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仕事のときは大きな声を出すべし! 指令業務における基本の考え方

「大きな声を出せ!」

仕事やスポーツの場面で、このように言われた経験は、誰でも一度はあるのではないでしょうか。

私は素で声がデカいので、「声が小さい!」などと叱られたことは一度もなく……というか逆に、「お前は声がうるさい」と言われたことの方があるくらいです(笑)

もちろん、世の中は私のような人間ばかりではなく、声の小さい人もいます。そういう人が指令員として着任してくることも当然あります。

私は指導する側の人間なので、教育を受け持つこともあるのですが、新人指令員に対して「仕事のときは大きな声を出しなさい」と言います。もちろん、スポーツばりに気合いの叫びを行う必要はないですけどね。周りの人にちゃんと聞こえるよう意識して発声してくれと。

私は別に、精神論や根性論で「大きな声を出せ!」と言っているわけではありません。仕事のときは大きな声を出した方が良い理由が存在するから、そういうことを言うわけです。

大きな声を出した方が良い理由とはなにか? 今回の記事では、鉄道会社の指令という業務において、大きな声を出した方が良い理由を書きます。いや、「鉄道会社の指令」という場面に限ってのものではなく、みなさんの仕事にも応用できる内容が含まれていると思うので、ぜひ参考にしていただきたい。

私は、大きな声を出すことで、以下の効果があると考えています。

  • 意思伝達のときにミスが起きる可能性が減る
  • 周囲に情報をバラまける
  • 間違えたときに周囲から指摘してもらえる

【効果1】意思伝達のときにミスが起きる可能性が減る

まず1点目。声が大きければ、意思伝達のときにミスが起きる可能性が減ります。

鉄道の現場は、いろいろな部署が複雑に絡み合って動いています。たとえばダイヤ乱れの異常時ともなると、指令・乗務員・乗務員の管理区所・駅・車両基地などで相互に連絡を取り合い、連携しながら対処していきます。つまり、「意思伝達という行為」が頻繁に飛び交います。その際は、電話や無線がメインの通信手段になります。

もちろん、ファックスや、タブレット等を使ったデータ送信といった方法もあります。しかし、相手との通信手段として、電話や無線が占める割合は、令和の現代でも決して低くありません。やっぱり速いんですよ、直接声で届ける方法は。

そして、声を出して直接意思伝達を行う以上、「こちらの声が相手にキチンと届くこと」は最低限必要です。声が小さくて何を言っているのか不明では、意思伝達もクソもない。

不十分な意思伝達によってミスが起きた例は、世の中にいくらでもあると思いますが、それが「声が小さい」という原因で起きたのでは、あまりに勿体なさすぎます。声が大きければ、聞き間違い・聞き漏らしを防ぐことができ、それだけ意思伝達のミスが起きる可能性を減らせます。

【効果2】周囲に情報をバラまける

大きな声を出した方が良い理由・2点目。大きな声を出すことによって、周囲に情報をバラまけるからです。

たとえば、誰かが電話を受けたとしましょう。そのとき、電話を受けている人が「いま○○が起きたので△△が必要なんですね」と大声で復唱してくれれば、周りで聞いている人も「あ~○○が起きたんだな」と認識でき、情報共有が速いです。

これが電話を受けた人がヒソヒソ声で話していようものなら、何が起きたのか、周りの人にはサッパリわかりません。

もちろん、電話が終わったあとに情報を整理し、改めて部署内に展開する必要はあります。そこで情報共有がしっかり図られれば、最終的には問題ありません。

ただ、周りの人としても、電話をしていた人が大きな声で話してくれれば「いま何が起きたか?」が予めわかって心の準備もできますし、理解や対処も速いです。そちらの方が絶対にトクです。

【効果3】間違えたときに周囲から指摘してもらえる

大きな声を出した方が良い理由・3点目。間違えたときに周囲から指摘してもらえるからです。

関係部署に電話をして指示を出すシーンは日常茶飯事ですが、このとき大きな声を出していると、「いま何をやっているか」が周囲から見えるのです。もし間違った指示を出そうとしていたときに、「それ違う!」と周りの人が気付いて止めてくれるかもしれません。

というか、実際に経験あります。止めた側・止められた側、両方です。

前項で情報共有の話をしましたが、バタバタしている場面では、どうしても「現時点での正確な情報すべて」を「その場にいる全員で共有している」状態にはなりません。情報はどんどん更新されていきますし、末端レベルの細かい情報ともなれば、なおさら把握が難しい。

そういうわけなので、最新ではない古い情報や、抜けた部分がある情報をもとに指示を出してしまう可能性は排除しきれません。そのときに、周りの人が「ちょっと待て!」とストップをかけてくれたら、非常に心強い。そのためにも、大きな声を出して、自分を「周りから見える状態」に置いておくことが必要です。

もちろん、ミスをしないよう個人レベルで気を付けることは大切ですが、職場全体レベルでミスを防ぐための工夫というのも、やはりあるべきだと思うのです。

指導者は「そうした方が良い理由」を論理的に伝えているか?

  • 意思伝達のときにミスが起きる可能性が減る
  • 周囲に情報をバラまける
  • 間違えたときに周囲から指摘してもらえる

というわけで、仕事で大きな声を出した方が良い理由を語ってみました。仕事術というよりは、仕事における基本の考え方ですね。これは鉄道マンだけではなく、いろいろな仕事に当てはまることだと思うので、みなさんにも参考にしてもらえれば。

さて、問題は、「こうした内容を指導する側がキチンと伝えているか?」です。

論理的に「こういう効果がある。だからやった方がいい」と伝え、納得させたうえで取り組んでもらう。それが効果的な指導でしょう。
(だいたいの人に同意してもらえると思います)

そのためには、「行動そのもの」だけでなく「行動のベースとなる考え方」も伝授していかなければいけませんが……指導する立場にあるみなさん、意識的に取り組んでいますか? この手の考え方というものは、伝えていく取り組みを意識的に行わないと、なかなか浸透していきません。

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