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【風規制】鉄道はどれくらいの強風で運転を見合わせる?

今回の記事では、鉄道の運行を脅かす強風の説明をします。利用者側として、知っておくと役立つ情報も書きます。

瞬間最大風速25~30m/sで運転見合わせ

強い風が吹くと列車転覆の恐れがあるため、徐行(速度規制)や運転見合わせになるのですが、具体的な数値は以下の通りです。

瞬間最大風速20m/s以上で徐行、25m/s以上で運転見合わせ

これが一つの標準です。ただし、鉄道会社や路線によって違いがあり、運転見合わせは30m/s以上という鉄道会社もあります。また、線路脇に防風柵を設置することで、運転見合わせの基準値を緩和している例もあります。(JR西日本の公式ページより)

台風が近づくと、「どこどこで瞬間最大風速30m/sを観測」のようなニュースがよく流れますが、30m/sだと完全にアウトですね。

鉄道は瞬間最大風速20~30m/sでアウトだと知っておけば、ある程度、今後の運行予測ができます。判断の目安になるので、覚えておくと役に立つかもしれません。

強風は大雨・地震よりも運転再開が早い 駅で待つ方が得策

強風で運転見合わせになった後は、線路設備の点検が必要です。

ただ、大雨や地震の場合は「係員が線路を歩いて点検してから → 運転再開」という流れなのに対し、強風の場合は「風が収まれば運転再開 → 最初の列車に係員が乗って目視で点検」という措置をとることができます。

つまり、風が収まればすぐに運転を再開でき、しかも列車を動かしつつ点検を行うことが可能。運転再開や通常速度での運転に戻るまでに要する時間は、大雨や地震に比べればずっと短いです。

「大雨や地震で運転見合わせ」だと駅で粘って待っていても無駄なことが多いですが、「強風で運転見合わせ」なら駅で待っていた方が得策です。ただ、台風のように大雨+強風がセットになっている場合はダメですが。

線路脇の風速計を探してみよう

説明が前後しましたが、風の強さは風速計で測っています。

一定区間ごと、および特定の橋梁上には風速計が設置されています。そして、強風を計測したときに、風速計設置箇所の付近が運転見合わせ・徐行になるわけです。

「風速計ってどんな形をしているの?」

鉄道の風速計を扱っている会社の一つに、この会社があります。興味がある人は、リンク先に飛んで写真を見てください。今度列車に乗ったときに、線路脇にある実物を探してみるといいでしょう。

どこの鉄道会社でも、大きな川を渡るような橋梁には備え付けられていると思いますので、そういう場所で探すのがわかりやすいです。ある程度の風があれば、風車みたいにクルクル回っています。

強風への「対処方」は時代によって変化してきた

ちなみに、風速計の形は昔からあまり変わっていませんが、「強風に対する対処法」は時代によって少しずつ変わっています。

国鉄時代のような大昔は、「瞬間最大風速」ではなく「10分間の平均風速」を判断基準としていたこともありました。また、2000年代前半までは、運転見合わせの風速値はもう少し緩かったです(=つまり、現在より運転見合わせになりにくかった)。

しかし、『余部橋梁脱線事故』『羽越線脱線事故』といった強風で列車が転覆する事故を契機に、強風に対する考え方がより安全な方向に見直され、現在の基準になりました。

強風後の点検では「上」を重点的に見る

最後に一つ、ちょっとした豆知識を。

鉄道の線路設備には、大別してがあります。「上」というのは、架線のこと。「下」というのは、レールやそれを支える路盤などのこと。

大雨後の点検では、「下」を見ます。たっぷり降った雨が原因で、路盤の流出や崩壊などが起きることがあるからです。

しかし、強風の場合は「下」は基本的に見ません。いくら風が吹いたって、線路の基盤が吹っ飛んでいったり、ぶっ壊れたりはしませんよね。

そのかわり、「上」の設備である架線が風で歪んでしまったとか、飛来物が架線に引っ掛かっているとか、そういうことがあります。ですので、架線の管理を行う部署=電力関係の係員が点検をします。

つまり、一口に線路点検といっても、大雨と強風では「見るべきポイント = 急所」が異なるわけ。まあ実際、台風の後などは上も下も点検が必要なので、ワンセットで見たりしますが……。

(2019/9/3)

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