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車両連結の雑学 実は「空気的・電気的な連結」も必要

鉄道というものは、車両同士を連結して使用します。誰でも知っていますよね。では、ここで一つ質問を。

鉄道以外に、連結・合体が行われる乗り物を挙げてください


……

意外に答えが出てこないはずです。おそらく、ガ○ダムくらいしか思い浮かばないのではないでしょうか。ガ○ダムは乗り物じゃねぇぇぇ機動兵器だ

はい、鉄道の特徴は「合体すること」です。普段意識することはありませんが、そういう意味で、実はとても珍しい乗り物なのです。

物理的な連結だけでなく「空気・電気」の連結も必要

合体するときに必要なのは、両者のタテ軸とヨコ軸を正確に合わせること。その点、鉄道車両はレールに乗せて動かすので、タテ軸とヨコ軸を合致させるのが容易です。ガ○ダムなどは戦闘中に空中で合体しており、われわれ視聴者もそれを当然のこととして受け入れていますが、あれはすさまじい技術レベルといえます。

車両同士を合体──連結させるために用いるのが連結器です。↓の写真のように、指相撲するときの手みたいなのを想像する人が多いと思います。

連結器は、こうした指相撲型だけではありません。近年の鉄道車両では、↓の写真のような連結器も多いです。

形状はいろいろありますが、とにかく車両同士をくっつけるのが連結器の役割です。

ところで、プラレールや鉄道模型だと、物理的に車両をくっつければ動かして遊ぶことができます。が、実際の鉄道では、前後の車両を「物理的に連結」するだけでは運用できません。

どういう意味かというと、「空気的な連結」「電気的な連結」も必要なのです。

「空気的な連結」とは?

「空気的な連結」と「電気的な連結」とは何ぞや? なかなか難しい話ですが、なるべく噛み砕いて説明します。まずは「空気的な連結」から。

鉄道車両に欠かせないのが圧縮空気です。ドアの開け閉め、ブレーキ、汽笛……など、車両のいろいろな場所で圧縮空気は使われています。「圧縮空気なくして列車は動かない」と言って差し支えないです。

たとえば、自動空気ブレーキというシステムを用いる車両だと、ブレーキ管という空気管を編成の一番前から最後尾まで通し、その中に圧縮空気を充填しなければいけません。

そのため、車両を連結したときには、ブレーキ管同士をくっつける、すなわち「空気的な連結」が必要になります。

「電気的な連結」とは?

続いて、「電気的な連結」を説明しましょう。

近年の車両には、情報を表示するモニターやディスプレイが多く装備されています。運転室で乗務員がピッピッ触っているようなものや、客室ドアの上にある「まもなく○○駅」と表示されるやつみたいな。

ああいうものを運用するためには、編成全体を電気回路的に繋げる必要があることは、なんとなく想像がつくでしょう。

それから、ブレーキの際にも電気回路が使われます。近年の車両は電気指令式空気ブレーキというシステムが一般的。運転士がブレーキハンドルを操作すると、電気回路によって編成全体に「ブレーキ掛けろ!」の命令が出されます。

ですので、ブレーキ用の電気回路は、編成の一番前から最後尾まで切れ目なく繋がっていなければいけません。

というわけで、車両を連結させる際は、情報モニターやブレーキ関係の電気回路も接続する必要があります。これが「電気的な連結」です。

空気と電気はどうやって連結させている?

では、「空気的な連結」と「電気的な連結」は、どのように行われているのか? みなさん、連結器の付近に、ホースみたいなのが複数あるのは見たことありませんか。

再掲

これらが空気・電気の連結に用いられるものです。実際にくっついている光景を見てもらった方が早いでしょう(↓の写真)。

オイ待て。↓のように連結器付近にホースみたいなのが無い車両もたくさんあるぞ。

実はこのタイプの連結器は、連結器自身に空気管・電気回路が組み込まれています。車両を物理的に連結したとき、同時に空気・電気の連結も行われるようになっているのです。

小さな穴があいているが、これが空気接続用の穴。穴は後ろの空気管に繋がっている

この部分が電気連結器。今はカバーが閉じているが、連結するとカバーが開いて内部の端子同士が繋がる

物理・空気・電気の3連結がワンタッチで行えるので、便利です。

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