年々増え続ける女性乗務員。鉄道会社で女性が活躍する舞台が広がるのは、素晴らしいことです。
その一方で、男社会だった昔の鉄道会社では発生しなかった苦労も、いろいろと起きるのですね。今回の記事では、女性乗務員にまつわる裏話をひとつ。
女性用設備が100%設置済とは限らない
当たり前の話ですが、駅員や乗務員には泊まり勤務があるので、鉄道会社には宿泊用の設備があります。
乗務員は、担当する仕事によって宿泊する場所が異なります。ある人はA駅に泊まり、別の人はB駅に泊まり、また別の人はC車両基地に泊まる……という具合です。
そして、ここがポイントなのですが、乗務員が宿泊する箇所すべてに女性用設備があるとは限りません。A駅にはあるけれど、B駅とC基地にはない、ということが普通にあります。
こちらの記事で詳しく説明していますが、設備の新設にはカネやスペースが必要なので、女性用設備の整備率が100%の会社は少ないはずです。ようするに、女性用設備の整備率は「0%か100%か」ではなく、その間であることが一般的なんですね。
勤務表作成に制約がある
そうなると、女性乗務員には勤務上の制約が生じます。先ほどの例でいえば、A駅に泊まる仕事はOKだけど、B駅やC基地に泊まる仕事はさせられないのです。
ですので、勤務表を作る(=シフトの割り振り)ときには、そこに注意する必要があります。勤務表の作成者は、苦労することも多いようです。
ダイヤが乱れると「宿泊不可」の駅へ飛ばされることも
といっても、平常時であれば、こうした制約はさほど問題になりません。大変なのは、ダイヤが乱れたときです。
人身事故や自然災害でダイヤが乱れると、列車の運休や行先変更が生じます。すると、それに伴って、「どの列車にどの乗務員を乗せるか」という計画(=これを『乗務員運用』と呼ぶ)が狂ってしまうんですね。
そのせいで、A駅に泊まるはずだった女性乗務員が、B駅やC基地の「宿泊不可場所」に“飛ばされる”ことがあります。
こうなると大変。そのままB駅やC基地に泊まるわけにはいかないので、なんとかしてA駅に移動しなければなりません。
B駅やC基地からA駅に向かう列車があれば、それに便乗してもらえばOK。ただ、そう都合よくいかないことも多いです。社用車で迎えに行ったり、タクシーを手配することもあります。
女性用設備の整備率は年々上がっているでしょうから、こうしたケースは減ってきているはずですが、昔はこうした苦労も多かったわけですね。
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