東海道本線・新幹線の豊橋駅を拠点にしている老舗業者、それが『壺屋』です。駅構内で駅弁販売をしているほか、立ち食いそば・うどん店の経営もしています(→公式ホームページ)。
以前、豊橋駅でラーメンを食べた記事を掲載しましたが、それだけでは満腹にならなかった私は、壺屋の売店で駅弁を買い求めました。今回の記事は、その食レポです。
壺屋の看板商品・稲荷寿しが入った駅弁をチョイス
壺屋といえば、看板商品は「稲荷寿し」。豊橋の近くには、かの有名な豊川稲荷があります。その関係で稲荷寿しが誕生したそうです。
しかし、看板商品とはいっても、稲荷ばかり4個も5個も食べるのはなぁ。他のものも食べたい……と思ったときにピッタリな商品が、私の選んだ「稲荷詣で」です。
お値段680円也。稲荷寿し以外に、海老の寿司や軽いおかずも入っているので、看板商品を味わいつつ、他の味を楽しむこともできます。さて、オープン。
・海老の寿司×2
・枝豆
・コロッケ
・きのこの天ぷら
・鶏の唐揚げ
特筆すべきは、おかず3種。コロッケ・天ぷら・唐揚げという揚揚揚トリオ。なぜこんな構成にした? ……と思いつつ、まずは稲荷寿しから食します。
うむ、しみじみとした美味さだ
サイズもちょうどいいです。そしてバランス感。稲荷寿司って家で作ると、油揚げの味付けもそうですが、酢飯と油揚げのバランスを取るのが難しい。酢飯をパンパンに詰め込むと、おにぎりみたいになる。酢飯が少ないと、油揚げの濃い味が勝ちすぎる。
その点、壺屋の稲荷寿しは看板商品だけに、バランスが良く手堅くて安定した感じです。
稲荷寿司という食文化を守り続ける製造業者は貴重
よく考えたら、看板商品として稲荷寿司を作り続けている業者は、かなり貴重です。というのも、令和の現代では、家庭で稲荷寿司を作る機会は激減しているはず。
私が子どもの頃は、運動会のお昼休みになると、応援席で待つ自分の家族のところへ行って、レジャーシートの上で一緒に弁当を食べていました。そこでは母親の作った稲荷寿司が出てくるのが一種の「定石」でした。……ある程度年配の方、共感してくれますよね?(笑)
しかし、令和の現代で、そういうシチュエーションが残っているかは怪しい。
ですから、稲荷寿司を食べようと思ったら、こうやって買うのが現代の標準スタイルでしょう。ということは、業者が製造から手を引いたら、稲荷寿司は食文化から消滅しかねません。派手さはなく地味だけれども、失われたら悲しい。それが稲荷寿司だ。
驚きの「寿司にカニクリームコロッケ」
続いて、海老の寿司をいただきます。うーん、正直これは……(^^;) 酢飯が大きくて、ネタの海老とのバランスが悪い気がします。モグモグしていると、海老は結局どこかに行って、酢飯だけの味になってしまう。ボリュームがあるのは嬉しいですが。
おかずも食べましょう。揚揚揚トリオ、まずコロッケから。
!!こ、こいつは……
カニクリームコロッケだ
寿司にカニクリームコロッケの組み合わせとは。しかし、この弁当の中では唯一の「洋」なので、味覚を変えるという意味ではアリかな……と思いました。普通にイモのコロッケだと、もっさりしてしまって、稲荷や海老寿司が重くなるのかもしれません。
天ぷらと鶏の唐揚げは、うむ、市販弁当によく入っているタイプ。かなりしっかりした味付けです。ここに稲荷寿しを口に放り込むと、先ほど書いたような、運動会のお弁当を思い出しました。運動会の弁当といえば唐揚げ、という人も多いでしょう。
枝豆は、しっかり塩味が染みていました。
ごちそうさまでした。個人的には、昼食のような状況よりも、晩酌時のおつまみとして適している駅弁だと思いました。豊橋近辺で仕事を終え、東京や大阪に新幹線で帰るときに、車内で軽く一杯やりたい……みたいなシチュエーション。缶ビールとセットにしても1,000円で収まります。