現役鉄道マンによる鉄道雑学のブログ

趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職等で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

第三セクター鉄道の社員はどこから来ている?

(長文なので、今回と次回の2回に分けます)

こんにちは、現役鉄道マンのKYSです。

いよいよ採用試験解禁の6月になり、就職活動の本戦が始まります。
学生のみなさん、頑張ってください。
私も、みなさんに有益な情報を提供できるよう頑張ります。

さて、今回のテーマは「第三セクター鉄道」(以下、三セク鉄道と表記)。

昔に比べると、三セク鉄道の数はずいぶん増えました。
ですので、鉄道業界を志望する学生にも、三セク鉄道を受験する人は少なくないでしょう。

この三セク鉄道ですが、JRや私鉄とは違った内情もありますので、私の情報の範囲内で、知っていることをお伝えします。

 

三セク鉄道の採用形態


念のために用語説明しておくと、「第三セクター」とは、国や地方自治体(地方公共団体)と民間が共同出資して作られた法人のことです。
ようするに半官半民の企業。

三セク鉄道は、おおむね以下の三種類に分類できます。

1.国鉄分割時に地方ローカル線を引き継いだ会社
2.整備新幹線開業時に並行在来線を引き継いだ会社
3.国鉄やJRからの転換とは関係ない新線

それぞれ簡単に解説していきます。

1.国鉄分割時に地方ローカル線を引き継いだ会社

昼間は1時間に1本程度のダイヤで、田舎の風景の中をディーゼルカー(気動車)が走っているような、いわゆる地方ローカル線を運営する三セク鉄道が典型的です。

この手の会社は規模が小さいため、そもそも新卒採用自体がほとんどなく、あったとしても地元の高校から採用したり、他社からの転職者や出向者でまかなっているようです。

ですので、リクナビ・マイナビなどの就活サイトはもちろん、自社のホームページにも採用情報が載っていないことが一般的です。

ただし、例外もあります。

たとえば、三セク鉄道の優等生といわれる愛知県の愛知環状鉄道
ここは線路が電化されており、一時間に複数本の列車ダイヤです。
このくらいの規模の会社になると、キチンと採用情報が出ています。

2.整備新幹線開業時に並行在来線を引き継いだ会社

「整備新幹線」が開業した際は、並行するJR在来線をJRから切り離して新路線とします。
この新路線を引き継ぐ目的で設立された三セク鉄道です。

当該県内で新幹線に並行するJR在来線を(原則)すべて引き継ぐため、会社規模はそれなりに大きなものになります。

たとえば、富山県内で100kmほどの営業キロをもつあいの風とやま鉄道
リクナビで採用情報を見てみると、昨年(2018年)度に40名程度を採用し、今年(2019年)度も20名程度の採用を予定しています。
ちょっとした大手私鉄並みの採用数です。

ただ、これは三セク鉄道としては例外的な採用数であって、普通は「採用数若干名」ですね。

3.国鉄やJRからの転換とは関係ない新線

東京圏でいえば、つくばエクスプレス東京臨海高速鉄道(りんかい線)が代表的でしょうか。
国鉄やJRから転換されたわけではない、新規路線を運営する三セク鉄道です。
この手の会社も新卒採用を行っていますが、やはり採用数は若干名というのが一般的です。

会社立ち上げ時はどうするの?


さて、「三セク鉄道を設立する」と聞いて、次のような疑問を感じた人がいるかもしれません。

「新しく会社を立ち上げるわけだから、社員も集めないといけないよね。
 必要な社員、たとえば駅員や運転士は、最初はどうやって確保するの?」

答えは、「近隣の鉄道会社からの出向やOB再雇用」です。

たとえば、先ほど名前をあげたあいの風とやま鉄道なら、会社立ち上げ時は、JR西日本・JR貨物からの出向者や再雇用者で要員を確保したはずです。
そして、出向者や再雇用者で会社を回しつつ、同時並行で少しずつ新卒採用を行い、自社採用の社員を増やしていく。

JRだけでなく、大手私鉄が近くにある場合は、そちらからも要員を引っ張ってきたりします。
たとえば、つくばエクスプレスは、最初は西武鉄道からの出向者が主だったらしいです。

駅員や乗務員の他にも、いわゆる現場系の仕事として、電気関係や保線、車両の検査修繕などがありますが、同じく近隣の鉄道会社から集めます。

いわゆる事務系の社員は地方自治体から


ただし、鉄道会社に必要なのは現場系の仕事だけではありません。
会社組織ですから、総務・人事・経理・広報などの仕事も必要ですよね。

もちろん、この手の社員も近隣の鉄道会社から、ということはあります。
が、これら事務系の職種に関しては、地方自治体の職員が出向してくるのが一般的と思ってよいでしょう。

三セク鉄道には「国や地方自治体」が出資していますから、その関係で、そこからも出向があります。
具体的には、〇〇県や〇〇市の職員がやって来るわけです。

社長や役員についても同様です。

ですから、三セク鉄道に採用試験を受けに行ったとき、面接官としてみなさんの目の前に座っているのは、こうした地方公共団体からの出向者というわけですね。
(こんなことを言うのもなんですが、鉄道のことをよく知らない社員が採用に関わっているケースも多いのでは……)

社内はある意味カオス状態


このように、現場系社員は近隣の鉄道会社から、事務系社員は地方自治体から、というのが三セク鉄道の典型例です。

そして、一口に「鉄道会社」「地方自治体」といっても、出身母体はさまざまなわけです。

現場系なら、JR旅客会社・JR貨物・私鉄の人間が混在している。
事務系なら、〇〇県の職員もいれば、〇〇市の職員もいる。

ここに新卒採用の人間も加わるわけですから、一種のカオス状態ですね。

なお、新会社発足にはいろいろと準備が必要ですから、開業直前になっていきなり出向になるわけではありません。
担当業務にもよるでしょうが、会社の立ち上げ準備のために、2~3年前から出向したりするようです。

さて、三セク鉄道の人員構成については、なんとなくイメージできたでしょうか?
次回は、こうした背景が会社にどのような影響を与えるのか、もう少し突っ込んで三セク鉄道の「内情」を見ていきます。

続きの記事はこちら 第三セクター鉄道特有の(フクザツな)社内事情とは?