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【昔話】国鉄時代の飲酒にまつわるエピソード

今回の記事では、国鉄出身者から聞いた昔話を書いてみます。テーマはです。

初めに言っておきますが、ドン引きすること間違いなし。話を読んで不快になるかもしれないので、ご注意ください。

機関車の中で熱燗を作って飲んでいた

国鉄では勤務中の飲酒が常態化していた、というのは割と有名な話です。乗務員の飲酒が原因で事故も起きており、特に有名なのが↓の2件です。

  • 1982年 名古屋駅での衝突事故
  • 1984年 西明石駅での脱線事故

機関車に乗務中、ヒーターのそばに日本酒を置いておき、熱燗を作って飲みながら運転。当時は、そんなことがよく行われていたそうです。乗務中に熱燗てオイオイ……。

乗務員交代箇所にはワンカップの空きビンがゴロゴロ

突然ですが貨物列車ファンの人、「日本の三大操車場」といえばどこでしょうか?

神奈川の新鶴見、愛知の稲沢、大阪の吹田ですね。
(※操車場とは、列車の組成や貨車の仕訳を行う場所。宅配便にたとえれば、集荷・配送センターみたいなもの)

その中の一つ、稲沢に勤めていた方から聞いた話。

稲沢は(今も昔も)貨物列車の運行上の重要拠点であり、乗務員交代が頻繁に行われます。乗務員交代を行う箇所の線路には……なんとワンカップの空きビンが、たくさん捨てられていたそうです。

車内で飲んだ後、走行中の機関車からビンを投げ捨てるのは、さすがに危険。というわけで、交代のために停車する箇所で、空きビンを線路に捨てていくのですね。

買い出し係が酒を買ってくる 夕食時は飲酒

熱燗作りにワンカップの空きビンを線路にポイッ。「そんなしょーもないことをしていたのは乗務員だけだよね?」と思っている人、違います。

操車場では、毎日たくさんの職員が働いていました。その日の勤務者の中で「買い出し係」がおり、店で食料や飲み物を調達してくるわけですが……普通に酒を買っていたとのこと。夕食時はビールをグビグビ。

当時はハードな勤務(例:夜から朝まで働き、夕方からまた仕事)もあり、飲まなきゃやってられない面もあったようですが……。

作業で破損した食品は職員が美味しくいただく

操車場では、貨車を移動させたり、連結・切り離しの作業が行われます。そういう作業の際、昔はよく行われていたのが突放という方法。

これは読んで字のごとくで、機関車で貨車を後ろから押し、勢いがついたら「それ行けー」と貨車を突き放す。貨車は惰性で走っていき、貨車に乗った職員がブレーキを操作して停止位置で止める、という方法です。

なお、現代では突放は行われていません。突放は、下手こくと貨車同士が衝突したり、職員が労災に遭ったりするので。貨物列車の貨車に、「突放禁止」と書かれているのを見たことがある人も多いでしょう。

突放シーンが見たい人は、『きかんしゃトーマス』を視聴してください。あの世界では、突放が普通に行われています。

さて、突放のような勢いある作業をしていると、ときには貨車に載せている荷物が破損することもあります。ビールなどの容器が割れたり、中身が飛び出したり……。

当然、もう商品にはなりませんが、そういうものは、なんと職員が美味しくいただいていたそうです。もちろんメーカーには謝罪に行きますが、謝れば許してもらえたそうで……。

勤務中の不祥事は会社側の管理による部分が大きい

……とまあ、国鉄時代は飲酒にまつわるエピソードがたくさんあります。職員がそんな姿勢で仕事をやってれば、そりゃ国鉄も潰れるわ……。

さて、最後は一つ教訓的な話を。

飲酒運転での事故が厳しく非難されたことや、JRになって規律も改まったことで、職場での飲酒はなくなりました。つまり「仕事中に飲んじゃダメ!」と強く指導し、飲酒NGの認識を植え付ければ、職員はきちんとそれに従ったわけです。

ということは、国鉄職員は勤務中に飲酒という行為をしていたが、それは「個人として」性根が腐っていたとか、アル中だったとか、そういうことではないのですね。会社側の管理の問題、もっといえば企業統治(ガバナンス)です。

……などと書くと難しく感じるかもしれませんが、ようは管理者側が「ダメなものはダメ!」ときちんと言えるかどうか? です。

その点、私は最近の「ほめて育てる」というトレンドが、いざというときの「それはダメ!」を言いにくくし、管理側の仕事を難しくしているように思えます。また、「ダメなところを指摘しないのが優しさ」みたいな妙な風潮も感じます。

管理者がそういう姿勢だと、国鉄みたいなモラルハザードを招くのでは、と心配になったりしますが、みなさんの職場ではどうでしょうか?

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