、「俺そんなに詳しくないから」とか「俺よりも○○さんの方がよく知ってるんだよね~」とか、そういう予防線を張ってくる先輩・上司に当たったことありませんか?
個人的な経験では、こういう言動をする人って、謙遜ではなく本当によくわかっていないケースが多いから困る(^^;)
この手の先輩や上司はマジ勘弁です。生徒側からすれば、「この人大丈夫?」と不安しかない。
特に最近の若手社員は、会社に対し、キチンとした教育を受けさせてくれることを望む傾向が強い(らしい)ので、こういう先輩社員に当たった時点でヤル気を失い、見切りを付けられても不思議ではありません。
予防線を張ってる暇があったら勉強しろ
と言っておきます。
もちろん現実的には、教える側だからといって、どんなことでも100%を知っていることはありえません。どうしても、知らない・わからない部分はあります。それを放置するのではなく、少しでも減らしていく努力が大切です。