『運転士になるまでシリーズ』の続きです。今回は、「学科講習の途中で体調不良になったらどうするのか?」について書きます。
- 学科講習←今ここ
- 学科試験
- 実車講習
- 実車試験
学科講習は風邪などが蔓延しやすい環境
私が運転士の学科講習を受けたのは、9月下旬~12月下旬の約3ヶ月間でした。ただでさえ3ヶ月間の長丁場に加え、だんだんと寒くなっていく時季です。
ですから、途中で風邪をひくなど、体調を崩す人が少なからずいました。特に12月になると、風邪だけではなく、インフルエンザの心配もしなくてはいけません。
そして、これまで何度か説明してきましたが、ウチの会社の学科講習は以下のようになっています。
- 寮への泊まり込みで行う
- 寮の部屋は二人一組の相部屋
- 学校の授業のように、教室内で全員が一同に講義を受ける
季節的な事情だけでなく、このように“密室”的な要素も揃っています。ようするに、病気がうつりやすい環境というわけ。特にインフルエンザは脅威で、下手をするとクラスターが発生しかねません。
講義を欠席したら必ず補習が必要
体調不良の程度がさほどでもなければ、気合いで講義を受ければよいでしょう。問題は、寝込むぐらい具合が悪くて、やむを得ず講義を欠席したときです。
この場合は、必ず補習が行われます。
学科講習では、「Aという教科を○時間、Bという教科を△時間」という具合で「計画」が立てられています。この計画時間数は必ず消化しなければなりません。
というのは、運転士は国家資格だからです。この手の公的な資格って、試験でいくら優秀な成績を収めたとしても、必要な履修時間数や単位数などの「形式的な部分」に瑕疵があればアウトですよね。
そして、各鉄道会社の教習所は、国から「お宅の会社は自分のところで運転士試験をしてもいいよ」とお墨付きをもらっています。言い換えれば、国家試験を代行しているわけです。
ですから、最初に立てた計画をキチンと履行せず、それがバレでもしたら……どうなるかわかりますよね?
社内資格ならば、形式的な面で多少不備があっても“情状酌量”が通じるかもしれませんが、運転士は国家資格なので、それは通りません。
というわけで、「教育に必要な計画時間数はキチンと満たしていますよ」という形式的な手続きのために、体調不良で欠席した者に対しては必ず補習が行われるのです。講師陣も大変ですな。
インフルエンザになって卒業が遅れた人が実際にいた
12月中旬、恐れていたことが起きました。クラスメイトの一人が高熱を出してダウンし、病院でインフルエンザと診断されたのです。講義の欠席はもちろんのこと、寮にいれば他の人に感染させてしまうかもしれませんから、家に帰す措置が取られました。
このときは卒業試験の数日前というタイミング。結局、卒業試験もみんなとは一緒に受けることができず、卒業も遅れてしまいました。
この事件で割を喰ったのが、発症者と同部屋の相棒。
発症者と同部屋で過ごしていたわけですから、その人も感染している可能性が高い。インフルエンザは感染してもすぐには発症しない(=1~2日の潜伏期間がある)ので、今現在体調が悪くなくても大丈夫とは限りません。というわけで、その人は体調が悪くないのに隔離のために家に帰され、補習+卒業試験が遅れるという憂き目に……。
まあ可能性の問題でいえば、クラス全体、もっと言えば教習所全体にウイルスがばら撒かれたかもしれませんが、とりあえずは同部屋の人間だけを隔離という措置でした。
ちなみに、割を喰った彼ですが、最終的にインフルエンザを発症したのかどうかはわかりません。私とは所属区所が違ったので、教習所を卒業すれば接点もなくなりますし。無事に運転士免許を取得した後、免許交付式でまたクラス一同が集まる機会はあったのですが、そのことは特に話をしなかったので。
集団生活における体調管理の重要さが、この事例からも理解できるでしょう。自分のためだけではなく、周囲の人のためにも、体調管理には気を付けなければいけません。
冬の時季、私は職場にイソジンを持って行って、こまめにうがいをしています。家では、よく食べ、よく眠るを心掛けています。よく運動するはメンドクサイのでやっていません。
今回の記事はここまでです。