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しっかり休憩や仮眠を取るのも鉄道マンの大事な仕事

どうも日本人は、「休む」という行為に対して、罪悪感や後ろめたいイメージを抱いているのではないか。休まず働くことが美徳であり、それが勤勉なのだ、と。

そうした風潮が、長時間労働や、年次有給休暇の取得率が上がらない、はたまた体調が悪くても無理に出勤してしまうといった“悪習”の背景になっているのでは? そう感じるのは、私だけではないでしょう。

しかし、休むべきところはしっかり休むことが大事です。

「スポーツでは休むのもトレーニングのうち」と聞いたことがあると思います。ロクに身体を休めずトレーニングばかりしていると、かえって害になり故障を招きかねません。

かの有名な『論語』も言ってますよね。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と。

休憩時間は「頭や身体をしっかり休めるのが仕事」

休むべきところはしっかり休むことが大事。これは鉄道の仕事でも同じです。

この記事では、乗務員の話をします。

乗務員の仕事は、乗務 → 休憩 → 乗務 → 休憩……の繰り返しで進んでいきます。泊まり勤務ともなれば長丁場なので、ちゃんと休憩しないと途中で息切れします。

安全運行を守るためには、集中力が大切です。そして、集中力を維持するためには体力が求められます。仕事や学校から帰って疲れた状態では、集中力をキープできないのは、みなさんも経験として理解できるでしょう。

休憩とは、遊ぶための時間ではありません。作業のクオリティを維持するために、体力を回復させ、心身の状態を整える時間です。言ってみれば、頭や身体をしっかり休めるのが仕事です。

仮眠前に人のことを捕まえて長話するのは勘弁してほしい

休憩だけでなく、仮眠も同様です。泊まり勤務では、4~5時間程度の仮眠があります。翌朝の乗務に備え、1秒でも多く寝て、心身を整えるべきです。

ところが、それを邪魔されることがあります。他の乗務員と一緒に宿泊所に泊まる際に、話好きの先輩に“捕まって”しまい、長話に付き合わされる事態です。

年配のベテラン乗務員なんかだと、そんなに寝なくても大丈夫な人が多いんですよ。仕事の要領もわかってますし、泊まり勤務に身体が慣れています。また、「歳を取ると睡眠時間が短くなる」と聞いたことがありませんか? 短い仮眠時間でも支障ないわけです。

だから、さっさと寝ずに若手を捕まえて、雑談や仕事などの話を始めると。

しかし、こういうのは正直言って迷惑ですね。若手の方から「もう寝ますんで」とは切り上げられないので、厄介この上ない。

若手~中堅の間では、「あの人に捕まると長話に付き合わされるから気を付けろ」的な情報共有もされていました(笑)

もちろん先輩としては、「寝るのを邪魔してやろう」などと思っているはずは絶対になく、親切心で話してくれている面もあるでしょう。が、文字通り、お気持ちだけで結構。30分や、下手すると1時間も付き合わされるこっちの身にもなってください(笑) そういうのは、飲み会のときにでも話してくれればいいです。

何かミスをやらかして説教されるなら、わからないでもないですが……。

再度書きますが、休憩や仮眠とは「頭や身体をしっかり休めるのが仕事」です。

そういうわけで、私は同僚とだべったりせず、さっさと寝ていました。自分が先輩になっても、後輩を捕まえて話をするようなことは絶対しませんでした。向こうから質問されたときなどは別ですが。

見習生は早起きしがちだが個人的には賛成できない

仮眠時間が短くなってしまうケースは、他にもあります。たとえば、見習運転士・見習車掌。彼らは先生(指導運転士・指導車掌)と一緒に乗務し、仕事を覚えていくのですが、やたら早起きしてくる人がいます。

見習生のうちだと、先生よりも先に起きなきゃ! という気持ちもあります。仕事モードが身体から抜け切らず、早く目が覚めてしまい、「もう起きちゃえ」と身支度を始めてしまうこともあります。

そのへんの事情は理解できますが、正直あまり誉められないですね。早起きし過ぎたせいで朝の乗務中に眠くなることがあったら、それはプロの体調管理として、いかがなものでしょうか。

くどいですが、休憩や仮眠とは、「安全運行を維持するために、頭や身体をしっかり休めるための時間」です。指定された作業開始時刻にさえ遅れなければよく、その範囲内でなるべく長く眠る努力をしてほしいと思います。

最悪、眠れなくてもいいんですよ。目を瞑って横になっているだけで、身体は休まりますから。

「早起きしてくる人はヤル気がある」という考え方もあるでしょうが、少なくとも私は全然そう思いませんし、まったく評価しないですね。

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