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日勤教育という制度自体は決して悪ではない!

 日勤教育

2005(平成17)年のJR西日本・福知山線脱線事故において、一躍有名(悪い意味で)になった言葉です。報道などでは、この日勤教育がとしてコテンパンに叩かれていました。

が、当時の報道の内容には、私個人としては「それはちょっと違うのでは」と言いたくなることが少なからずありました。今日はそのあたりを含めて、日勤教育についての説明記事を書きます。

【用語説明】日勤教育とは?

事故から16年経ったので、「そもそも日勤教育ってなに?」という人が多いと思います。まずはそこの説明から。

日勤教育とは、簡単に言えば、「ミスを犯した運転士を乗務から外して再教育すること」です。

ミスとは、たとえばオーバーランや何かの機器取扱不良、規定違反などが該当します。このようなミスをした運転士を、いったん乗務からおろして「再教育をほどこす」のが日勤教育の目的です。もちろん、日勤教育が終われば、運転士は乗務に復帰します。

日勤教育には「法令上の根拠」がある!

ミスした運転士を乗務から外してしまうわけですから、見ようによってはペナルティに見えます。

「乗務から外すなんて大袈裟なことしないでも……」
「口頭での指導や始末書くらいで済ませられないのか?」

そう考える人がいても不思議ではありません。しかし、実は日勤教育には法令上の根拠がある、といったら驚きでしょうか?

鉄道に関する技術上の基準を定める省令

この省令が、日勤教育の根拠です。

運転士の要件 「知識と技能」が身に付いているか?

ここからは少し難しくなりますが……この省令の第10条では、次のように定められています。

(係員の教育及び訓練等)

第十条 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員並びに施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う係員に対し、作業を行うのに必要な知識及び技能を保有するよう、教育及び訓練を行わなければならない。

2 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員が作業を行うのに必要な適性、知識及び技能を保有していることを確かめた後でなければその作業を行わせてはならない。

そこのあなた (´∀`)9 ビシッ!
「読むのメンドクセー」と思って読み飛ばしませんでしたか!? この条文が言いたいことは、次のようなことです。

運転士や信号を扱う係など、列車の運転に直接携わる係員。
そういう係員は、職務の遂行に必要な「知識・技能」を身に付けていなければならない。
「知識・技能」が身に付いていることを確認した後でなければ、仕事をさせてはいけない。

知識・技能が身に付いていない人を乗務させてはダメ

仕事上のミスには、いろいろな原因があります。単なるウッカリもあれば、重要な知識が抜け落ちていて……というケースもあるでしょう。

しかし、ミスをした直後では詳しい原因はわかりません。「知識・技能が身に付いていなかった可能性」もありえるわけです。そうした可能性を想定して、原因調査のためにも、乗務から外してしまうのです。

逆に言えば、「知識・技能が身に付いていない可能性」があるのに、乗務を続けさせてはいけません。

つまり、ミスをした運転士を放置してそのまま乗務させることは、「知識・技能が身に付いていることを確認した後でなければ仕事をさせてはいけない」という省令の趣旨に反するわけです。

決して「見せしめ」や「懲罰」ではない

運転士に日勤教育を行うのは、こうした法令上の根拠があるわけです。運転士に対するフォロー教育なのです。少なくとも、形式上は決して見せしめや懲罰ではありません。

このあたりの背景を知らずに、「日勤教育 = 絶対悪」みたいな認識が広がってしまったと感じています。いや、正直に言うと、現役運転士の中にも日勤教育をペナルティ的なものだと捉えている人がいるんですね。

ですので、まずは正しい認識を持ってもらうために、今回はこのような記事を書きました。次回も、日勤教育についての記事を書きます。

続きの記事はこちら 鉄道の安全を守るために 日勤教育の「あるべき姿」を考える

(2019/4/27)

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