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緊急地震速報を受信! そのとき鉄道会社はどうする?

2020(令和2)年7月30日、関東や東海で緊急地震速報が流れました。

緊急地震速報が流れた際、鉄道の現場では何をするのでしょうか? 今回の記事では、それを紹介します。

緊急地震速報 or 実際に地震が発生したら全列車を停める

緊急地震速報を受信した場合、鉄道会社が最優先でやるべきことは何か?

「すべての列車を停車させること」です。

これは緊急地震速報の場合に限らず、実際に地震を感じたときも同様です。どこの鉄道会社にも、「運転士は運転中に地震を感じた場合、ただちに停車すること」という類の規定があるはずです。

言うまでもなく、これは安全のための措置。高速走行中にグラグラッときて脱線しようものなら、被害は甚大ですから。

停車の方法はさまざま 運転士の手動操作から強制ブレーキまで

では具体的に、緊急地震速報を受信したら、どうやって列車を停めるのか?

これは鉄道会社によって方法がだいぶ違います。導入しているシステムや設備のレベルが異なるためです。私が知っているものを、いくつか紹介します。

① 指令員が列車無線で停車を呼び掛ける

もっともアナログな方法。
列車の運行管理を行う指令員が、列車無線で全列車に対して、「緊急地震速報だからただちに停車しろ」と呼び掛ける。それを聞いた運転士は、ブレーキを掛けて列車を停めるという方法です。

② 停車を指示する自動音声が列車無線から流れる

①の方法は、停車の指示が、指令員の肉声という「手動」でした。これが「自動化」されている場合もあります。

緊急地震速報を受信すると、システムが反応して「緊急地震速報です。ただちに停車してください」という自動音声が列車無線で流れる。これを聞いた運転士は、ブレーキを掛けて列車を停める。

運転士が最終的に手動ブレーキで列車を停めるのは、①と同じです。

③ 車両に「赤信号」を送信して強制停車させる

①②の方法は、運転士が手動でブレーキを掛けて列車を停めました。しかし、もしかすると運転士のウッカリがあるかもしれません。それを避けるために、自動的にブレーキが掛かる仕組みもあります。

たとえば、ATCという仕組みを導入している線区だと、車両に「赤信号」を自動送信して強制的にブレーキを掛ける方法があります。緊急地震速報がATCと連動しているわけですね。

ちなみに、車両に赤信号を送信して強制停車させる方法は、地震以外の場面でも用いられています。一例ですが、ホームに設置されている非常停止ボタンが押されると、付近の車両に赤信号が送信されて緊急停車する、という具合です。

④ 架線への送電を止める

列車を強制的に止める方法は、他にもあります。電車に限られますが、動力源である「電気」を断つ方法です。

具体的には、緊急地震速報を受信すると、架線への送電がストップする。車両側は、架線電圧ゼロを検知すると、自動でブレーキが掛かる仕組みになっている。

これは、新幹線で用いられているシステムです。

実際に地震が起きなかった場合はどうする?

で、今回の緊急地震速報ですが、誤報だったようで実際には地震は起きませんでした。

こういう場合は、様子見や情報収集のために5分くらい時間を置きます。それで何も起こらなければ、運転を再開します。

誤報でしたが、これはこれでいい訓練になったのではないでしょうか。ダイヤが大乱れしてお客さんに迷惑が掛かったケースもあったようですが、それは誤報が悪いのではなく、鉄道会社側の“後始末”が下手だったという話で……。

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