「働き方改革」という言葉がすっかり定着しましたが、「ぶっちゃけ、鉄道会社の労働条件ってどうなの?」と気になる人も多いでしょう。
というわけで今回から、『鉄道会社の労働条件を説明するシリーズ』を5回にわたってお送りします。第1弾の今回は年間休日数です。
大手鉄道会社は年間休日110日くらいが相場
まずは↓の数字をご覧ください。JR各社の採用情報ページから、年間休日数を拾ったものです(2023年現在の数字)。
- JR北海道 112日
- JR東日本 114日
- JR東海 120日!
- JR西日本 119日
- JR四国 108日
- JR九州 110日
- JR貨物 108日
JRでは、このように「年間○日」と明示されています。私鉄だと「週休2日」「2週4休」といった表記方もありますね。1年は約52週ですから、105日くらいの休日数になります。これに国民の休日(祝日)分が上乗せされれば、もう少し増える感じでしょうか。
というわけで、大手鉄道会社の休日数は110日前後が相場だと読み取れます。ちなみに、私が勤める会社もそんな感じ。
中小鉄道は会社によってバラつきが大きい
では、中小鉄道会社はどうでしょうか。
実は私、地方の某中小私鉄に勤務経験のある方から「年間休日100なかった」と聞いたことがあります。また、別の中小私鉄の方は「人手が足りないから休日出勤が多くて……」と嘆いていました。
じゃあ中小鉄道会社は休日数が少なくてイカンのかというと、そうでもなくて、「ウチは年間休日が120日。しかも休日出勤は少ないし、超ホワイトです」という方もいました。
中小鉄道会社は、会社によって休日数がだいぶ違うのが実情で、相場が読み取りにくいです。私の勝手な印象ですが、財務状況が苦しい会社ほどが休日数が少ないケースが多いように思います。
結局はOB・OG訪問での情報収集が大切
さきほど少し触れましたが、人手が足りないなどの理由で休日出勤が常態化しており、実質的な休日数が公表されている数字より少ない場合があります。
会社説明会やホームページの採用情報では、「良い情報」しか開示しません。「ウチの年間休日数は120日。でも休日出勤が多いです」なんて、採用担当者は口が裂けても言いませんから。
ですので、そのあたりの“生情報”はOB・OG訪問で拾うのが必須です。OB・OG訪問なら、「実はウチの会社はねぇ……」と教えてくれる場合も多いでしょう。
泊まり勤務が終われば「実質休日感覚」の場合も
実は、駅員・車掌・運転士といった「現業職」に関していうと、休日数以上にフリーな時間は多いです。
これら現業職は、泊まり勤務が一般的です。
たとえば、今日の朝9時に出勤して、明日の朝9時に勤務終了という具合です。一回の泊まり勤務で、今日・明日の2日分働いたとカウントされます。
(2日目の勤務終了日のことを「泊まり明け」や「非番」と呼びます)
この例だと、朝9時に仕事が終わったあとはフリーです。つまり、労働日ではありますが、朝9時以降はフリーという、休日に近い雰囲気になります。
泊まり勤務を一緒に終えた同僚と昼呑みに行ったり、帰ってから家族と出掛けたり、疲れたなら寝ればいいし、ホントに休日感覚ですね。若いうちは体力があるので、泊まり勤務が終わったあとに動くのも苦になりません。
(朝9時終了はあくまで一例であって、もっと遅い時刻になる例はいくらでもあります。午後になるケースも)
ですので、現業職に関しては、年間休日数以上に「実質的な休み」が多いです。泊まり勤務主体だと身体は大変ですが、こうした隠れたうまみもあります。