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「電車」と「列車」の違いとは? 鉄道マンが正しい知識を解説

インターネットを回遊していたら、某鉄道アナリストさんが書いた↓の記事を見つけました。

そうだよなあ、電車と列車の違いなんて、鉄道マンでもない限り知らないのが普通だよなあ。メディアでも、間違って使っている例が少なくありません。正しい知識をキチンと世の中に発信するのは、いいことだ(^^)

そう思って読んだところ……

オイ、この記事間違ってるぞ

人の間違いを指摘するのは、あまり好きではないのですが、さすがにこの内容はちょっと……。この記事を書いた某鉄道アナリストさんは、電車と列車の違いをキチンと理解していないようです。

間違った鉄道知識が世の中に広まるのは、鉄道マンとして残念なので、ぜひ訂正させていただきたい。というわけで、今回の記事では電車と列車の違いを解説します。

前振りの話 和牛と国産牛の違いとは?

電車と列車の違い、まずはあえてわかりにくく書きます。

  • 電車とは、鉄道車両の種類の一つ
  • 列車とは、停車場外を走行するために、特定の条件を満たした鉄道車両のこと

はい、意味不明ですね(^^)
この説明で理解できるのは、私のような鉄道マンだけです。

というわけで、理解してもらうための前振りとしての話をします。モオオオオォォ!

突然ですが、みなさんは和牛国産牛の違いを知っていますか? 和牛と国産牛、似たような単語ですが、意味はまったく違います。

和牛とは「牛の品種の一つ」

和牛とは「牛の品種の一つ」です。

牛の品種って、ホルスタインとかジャージーとか、いろいろありますよね。その中で、黒毛和種・褐毛和種・ 日本短角種・無角和種という4つの品種を、まとめて「和牛」と呼びます。

牛の品種ホルスタイン
ジャージー
……
和牛(黒毛和種・褐毛和種・ 日本短角種・無角和種)

和牛とは「品種」ですから、どこで生まれたとか、どこで育ったとかは関係ありません。たとえば、オーストラリア産の和牛も存在します。

国産牛とは「特定の飼育条件を満たした牛」のこと

対して国産牛とは、「日本国内で全飼育期間の半分以上を過ごした牛」です(→食品表示基準第18条)。別の言い方をすると、生涯のうち50%以上を日本で過ごした牛。

つまり国産牛とは、品種うんぬんは関係なく、特定の条件(=全飼育期間の半分以上を日本で過ごす)を満たした牛のこと。

先ほど、「オーストラリア産の和牛も存在する」と書きました。オーストラリアで生まれ育った和牛が現地で解体されて肉になり、日本に輸入されてきたら、それは国産牛の条件を満たしていないので外国産ということになります。まとめると、

  • 和牛とは、牛の品種の一つ
  • 国産牛とは、特定の条件(=全飼育期間の半分以上を日本で過ごす)を満たした牛のこと

この違いが理解できればバッチリです。次の話に進んでください。

本題 電車と列車の違いとは?

ここからが「電車と列車の違いってなに?」の本題です。

なぜ私は突然、牛の話をしたのか? それは、「和牛と国産牛の違い」と「電車と列車の違い」は構図が似ているからです。

電車とは「鉄道車両の種類の一つ」

電車とは「鉄道車両の種類の一つ」です。

鉄道車両には、いろいろな種類(牛でいえば品種)があります。ディーゼルエンジンで動くディーゼルカーとか、蒸気を使った蒸気機関車とか、いろいろありますよね。その中の一つとして、「電車」というものがあるのです。

鉄道車両の種類電車
ディーゼルカー
蒸気機関車
……

「和牛とは牛の品種の一つ」であるように、「電車とは鉄道車両の種類の一つ」なのです。

列車とは「特定の条件を満たした車両」

対して列車とは、「特定の条件を満たした鉄道車両」です。電車・ディーゼルカー・蒸気機関車、どんな種類(品種)の鉄道車両でも、指定された条件を満たせば「列車」になりえます。

つまり列車とは、電車とかディーゼルカーとかの種類は関係なく、特定の条件を満たした鉄道車両のこと。「国産牛とは、品種に関係なく特定の飼育条件を満たした牛」という話を思い出してください。

専門用語が出てくるので理解できなくて結構ですが、列車として成立するためには、たとえば以下の条件を満たす必要があります。

  • 列車標識を表示すること
  • 貫通ブレーキの割合を100にすること
  • 全長が線路の有効長を超えないこと

これ以外にも、列車として成立するための条件はあります。こうした諸々の条件を満たした鉄道車両が「列車」と呼ばれます。

人間にたとえると「列車」は理解しやすい

「列車ってよくわからん」という方、人間にたとえると理解しやすいです。

みなさんは外出するときに、顔を洗い、服を着て、靴を履きますよね。つまり、外出のための身だしなみという条件を整えた状態です。鉄道車両も、外出するために身だしなみを整えた状態を「列車」と呼びます。

対して、パンツ一丁という姿では外出できないですよね。家の中ではパンツ一丁は許されますが、外に出たらアウト。これと同様に、外出のための身だしなみが整っていない鉄道車両は、列車とは呼びません。

たとえば昼間、車両基地で休んでいる車両がありますね。人間風にいえば、あれはパンツ一丁であり、外出にふさわしい状態ではありません。つまり、車両基地で休んでいる車両は外出のための身だしなみが整っていないので、列車とは呼べないのです。
(=難しく表現すると、列車たる要件を具備していない)

【まとめ】電車は種類・列車は状態 まったく別の概念

牛やら身だしなみやら、いろいろな例え話が出ました。以上の説明が理解できれば、最初に書いた↓の意味もわかってくると思います。

  • 電車とは、鉄道車両の種類の一つ
  • 列車とは、停車場外を走行するために、特定の条件を満たした鉄道車両のこと

なお、「停車場外を走行するために」という文言ですが、先ほどの身だしなみの話で言えば、「外出するために」に相当する文言です。うまく読み替えれば理解できると思います。

ちなみに鉄道現場では、電車・列車、さらに車両という用語は、キチンと使い分けられています。冒頭で紹介した某鉄道アナリストさんの記事では、

『大きな分類として「列車」があって、その中で、電気で自走する車両が「電車」である。』

と書かれていましたが、これは間違いです。先ほど少し触れましたが、たとえば車両基地で休んでいる車両のように、「電車ではあるけれど列車とは呼べない」ケースがあります。

というか、電車と列車はまったく別の概念なので、「列車という分類の中に電車がある」といった包括・含有的なイメージでの理解は誤りです。残念ながら、この手の間違いを犯しているサイトは少なくないですね。

(→ここここなど、検索上位でも誤った解説をしているサイトが多い。また、車掌経験者でも間違えていたりする)

なお、『大きな分類として「鉄道車両」があって、その中で、電気で自走する車両が「電車」である。』と書けば正解になります。

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