「鉄道会社に就職したい!」という女性に向けて、Q&A方式で疑問に答えていくコーナーの第2回です。第1回の記事はQ1~6、今回はQ7からになっています。
なお、この記事の内容は、駅員・車掌・運転士等の「運輸系の現業職」についてです。いわゆる「総合職」には当てはまらないので、ご注意ください。
Q7 「人身事故に遭ったときは男性よりも女性の方が強い」っていうけど?
乗務員をやる以上は、人身事故に遭遇することは覚悟しなければならないのですが、「いざというときは女性の方が落ち着いている」とは鉄道会社内部でも割と言われています。
「出産に対応するため、男性よりも女性の方が血に強いから」
「いざとなったら、男性よりも女性の方が度胸があるから」
こういう理由で、人身事故に遭ったとしても女性乗務員の方が強い、というわけです。
ただ、私個人の印象ですが、男性・女性は特に関係ない気がします。結局は個人の問題で、落ち着いている人は落ち着いているし、慌てる人は慌てると思います。
Q8 男性社員よりもお客さんに絡まれやすい?
これは……正直わかりません。客商売ですから絡まれることは絶対にありますが、女性社員だから絡まれやすいかというと、なんとも言えないです。絡んでくる相手は、こっちが男だろうと女だろうと絡んでくると思ったほうがいいでしょう。
実際、私も鉄道マニアに絡まれたことがあります。まあ、こっちはプロですから、きっちり相手の質問に答えて“撃退”しましたが(笑)
私見ですが、絡まれやすさは「男か女か」という性別の問題ではなく、「歳が若そうか」という年齢の問題な気がします。ようするに、若い社員ほど絡まれやすいと。
Q9 中小と大手、女性はどちらの鉄道会社が入りやすい?
女性の場合は、明らかに「大手」の方が入りやすいでしょう。
中小の鉄道会社は、女性用設備が整っていないなどの理由で、そもそも女性を採用していない会社があります。表向き「男女差別はしていません」とうたってエントリーはさせますが、実際は女性は最初から採用候補外なわけです。
このあたりの話は、↓こちらの記事を参照してください。
また、中小はそもそもの採用人数が少ないので、場合によっては大手よりも内定を得るのが難しかったりします。
ですので、中小の場合は「採用されたら超ラッキーの宝くじみたいなもの」と思っておくべきで、大手を狙ったほうがいいでしょう。まあ、普通は大手が“本命”で、「私は大手よりも中小に入りたい」という学生はほとんどいないと思いますが。
Q10 鉄道会社で働く女性って「鉄子」が多いの? そういう知識がないと先輩の女性社員に嫌われる?
うーん、そんなことはないですね。
少なくとも私が見てきた範囲内では、鉄子の女性社員ってほとんどいないです。「鉄道好きだから入社した」わけではなく、「あくまでも鉄道会社は、数ある就職の選択肢の一つだった」という人が多い気がします。
もちろん、鉄道会社に勤めているわけですから、鉄道の知識はどんどん身についていきますが、鉄子というのはちょっと違うかなと。
ですから、「先輩の女性社員と鉄道マニア的な話になったりしないかな。そういう話題についていけなかったら嫌われるかな」という心配はしなくていいと思います。そういう心配は、むしろ男性社員がするべきですかね。
社員の「鉄道マニア率」については、明らかに男性>女性で、鉄道マニア的な会話をしているのは男性社員ばかりです。(もしかしたら、実は鉄子だけど職場では隠しているだけかもしれませんが)
余談ですが、「そもそも鉄道マニアって、採用の段階で弾かれるんじゃないの?」と思うかもしれません。「鉄道会社はマニアを採らない」なんて言われますよね。しかし、実際は社員の中に鉄道マニアは数多くいますよ。
Q11 将来は運転士になりたいけど、大卒よりも高卒の方がいいの?
もはや大学に進む人が多数派ですから、「ウチの娘にも大学に進学してほしい」と考える親御さんは多いと思います。一方、世間一般には「鉄道現場の社員は高卒」というイメージがまだまだあります。
そのため、「将来は鉄道会社で働きたい」と思っている女性の中には、「親は大学に行けっていうけど、鉄道会社に入るなら高卒の方がいいのかな?」と迷う人もいるかもしれませんね。
答えを言ってしまえば、「大卒でも鉄道現場で働ける。だから親が大学進学をすすめてくるなら、無理して高卒で就職しなくてもよい」です。
近年、「鉄道現場の社員は高卒」というのは崩れつつあります。現業職における高卒採用が減少しているためです。たとえば、運転士になるための研修って、昔はほとんどが高卒の人間でしたが、現在は高卒・大卒の比率が逆転しています。(少なくとも、ウチの会社はそうです)
もはや今の時代、総合職で採用される女性はもちろん、現業職で採用される女性も大卒が多い。ですから、「将来は運転士になりたい」と考えている女性も、大学に進んだ方が無難かもしれません。
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