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なぜ管理職手当(役職手当)というものが存在するのか?

鉄道マンといえば、酒や飲み会が大好きというイメージがあるかもしれません。

私はこの業界でしか働いたことがなく、他業界との比較ができないので何とも言えませんが、少なくとも私の周りには、飲みに行くのが好きな人は多かったですね。

実際、泊まり勤務主体の駅員や乗務員だと、飲みに行きやすいんですよ。前日からの泊まり勤務が午前中に終われば、そのまま昼メシを兼ねて飲みに行くのが一つのパターンです。世間がみんな働いているときに、昼間から飲む酒は美味いっ! いやぁー愉快愉快(笑)

今回の記事は、そんな飲み会の中から学んだ話。テーマは管理職手当(役職手当)です。

「管理職手当ってのは、部下に奢るために支給されるんだよ」

私が乗務員をしていた20代の頃の話。ある日の飲み会で、酔っ払った年長者が私に絡んで(?)きました。

「おい○○(←私の名前)! お前は将来偉くなりそうだから、今のうちに教えといてやる。よぉぉぉく聞いとけ!」

ちなみにこの人、私を特別に見込んでいるわけではなく、若手の誰にでも同じようなセリフを言っていましたが。

「管理職手当ってあるだろ? 役職が付くと貰えるやつ」
「ありますね」
「あの管理職手当ってのは、何のために支給されるか知ってるか?」

まだ20代のぺーぺーなのに、いきなりそんなこと聞かれても……って感じの質問ですが、私は真面目に答えました。

「そりゃまあ、管理職になれば仕事の責任も重くなるから、それに対する報酬みたいな……」
「違う」

一刀両断された(笑)

「管理職手当ってのは、部下に奢るために支給されるんだよ」

(;゚Д゚)そうなの!?

「だからな、管理職手当はな、間違っても自分の懐に貯め込むんじゃないぞ。部下のために使え」
「はぁ……」

こんな感じのやり取りをしました。数ある飲み会の中の一コマにすぎないのですが、これはずっと頭の中に残っていました。

割り勘に唖然とした若かりし頃の経験

月日が経ち、私は乗務員から指令員になりました。

あるとき、他の部署の偉い人から、「せっかくだから飲みに行くか」と誘われました。私だけでなく、同僚の指令員も一緒です。乗務員と違い、指令だと「横の連携」でいろいろな部署と仕事で絡むので、そういうこともあるのですね。

そうして、そのお偉いさんと一緒に飲みに行ったのはいいのですが……

まさかの割り勘……(唖然

いや、「ご馳走してください!」なんて言いませんでしたよ。そんなこと実際に口に出したら図々しいから。でもなぁ、こっちは30歳前後のぺーぺー。向こうは、50歳くらいの役職付きの人。しかも、誘ってきたのは向こうの方。このシチュエーションで割り勘は正直考えなかった。

お偉いさんと別れた後、駅までの帰り道で、同僚と愚痴ったのをよく憶えています。

「割り勘はねぇわな」
「だよなぁ」

ケチな上司は信用を失う……とまでは言いませんが、人間としての評価が落ちることは実感しました。

いや、仕事とは直接関係ない「奢る・奢らない」を、上司の人間的評価にどこまで繋げてよいかは難しいところです。ただ、もしみなさんが私と同じような場面に遭遇したとき、ケチ上司の評価をまったく落とさないという人は、おそらく少数派だと思います。

「組織としてのパフォーマンスを保つための管理職手当」という解釈

人間的評価という言葉を出しましたが、人格と言い換えてもよいでしょう。自分がぺーぺーのときもそうだったので、よくわかりますが、部下というものは上司の仕事の能力だけではなく、人格も見ています。

いくら仕事ができても、「この上司は人間的にアカンな」と思われたら、部下からソッポを向かれるのが現実です。そして、部下たちから「この上司はダメ」と思われたら、その部署のパフォーマンスは落ちる可能性が高い。嫌な上司のもとで、頑張って仕事する気にはなれないのが人間だからです。

それを考えると、「管理職手当は部下に奢るために会社から支給される」という言葉も、一理あると思います。

というのは、奢らない・ケチという要素が上司の人間的評価を下げ、結果的に組織のパフォーマンスを落とすのであれば、会社側もそれは避けたいと考えるはずです。そこで会社は管理職に手当を支給し、その手当を部下のために使ってもらう。それによって上司の人間的評価は保たれ、組織のパフォーマンスが落ちるのを防ぐ。

このように、組織としてのパフォーマンスを保つために、会社側は管理職手当というものを設けている。

これが正しいと言っているわけではなくて、そういう解釈もありえるという話です。

【注意】奢るのは思いやりという人徳で行うべき

誤解しないでほしいのですが、仕事を進めやすくするために部下に奢って媚びを売れとか、「ここでご馳走しなかったら俺の評価が下がって仕事に差し支える」と考えて奢れとか、そういうことを言っているのではありません。奢るとは、あくまで思いやりという人徳で行うべきものだと私は思っています。

会社としては、組織のパフォーマンスを保つという「打算」のために管理職手当を設けているのかもしれない。けれど、管理職個人までがその考えに乗っかる必要はないよ、というわけです。

ついでに言っておくと、打算による奢りは見抜かれると思って間違いありません。部下もバカじゃないので。

まあここまで書いといて言うのもなんですが、実際は、奢るという行為をそこまで難しく考える必要はないでしょう。私としても、自分が若い頃にさんざん上司や先輩に奢ってもらったので、自分のところで堰き止めず、これまで得した分を後ろの世代に放出しているだけというくらいの感覚です。

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