現役鉄道マンのブログ 鉄道雑学や就職情報

鉄道関係の記事が約460。鉄道好きや、鉄道業界に就職したい人は必見! ヒマ潰しにも最適

イベント輸送の裏側で 駅員が苦労する「遺失物対応」

こんばんは、現役鉄道マンのKYSです(^^) ここ数回、イベント時の多客輸送の話を書いていますが、今日は裏話がてら、みなさんに一つお願いを。

イベント時には明らかに遺失物が増える

今回は「駅務業務」の話です。
イベント輸送時、駅員はどんな仕事をしているのでしょうか?

お客さんの誘導や列の整理、お尋ねに対する案内などは、みなさん想像できると思います。しかし、イベント時に意外と大変な業務が一つあります。忘れ物・落とし物対応です。

忘れ物・落とし物は「遺失物」というのですが、沿線でのイベント開催で人出が多いときには、明らかに遺失物が増えるんですよ。

遺失物をデータベースに登録するのは意外と手間

遺失物を発見した場合(またはお客さんから「こんなのが落ちてたよ」と届け出があった場合)、駅員はどうするのでしょうか?

もちろん遺失物を保管するのですが、ただ単に置いておくわけではありません。それなりに大きな鉄道会社なら、どこも遺失物管理システムを導入しているはずです。ウチの会社にもあります。

遺失物管理システムとは、簡単に言えば「遺失物のデータベース」です。遺失物の特徴などをデータとして入力し、社内ネットワークで関係する部署が閲覧・検索できるようになっています。

「関係する部署」とは、お客さんから問い合わせの可能性がある部署、たとえば駅や忘れ物センターですね。実際にお客さんから「こんなものを落としたんだけど……」と問い合わせがあった場合、遺失物管理システムにアクセスして、該当する物がないかどうかを探すわけです。

そして、この管理システムにデータを入力するのがけっこう手間です。

どういうことかというと……鉄道会社では、毎日膨大な数の遺失物が発生します。お客さんから問い合わせがあった場合、その膨大な遺失物の中から、該当する物がないかどうかを検索するわけです。

ですから、遺失物の特徴は、なるべく細かく記録する必要があります。たとえばですが、「黒のカサ」みたいな漠然とした情報では、まったく役に立ちません。黒のカサという情報だけでは、検索時に遺失物が大量にヒットしてしまい、特定ができないので。

いろいろな情報を細かく入力して、さらに保管のための必要な手続きをすると、それだけで2~3分喰ったりすることも……。

遺失物対応がないだけでも駅員はラク

イベントのときは、タダでさえ駅員は大変です。そこに遺失物がどしどし届けられると、「あーもうっ!」みたいな気持ちになります(笑)

「後でまとめて入力すればいいじゃん」と思うかもしれませんが、その場ですぐ記録しておかないと、情報(どこで拾ったか? とか)を忘れてしまうんですね。

まあ、遺失物管理も仕事のうちと言われればそれまでですが、イベントの多客時は、誘導や列の整理などの前線対応に力を注ぎたいもの。駅員が誘導や列の整理にしっかり取り組めれば、お客さんにとっても安全ですし。

忘れ物・落とし物をしないよう気を付けてもらえるだけでも、駅員の負担は減ります。というわけで、みなさん、よろしくお願いします(笑)

関連記事

名古屋鉄道の車掌が落とし物の財布から現金を着服


花火大会の裏側で 鉄道会社の工夫と苦労


→ 鉄道の豆知識や雑学 記事一覧のページへ


⇒ トップページへ