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コロナワクチン接種で鉄道会社の人件費が増えるかも?

いよいよ、新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化してきました。私の周りでも、7割くらいの人は接種済または接種の予約を完了した印象です。
(職域接種もありましたが、そちらはパスして、自治体での接種を選ぶ人も多い感じ)

こちらの記事で書いたとおり、私は「しばらく様子見」なのですが、そういう人は1~2割くらいですかね。

接種後にダウン続出 勤務変更や業務に支障

そして……接種後に39℃くらいの発熱でダウンする人が周囲で続出しています。少なくとも私の知っている範囲では、コロナに感染した人(正確には検査での陽性者)は一人もいません。なのに、それを防ぐためのワクチン接種でバタバタ倒れるとか、本末転倒感がすごい。

先日、他部署と打ち合わせがあったのですが、そこの部署の社員がワクチン接種後の発熱で何人も休んだたため、打ち合わせは延期になりました。

「何人もが同時に接種するからだろ。部署内で日程ズラせよ」と思うかもしれませんが、現状では接種の予約を取るだけでいっぱいいっぱい、日時の指定まではできないでしょう。複数の社員で日程が重なるのは、仕方ありません。

私の部署(指令)でも、ワクチン接種後に発熱した人がおり、勤務変更(シフトの組み直し)がありました。また、後輩の運転士に聞いてみたら、やはり何件か勤務変更があったそうです。現在はコロナ禍のせいで臨時列車(増発)があまりないので、シフトは回るようですが。

勤務表を作るときに最初から接種後に休日を入れる

……とまあ、こんな感じで接種後の発熱率は無視できないレベルです。

私の部署の勤務作成担当者は、みんなにワクチン接種日を聞いて、接種後2~3日は休日を入れるようにし始めました。つまり、最初からワクチン後の発熱を計算してシフトを組んでいます。

詳しくは↓の記事を参照してほしいのですが、鉄道会社では、「熱があるんで明日休ませてください」みたいな急な勤務変更は大変なんですよ。

そうなるくらいなら、最初から接種後に休日を2~3日入れとけ、というわけ。

ワクチン接種で休日労働が多発して人件費増につながる?

ただ、そうやってシフトを組むのは大変です。「一回打てば一生有効」のワクチンなら、シフトを組むのが大変なのは今回限りということで、多少の無茶は通ります。

しかし、コロナワクチンは「半年~1年しか効果が持続しない」という説もあります。もしかすると、今後は半永続的に年1~2回の接種が必要になるかもしれません。

冒頭でも書いたように、だいたいの社員は「接種する派」。もし今後、ワクチン接種が常態化し、多数の社員に接種後2~3日の休みが必要となると、勤務シフトを組むのが容易ではありません。
(3回目以降の接種では、副反応の確率が落ちてくれるかもしれませんが)

そもそも、休日どころか、年次有給休暇も満足に取得させられない鉄道会社もあります。そういう会社だと、休日+年次有給休暇を組み合わせても、2~3日の連続休みを作るのは大変でしょう。勤務が回らなくなる可能性が大です。

どうしても人が足りない場合は、休日(法定休日)を潰して出勤させる休日労働が必要です。しかし、労働基準法上、休日労働は35%増の賃金を支払わなければいけません。あまりに休日労働を連発させると、人件費増につながります。

詳しくはこちらの記事で説明していますが、人件費は鉄道会社の経費(正確には営業費用)の中で30%程度を占めています。経費全体に与える影響が大きいのですね。休日労働が増えるのは、かなりの痛手でしょう。

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人件費増が続くと減便につながるかも

鉄道会社はただでさえ、コロナ禍で売上が落ちて苦しんでいます。赤字の会社も少なくありません。そこに人件費増が重なると、なりふりかまっていられません。

具体的には、人件費を減らすために減便が加速する可能性があります。最近も、JR西日本京阪電鉄名古屋鉄道で減便するというニュースが流れました。

「コロナ禍による一時的な減便」ですと、経費削減効果はあまりありません(→その話はこちらの記事を参照)。しかし、「恒久的な減便」ならば乗務員の必要人数が根本的に減るので、経費削減効果がそれなりにあるでしょう。

もし将来、コロナワクチンの接種が常態化したら、回り回って鉄道の減便につながるかもしれません。いや、ワクチンを接種しなかった場合、それはそれでクラスター発生 ~ 乗務員の出勤停止 ~ 一時的な減便……となるケースが出るでしょうが。

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