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運転士になるまで(13) 教習所での人間関係模様

こんにちは、現役鉄道マンのKYSです。 
運転士になるまでシリーズの続きです。

前回まで数回にわたり、「教習所の一日の流れ」を説明しました。
朝起きての体操から始まり、午前の講義、昼休み、眠気と戦う午後の講義、夕方以降の自由時間……。
教習所ライフを少しはイメージしてもらえたと思います。

今回は少し内容を変えて、「教習所での人間関係」について書こうと思います。

1.学科講習←今ここ
2.学科試験
3.実車講習
4.実車試験

 

用語説明 乗務員の所属基地「区所」


本題に入る前に、用語説明をさせてください。

運輸区・運転区・列車区・乗務区・機関区・運転所etc

会社によって呼び方は違いますが、これらの用語は、車掌・運転士の所属部署のことです。
乗務員の所属基地、といってもよいでしょう。
以下は「区所」と書きます。

大きな鉄道会社には、この区所が複数存在します。
A線を担当するA区所、B線を担当するB区所、という具合です。
ようするに、乗務員は自社の全路線を担当するのではなく、自分の区所が受け持つ線区しか乗務しません。
野球でポジションが決められているように、乗務員にも自分が担当する“守備範囲”があるわけです。

学校のクラス替えと同じような光景


さて、話を運転士の学科講習に戻します。

学科講習には、いろいろな区所から研修生(運転士候補生)が集まってきます。
一つの区所からは、通常は数人の研修生が選ばれます。(※)
つまり、初日の教室で全員が集まったときに、同じ区所からきている顔見知りが何人かはいるわけですね。

3ヶ月間に及ぶ学科講習、初めのうちは、顔見知り同士で一緒に行動します。
同じ区所の人同士で、休み時間に話したり、メシを一緒に食べたりします。

しばらく経つと、面識がなかった他区所の人とも打ち解け、人となりがわかってきます。
それとともに、最初の「グループ」がだんだん崩れてきます。

このあたりは、学校のクラス替えとまったく同じ現象ですね。
4月は前年度のクラスで一緒だった友人と行動しますが、そのうち面識がなかった人とも仲良くなっていく。
そして、新たなグループができていく……。
みなさんも経験があると思います。

学科講習は3ヶ月間もありますから、最初と最後では、クラス内の人間関係図はまったく違ったものになります。

(※)
エリアが広くて区所がたくさんあるような会社、たとえばJR東日本・JR西日本・JR貨物なんかだと、もしかしたら一区所から一人ずつしか出さないのかもしれません。
が、すみません。そこまではわかりません。

人間関係で悩んで脱落するケースもある


学校のクラスだと、複数のグループで派閥抗争になったり、いじめにつながることもあると思います。
が、運転士の学科講習では、さすがにそういうことはありません。
みんな大人ですから(笑)

ただし、クラスになじめず、グループにも入れずに浮いてしまう人はいます。

実は、学科講習の途中で脱落するケースがたまにあります。
勉強についていけないから脱落するのではなく、人間関係に悩んで、という理由が多いみたいですね。
人間関係の悩みって、通常ならば、仕事が終わって家に帰るまで我慢すれば済むこともありますが、なにせ学科講習の3ヶ月間は寮生活。
逃げ場がないわけです。

ウチのクラスでは、途中脱落した人はいなかったので、私は自分の目でそういうケースを見たことはありません。
しかし、先輩や後輩にいろいろ話を聞くと、「もう無理です」と教習所側に申告してフェードアウトする人や、ひどい場合は、荷物をまとめて教習所から脱走した人もいたそうです。

幸い、私は人間関係で悩むことはありませんでした。
というか、私は人付き合いに淡白な性格なので、仮に周りから浮いてしまっても気にならないタイプなもんでして……。
いや、別に人付き合いが嫌いとか煩わしいとかではないですよ。
「来る者拒まず、去る者追わず」というスタンスなだけです。

実際、私は別にクラスで浮いていたわけではなく、気が合って仲良くなれた他区所の人もいました。
また、寮の同部屋の“相棒”も、勉強面でいろいろ私を頼ってくれました。
相棒の後輩さんたちも、よくウチの部屋に顔を出していたため、いつの間にかその輪の中に入っていけたところがあります。
(よく一緒に“コンビニ飲み”をしに行ったのは前回の記事で書いたとおりです)

運転士養成の過程で一番難しいのは人間関係


運転士になるまでのステップというと、「どういう勉強をするの?」「列車の操縦ってどんな感じなの?」「難しくて脱落する人はいるの?」。
一般的には、こういう技術的な点が気になると思います。

しかし、運転士になるまでの過程で一番難しいのは人間関係である。
これが私の考えです。
(おそらく、鉄道会社で運転士を経験した人間なら、この考え方におおむね同意してもらえると思います)

またいずれ書きますが、学科講習を卒業して「運転士見習」になると、いわゆる師匠の指導を受けることになります。
しかし、この師匠とソリが合わないケースが少なくありません。

このあたりの人間関係うんぬんについては、程度の差こそあれ、運転士だけの話ではなく、駅員や車掌のときも同じです。

ちなみに、「運転士や車掌は仕事中は一人になるため、人間関係に悩まなくて済むのでラク」という意見もありますが、私は同意できません。
確かに、試験に合格して一人乗務ができるようになればそうなのですが、その一人乗務に到達するまでの人間関係が大変なのです。

「気の合わない人とどう折り合いをつけるか?」は大切


就職活動をする学生さん向けに少しだけアドバイスしておくと……
「気が合う人とだけしか付き合わない」というタイプだと、鉄道会社はちょっと向いていないかもしれません。

気が合わない人と仲良くする必要はまったくありませんが、表面上だけでもかまわないので、それなりに付き合っていけることが必要です。

バイトやサークルをやっていれば、「気の合わない人とどう折り合いをつけるか?」という課題に直面したことがあると思います。
それを自分なりに振り返り、「だから御社に入社してもやっていけます」と言えるだけの“再現性”を持ったエピソードを用意しておく。
このくらいは準備しておいた方がいいかなと思います。

今回の記事はここまでです。


前後の記事はこちら
運転士になるまで(12) 夕方の講義終了から就寝までの自由時間
運転士になるまで(14) 学科講習のクラスには「委員」がある

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