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相互直通運転の車両使用料 ダイヤが乱れると計算が大変

インターネットを回遊していたら、某鉄道アナリストさんが書いた記事を見つけました。

相互直通運転の車両使用料に関する記事ですね。ただ、鉄道ファンならば、「この記事に書かれたことくらい知ってるよ」という人が多いのではないでしょうか。

というわけで、鉄道ファンの方にもあまり知られていない(と思われる)プラスアルファの雑学を書いてみます。

相互直通運転の車両使用料とは? 基礎知識の解説

「相互直通運転の車両使用料ってなに?」と疑問に思う人がいるかもしれないので、簡単に説明しておきます。「知ってるよ」という人は読み飛ばしてください。

車両使用料とは、他会社から車両を借りた場合の借り賃です。

たとえば、東京メトロ小田急は相互直通運転をしており、お互いの車両がお互いの路線に入っていきます。

東京メトロ線内に、小田急の車両が入っていったら、東京メトロは小田急車を使って自社の列車を営業していることになります。ようするに、他会社から借りた車両で、自社の列車を運転しているわけです。

東京メトロは小田急の車両を借りたのですから、当然、借り賃が必要。これが車両使用料です。

もちろん、「相互」直通運転ですから、逆パターンも発生します。メトロ車が小田急線内に入っていったら、小田急はメトロ車を使って自社の列車を走らせていることになるので、東京メトロに車両使用料を払います。

車両使用料の精算は「相殺」が多い

車両使用料の計算方法や精算については、会社間で協定が結ばれており、それに則って処理されます。

多いのは、プラスマイナスゼロの形を作って相殺するケースです。

たとえば、東京メトロが小田急車を100㎞ぶん借りたとします。この際、東京メトロは小田急に車両使用料を支払うのではなく、逆にメトロ車を100㎞ぶん小田急に貸し出す。こうすれば貸し借りがチャラ(相殺)になるので、いちいち相手にカネを払う手間が省けるでしょ、というわけです。

具体的には、基本の列車ダイヤを作成する段階で、プラスマイナスゼロに近い形を実現できるように計画します。つまり、車両使用料を相殺できるようなダイヤを作るのです。

ダイヤが乱れると車両使用の「不均衡」が発生する

基本的な説明はここまで。
ここからが今日の雑学。

実はこの車両使用料の計算には、めんどうなケースがあります。ダイヤが乱れたときです。

車両使用料の計算とは、ようするに「他社の車両をどれくらい走らせたか?」という走行キロの計算です。

ダイヤが正常ならば、車両は事前の計画通りに走行キロを積み重ねていきます。つまり、会社間でプラスマイナスゼロの形(=走行キロの相殺)が保てている。

ところが、ダイヤが乱れると運休や途中駅折り返しなどが発生して、走行キロが計画と違ったものになってしまいます。「メトロ車は100㎞ぶん走ったのに、小田急車は80㎞ぶんしか走っていない」みたいな不均衡が発生し、プラスマイナスゼロの形が崩れてしまうのですね。

手作業で計算し直して相手会社に伝える そして喰い違う

この不均衡を放置したら不公平です。というわけで、「どの列車がどの会社の車両を使って運転されたか?」をきちんと確認し、不均衡が発生していれば後で調整が必要になります。

具体的には、どの列車がどの会社の車両を使って運転されたのか、後からダイヤをたどって確認します。そして、「ウチの車両はこれだけ走らせた。おたくの車両はこれだけ走らせた」と相手会社に計算結果を知らせるわけ。

もちろん、相手会社も同じように計算して知らせてきます。つまり、会社同士で計算結果を突き合せるわけですが……これが難しい。

「ウチの車両は、おたくの線内でこれだけ走ったはずだ。おたくの計算は間違ってるぞ」
「いや、この計算で正しい。間違ってるのはそっちだろ」

みたいな喰い違いが往々にして起こりえます。

なぜ喰い違うのか? ぐちゃぐちゃに乱れたダイヤから、「どの列車がどの会社の車両を使って運転されたか?」を正確に拾い出すのは難しいからです。この拾い出し、手作業(手計算)で行うのですが、そうするとどうしても間違いが起きるのですね。

利用客にとっては便利な相互直通運転、その裏側には、こうした苦労があったりします。

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